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「三月は深き紅の淵を」第四章の感想文

恩田陸さんの作品、第四章は「回転木馬」です。この小説は「三月は深き紅の淵を」をという本をテーマにした四つの物語で構成されています。

第四章は今までの話とはまた別の物語で、書き方も違っています。ここでは作者がこれからどう書こうか迷っている様子が書かれています。その中に散りばめられているのが、あやしい魅力のある学園ものです。

主人公は水野理瀬という女の子です。理瀬は外界から隔絶されたような全寮制の学校に転入してきます。裕福な家の子たちが集められているのですが、いつのまにかいなくなる子もいて、たくさんの謎があります。ルームメイトの憂理も魅力的です。

理瀬の家族についてはここでは書かれていません。とても興味があったのですが、あえて書かないのでしょうね。

この物語の中でも一冊の本が出てきますが、第三章までの本とはまた違います。そして理瀬もまた一冊の本に引き付けられました。

理瀬の物語には続編があります。この小説の中では短編で、しかもとぎれとぎれなので、もっとしっかり読みたいと思う人も多かったでしょう。

でもその感じで、現実なのか空想なのかわからないところがいいです。理瀬の年齢もはっきりは書かれていないのですが、中等部と高等部のある学校なので、中学生ぐらいかな。どこかに書いてあるのを見落としたかもしれません。

みんなこの後どうなってしまうのだろう、と続編が読みたくなります。私は以前読んだので再読します。学園ものなのに暗い雰囲気も好きだし、闇をもっている人たちが出てくるのは面白いです。青春という言葉は似合いません。

続編は「麦の海に沈む果実」と「黄昏の百合の骨」です。私としてはその先の物語も文庫化してほしいなと思っています。





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