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Review:Kurt Rosenwinkel - Caipi:メロディーと演奏がコネクトするカートの脳内で鳴っていた理想のサウンド

現代ジャズ最重要ギタリスト、カート・ローゼンウィンケルの新作はこれまでの彼のコンテクストとは少し異なる異色作だ。ペドロ・マルチンスアントニオ・ロウレイロというブラジルの新星や、マーク・ターナーベン・ストリートといった旧知の仲間、更にはエリック・クラプトンなどがクレジットされてはいるものの、ほとんどの楽器をカート自身で演奏し、自ら丹念に重ねた多重録音で生み出した架空のバンドサウンドだ。

僕はこれを最高傑作だと言い切ってしまうことに躊躇はしない。『Remdy』でコンテンポラリージャズの最高到達点を更新した時のようなインパクトがある。

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