世界の終わり #5-5 グール
「待て——妙だ。なにかおかしいぞ」
視界にとらえたフォレストホテル。
だけど丹田さんは車のスピードを落として、正門よりも手前で停車した。
「どうしたの? 妙って、なにが?」
手にもった棒状のスタンガンを握り直して訊いてみたけど、質問に返してきたのは白石くんだった。「板野さん、このホテル、無人じゃありませんよね? なんの用があってこんなところまできたんです?」
警戒した声。
「誰かいるな」
「誰かいますね」
「近づいても大丈夫なのか?」丹田さんが問う。「門の前に車がとま