名ドラマーのユリシス・オーウェンスJrが新たなグループ《Generation Y》を結成し、『A New Beat』を発表した。音楽的にはビバップ/ハードバップを基調にしたオーセンティックなジャズの現代版なのだが、僕はこのアルバムを聴いてものすごくテンションが上がった。すごく興奮した。
その理由はこのバンドのメンバーにある。クレジットを見るとそれなりのジャズ好きでもおそらく聞いたことがないだろう名前がずらっと並ぶ。それは当然で、多くのメンバーがまだ音源をリリースしていない、もしくは録音に参加したこともない20代の若手ばかりだ。
しかし、この若手たちが実に素晴らしいのだ。とにかく演奏がフレッシュで、どこを切ってもエネルギッシュで意欲的な演奏が続く。ビバップやハードバップが生まれた時代、ジャズ・ミュージシャンたちの多くは若者だったし、彼らが演奏するジャズにはまるでロックやパンク(今だとラップか)のような熱量があった。パワフルな若いエネルギーがジャズの魅力でもあった。ここでの若手たちの演奏を聴いていると僕はそんな勢いを感じたのだ。とにかくこのアルバムはどこまでも瑞々しく、早熟な洗練も粗削りな躍動もすべての瞬間が美しい。
今回、今、最も心躍る“ジャズ”が聴けるこのプロジェクトについてユリシス・オーウェンス本人に語ってもらった。なぜほとんど無名の若者ばかりを集めたプロジェクトを始めたのか。そこにはどんな意図があるのか。来日公演を前にぜひ読んでほしい。
取材・編集:柳樂光隆 | 通訳:染谷和美 | 協力:コットンクラブ
◉『A New Beat』のコンセプト
――新作についてコンセプトを教えていただけますか?
◉Generation Yの若手たちのこと
――今回は学生も含まれたものすごく若いバンドです。でも、演奏のクオリティが尋常じゃなく高いです。こんなグループがどのように実現できたのでしょうか?
◉ユリシスがGeneration Yを作った目的
――あなたは先生でもありますし、若いマスターみたいな印象があります。シーンに出始めた若いプレイヤーたちとあなたの違いはどんな部分だと思いますか?
――なるほど。
◉若手をサポートし、チャンスを与えるジャズの伝統
――さきほどアート・ブレイキーの名前が出ました。アメリカのジャズにおいては、常に若手と演奏して、若手を育ててきたレジェンドが沢山います。そこに使命感を持っていた人もいると思います。そういった伝統はジャズにおいて重要なものなのでしょうか?
◉ジュリアード音楽院のこと
――さっき「今、スウィングのような音楽に取り組む若者は多くない」という話をされてましたが、一方であなたの新作を聴いていても優れたミュージシャンが沢山出ていると思うんですが。
――なるほど。
◉ユニークな声を持った若手をサポートすること
――彼らはすでにキャラクターも感じられるし、個性的でもあります。若いころに個性を獲得できた理由って何だと思いますか?
――ふむふむ
◉ロイ・ハーグローヴへの思い
――アルバムに「Soulful」というロイ・ハーグローヴの曲が収録されています。このアルバムの中でロイ・ハーグローヴの曲をやっているのは、何かしら意味があってやっているのかなと思ったんですが、どうですか?