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「三月は深き紅の淵を」第一章の感想文

これは恩田陸さんの作品ですが、再読中です。第四章まであるのですが、少し長いので一章ずつ書いていきます。

第一章「待っている人々」の主人公は鮫島巧一という若い会社員です。彼は読書が趣味だということで、会社の会長から春のお茶会に招待されます。広大な土地の中にある、レンガ造りの家が会長の自宅です。

そこでは会長の他三人が巧一を待っていました。そして、この家のどこかに「三月は紅の淵を」という本があるはずだから、それを探せるかということでした。その本は作者不明で、コピーを取ってもダメ、友人に貸す場合、一人だけに一晩だけ、という条件がありました。

たくさんの部屋の中には所狭しと本が置いてあり、とても見つけられそうにありません。巧一だけではなく、だれもまだその本を見つけられないのでした。

以上があらすじです。巧一の二泊三日の滞在中に起きた出来事ですが、本については謎だらけで、どうなるのでしょうか。私も久々に読んでみましたが、細かなことは忘れていました。

忘れてはいましたが、この雰囲気、閉塞感、夜の雨、謎、こういうところが好きです。ああ、やっぱり恩田陸さんだな、と思います。

一章ごとに主人公は変わるので、これはこれで結末ということにしてもいいのかもしれません。この章だけでも十分面白いので、この本を手に取って長いと感じたら、短編が四作品と考えてみてください。読みやすいです。

主人公の巧一は多分二十代の普通の会社員ですが、その他の人たちは、みんなどこか独特です。1人だけ女性がでてきますが、あとは全部男性です。その女性にしても老婦人なので、年齢層は高く、巧一だけが切り離されているようでした。

巧一にしたら、なんでここにいるのか、と考えてしまいますね。それでも読書好き同士だからか、ちゃんと意見を言い合っているのが立派です。私なら言えないし、早く家に帰りたいと思うでしょう。でもやっぱりあの本は読みたいので探し回るかもしれません。

若者をからかうのが好きなお茶目な中高年たちですが、本当に読書好きなのがわかります。読んだ本の内容をよく覚えていて驚きました。私は読み捨てに近いので、大体のことしか覚えていなかったりします。

それにしてもあの本はどうなったのでしょうね。そのうちに第二章も書きます。




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