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〈柊シュリ〉 * 庭にでると視界が一気にひらけたこともあってほっとした。 …
〈幽霊屋敷前〉 * * * 幽霊屋敷――前日はそう呼んだ廃屋の前に立ち、スル…
〈柊シュリ〉 * 愛猫の甘えるような鳴き声で目覚めた。 飲酒したわりに普段…
〈幽霊屋敷隣家〉 * * * 「立派な楠(くすのき)ですねえ」 畑の隅に屈ん…
〈柊シュリ〉 * 「ハーイ、ウィルソン」 筒鳥大学東キャンパスの食堂へは、待…
〈警固町・路上〉 * * * スルガは顔をあげて歩道を見た。茶色いジャケット…
〈柊シュリ〉 * 幽霊屋敷で撮影してきた写真の読み込みを実行していたスルガさんが遅い昼食を摂りはじめたので、わたしも自身のデスクで柿本さんのツイートを閲覧しつつ、コンビニのおにぎりを頬張った。 はっきりいって、柿本さんのツイートは見るにたえなかった。大半が自慢話で、自己陶酔にひたりまくっている感じだったからだ。 時折挟まれる他者の発言のリツイートが興味をひく内容であっても、前後に溢れる自慢のせいで『おれが見つけた面白い話を、みなにも提供』といった、心の声が
* * * 『一分は経ったかな。どこからも物音は聞こえず、家鳴りもなし。家の中…
〈柊シュリ〉 * 「もちろん、水を使う必要があったからさ」 スルガさんがモニ…
〈方解町・路上〉 * * * 「ひょっとして、黄山さんですか?」方解町に駐車し…
〈柊シュリ〉 * 調査の一環なんてのは〝表向き〟の口実で、スルガさんは、のみ…
〈鈴鹿亮平〉 * * * スマホを手に取り、メッセージを確認する。 返信は…
〈柊シュリ〉 * 「おかえり」 帰宅したわたしを、父の声が出迎える。 だけれ…
〈樫緒科学捜査研究所〉 * * * 「くそッ、嘘だろッ!」 スルガは悪態をつき、ボサボサの髪を掻きむしりながらソファから立ちあがった。 目やにのついた目頭をこすりつつ、自身のデスクに載ったスマホを手に取って不在着信を確認すると、柊から二回、金子警部補からも二回電話がかかってきていた。現在の時刻を確認する。午前十一時十五分。 「あぁ、ちきしょうッ。ったく……参ったな」 昨夜はガールズバーの〈DORMOUSE〉でのんだあと、〈てらだや〉へ足を運んだ。〈てらだや