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【連作短編】世界の終わり

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【完結】群像劇。― end of the world 01 ― 連作短編小説です。
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#長編

世界の終わり #0 -Overview-

— end of the world 01 ― 生物を〈生ける屍・グール〉へ変化させる感染症発生によって封鎖…

世界の終わり #1-1 プレミア

 いやァぁ、嫌ッ――と、板野茉莉絵(いたのまりえ)は髪を振り乱して、玄関へ向けて駆けだし…

世界の終わり #1-6 プレミア

          *  先月末、ぼくが働くフィギュアショップで、従業員による現金の持ち…

世界の終わり #1-8 プレミア

「ぼくらが欲しているのは、峰岸さんが収集しているフィギュアです。フィギュアを渡してくれれ…

世界の終わり #1-9 プレミア

          *  言葉を交わせば交わすほど、互いの距離は縮まるものだと実感。意気…

世界の終わり #1-10 プレミア

「レアものの点数は多くないが、個人所有にしては結構な数だよな。これだけの数を集めるのに、…

世界の終わり #1-11 プレミア

            *  携帯端末のライトがこんなに明るいとは知らなかった。時刻は午後九時。普段のぼくならテンションが最もあがっている時間帯だが、日没とともに視界が奪われる九州にきてからは、不安と空しさばかり覚える午後九時である。娯楽から乖離された空間に身を浸していると、時間の流れかたも変わって、ゆっくり進んでいるように感じられる。室内の壁には、燭台に灯る炎の揺らめきにあわせて、ぼくらの影が踊っていた。 「準備は整ったか?」  荒木に訊かれた。  端末が放つ光を周囲へ

世界の終わり #2-7 ギフト

「どこへ運びましょう」ガサゴソ動く拘束シートを載せた台車のハンドルを握る利塚が、声を震わ…

世界の終わり #2-11 ギフト

          *  正門前に郡部代表の姿はなく、訪ねてきた〈九州復興フロンティア〉…

世界の終わり #2-12 ギフト

          *  科学館。西会議室。  室内にいるのは掛橋と小野、それに山岡の三…

世界の終わり #5-1 グール

 あとには退けなくなったからとか、たしかめなくちゃ気がすまないからとか、とことんこだわる…

世界の終わり #5-3 グール

 そして現在、わたしは九州の地で市民団体〈TABLE〉の人が運転する車に乗っている。  …

世界の終わり #5-4 グール

 涼は本当に九州へ逃げたのだろうか。藤枝の言葉を鵜呑みにはできなかったけど、九州に上陸し…

世界の終わり #6-1 メメント モリ

〈 SUV車内 / 福岡 久留米 〉 「ところで——きみはどうするつもりだい?」  国道3号線を南下し、久留米(くるめ)市に入ったSUVの車内にて、バックミラーとサイドミラーを交互に見遣りながら、柏樹は後部座席に乗る荒木へ問いかけた。 「どうするって、なにを」  不機嫌そうな顔をみせて、荒木は質問で返す。  その直後に、意図せず発せられた攻撃的な音と振動とが、車内に緊張をもたらした——音の正体は荒木の組み替えた足が、助手席に座る天王寺のシートを蹴ってしまった音だった。  前