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【長編】善き羊飼いの教会

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【完結】長編小説。— DIVE episode B 01 ― 樫緒科学捜査研究所を訪れた鈴鹿の依頼を受け、所員の柊シュリとスルガは、連絡が取れなくなっている筒鳥大の学生三人の行方…
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#推理小説

善き羊飼いの教会 -Overview-

— DIVE episode B 01 ― 『あなたの罪は水の中に沈め、ただしき教会で願い求めなさい』 【…

善き羊飼いの教会 -Prologue-

 ふいの一撃で左目が潰れた。  恐ろしさで顔をあげられず、うつ伏せた惨めな姿勢で周囲を窺…

善き羊飼いの教会 #1-3 月曜日

〈柊シュリ〉      *  わたしが調査員?  樫緒科学捜査研究所での調査を、このわた…

善き羊飼いの教会 #1-4 月曜日

〈酒坂二丁目・路上〉      * * *  酒坂二丁目は佐棟町の北東に位置しており、東…

善き羊飼いの教会 #1-5 月曜日

〈柊シュリ〉      *  驚いた。スルガさんのいったとおりだった。  国道の北に、そ…

善き羊飼いの教会 #2-10 火曜日

〈柊シュリ〉      *  調査の一環なんてのは〝表向き〟の口実で、スルガさんは、のみ…

善き羊飼いの教会 #2-11 火曜日

〈鈴鹿亮平〉      * * *  スマホを手に取り、メッセージを確認する。  返信はない。目が届き、手も届く場所に置いていたのでわかっていたことではあるが、改めてその事実を確認して、鈴鹿の気持ちは数センチ降下した。メッセージを送信したのは夕方の五時すぎ。送信から四時間近くが経過しているのになんの反応もない。  自身が送信したメッセージを表示し、気分を害してしまうようなことを書きこんでいたのではないかと心配して、何度も文章を読み返す。 【伯父から電話がありました】  文

善き羊飼いの教会 #2-12 火曜日

〈柊シュリ〉      * 「おかえり」  帰宅したわたしを、父の声が出迎える。  だけれ…

善き羊飼いの教会 #3-2 水曜日

〈柊シュリ〉      *  室内には二人の刑事さんがいる。ひとりは顔見知りで、わたしに…

善き羊飼いの教会 #3-3 水曜日

〈樫緒科学捜査研究所〉      * * * 「死人のような顔をしてるぞ?」  若い刑事…

善き羊飼いの教会 #3-5 水曜日

〈樫緒科学捜査研究所〉      * * *  ――聞き間違いだろう。そうに違いない。し…

善き羊飼いの教会 #3-9 水曜日

〈筒鳥署〉      * * *  不規則に点滅する街頭に照らされた駐車場を駆け、筒鳥署…

善き羊飼いの教会 #4-4 木曜日

〈柊シュリ〉      *  黄山さんは昨日のうちに瀬戸内海に浮かぶ島で起こった怪事件の…

善き羊飼いの教会 #4-6 木曜日

〈柊シュリ〉      *  訊きたいことがたくさんあって、ありすぎて、なにから尋ねようか迷っているうちに結構な時間が経ってしまった。善き羊飼いの教会こと〈善き羊飼いの信徒〉の深角教会へ向かう緊急車両の後部座席に並んで座る黄山さんを横目で見つつ、このままではいけない、なにも聞けず目的地に到着してしまうのは避けなければと考えて、身体を向け、「……あの」声を発したものの、言葉が続かなくて口ごもってしまう。 「なにが訊きたいの?」と黄山さん。声の調子は明るくて、あたたかみが感じ