見出し画像

世界の終わり #3-3 ハンター

 っていうか、ここ、なんやねん。なんでこんな場所やねんって、心の底から思うわ。福岡と熊本の境目辺り。山ん中切り開いて作られた馬鹿でかい宿泊施設跡地におれらおるんやけど、こんな場所にホテル建てて金儲けできるって考えたヤツの頭ん中、まるで理解でけん。周囲見回しても山、山、山、山、そんで、廃墟ってな感じで、ほかにはなんにもあらへん。馬鹿でかいホテルが、どーんと建っとるだけやのうて、小売店鋪やらゴルフ場やらプールやらセットにして一日遊び倒せますよ的な売り文句ではじめた施設やったんは聞いて知っとるけど、なんでまたこんな辺鄙な山奥に作ったんか理解不能。誰がこんなところまで足を運ぶか。現状見たらほんま哀れに思うわ。廃墟と化して七年。いや、七年ってのは九州が閉鎖されてからの年月やったか。潰れてからの日数数えたらもっと長い。一〇年くらい? それにしても廃れっぷりが半端なくて、右を見ても左を見ても映画のセットみたいやなぁって思ってまうんやけど、映画といえば〈アイ・アム・レジェンド〉で描かれていたニューヨークの街は、ほんま、人類がいなくなった世界をリアルに再現してたんやなって思う。まぁ、ここには野生化した猛獣なんておらんけどね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?