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Jazz The New Chapter for Web

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シンコーミュージックから発売される『Jazz The New Chapter 』シリーズに関する記事や誌面に載せきれなかった未公開インタビューや掲載インタビューのアウトテイクなど… もっと読む
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#音楽レビュー

50 Best Jazz Albums of 2023 by "Jazz The New Chapter" #JTNC

毎年出している年間ベストの2023年版です。 Rolling Stone Japanの記事と合わせて読んでもらえると嬉しいです。 ◉50 Best Jazz Albums of 2023◉柳樂光隆が他媒体に書いた2023年の総括やおススメの記事◉2022, 2021, 2020年の年間ベスト

interview Oded Tzur:ラーガは”スケールとメロディーとの挟間にある何か”であり、”可能性の海”

僕はサックス奏者のオデッド・ツールにずっと関心を持っていた。 きっかけは2015年にドイツのENJA/Yellowbirdからリリースされ、国内盤もリリースされた『Like A Great River』だった。 インド音楽にどっぷりハマり、インドにまで学びに行ったオデッド・ツールという名の謎のイスラエル人はサックスの奏法から、音楽のコンセプトまでとにかく斬新だった。これまでに聴いたことのない質感のサックスを吹き、どんなコンセプトで出来ているのかわかるようなわからないような

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Review:Robert Glasper - Black Radio 3:前2作とは異なる制作プロセスと、シグニチャーを利用した連続性

本作はロバート・グラスパーの大ヒット・シリーズ『Black Radio』の3作目。これまで2作の延長にありながら、同時にこれまでの2作とは決定的に異なる作品でもある。 なぜなら過去2作はロバート・グラスパー・エクスペリメントのメンバーのケイシー・ベンジャミン、デリック・ホッジ、クリス・デイヴ or マーク・コレンバーグの四人とともにスタジオにこもって“バンド”で作っていた。『Black Radio』が1週間くらいで一気に作られたことはよく知られている。 本作は過去の2作と

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BADBADNOTGOODが『Talk Memory』に辿り着くまでの10年

僕にとってBADBADNOTGOOD(以下BBNG)はよくわからないバンドだった。そもそも最初の頃はいわゆるフリー・ダウンロードみたいな文脈で語られることも多く、”センスが飛びぬけて良いインディーロック(or ラップ)・リスナー向けの生演奏ヒップホップ系バンド”みたいなイメージでだった。そんな立ち位置のバンドは他に存在しなかったのと、(カナダ出身ということも関係あるのかもしれないが)アメリカのバンドと比べるとジャズ度やゴスペル度が低くて、他ジャンルとの相性が良かったのもあり、

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Nubya Garcia - Source:Disc Review without Preparation

ヌバイア・ガルシアの『Source』は何より彼女のサックスが素晴らしい。 彼女のサックスの音色=ヴォイスを音楽の中心にどっしり置いて、その演奏で真っ直ぐ勝負しているのに清々しささえ感じる。クンビアあり、アフロビートあり、レゲエ/ダブありの様々な要素が混じるバラエティ豊かな楽曲の中でそのヴォイスを最大限に活かすことで独特の情感を奏でている。 「Source」ではミドルテンポのレゲエのリズムの上で、サックスをリズム化させずに真っ直ぐなロングトーンも駆使して音色の魅力を推しつつ

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Interview Lauren Desberg:ローレン・デスバーグ:ブロードウェイ・ミュージカル、カーペンターズからR&Bまでを繋ぐ歌とジャズ

グレッチェン・パーラトやベッカ・スティーブンス、カミラ・メサなどなど、様々な個性のヴォーカリストが次々に現れるジャズシーンの中でローレン・デスバーグはちょっと異質だった。なぜなら出てきたときに「グレッチェン・パーラトに師事」というコピーがついていたからで、「グレッチェン、若手枠なのにもうそんなポジションかよ」的に驚いたし、ローレン自体もずいぶん個性的だったからだ。今思えば、グレッチェンの『Lost & Found』以降、とも言えるサウンドでもあるのだが、その楽曲や歌、録音やミ

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2020年のスタンダード・ナンバー:Sam Gendel『Satin Doll』とRafiq Bhatia『Standards, Vol.1』

■80年代以降のスタンダード・ナンバージャズの世界ではスタンダード・ナンバーと呼ばれる曲がある。 「枯葉」「いつか王子様が」「サマータイム」「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」「マイ・フェイバリット・シング」などなど、ジャズ・ミュージシャンのオリジナル曲から、ミュージカルや映画の名曲など、ジャズの世界で繰り返しカヴァーされて、定番曲となった曲のことだ。 ジャズ・ミュージシャンたちはそれらを繰り返しカヴァーし、多くの人が演奏してきた曲をどれだけ斬新なアレンジで、どれだけ斬新な

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Makaya McCraven - Universal Beings:Disc Review without Preparation

マカヤ・マクレイヴンの2019年作『Universal Beings』はNY、シカゴ、ロンドン、LAと分けた4部構成。このアルバムはこの年を代表する一枚であり、2010年代の重要作でもあると断言できる。 それぞれのセクションで、それぞれの地域に由来したメンバーとのセッションを行い、そこでは楽曲に関しても、現代のジャズの四ヶ所における地域性を示している。全てのセッションでドラムだけはマカヤが全て自分で叩いてて、それらの地域性や音楽性を的確に叩き分けて、溶け込んでいるのがまず驚

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ジャズリスナーのためのビヨンセ『HOMECOMING:THE LIVE ALBUM』

ビヨンセが2018年に音楽フェスのコーチェラでやったライブ音源が『Homecoming:The Live Album』としてリリースされた。世界が最も注目するフェスのためにビヨンセとそのチームがこのショーを #beychella と名付けて、特別に作り上げてきたプログラムは音楽史に残る偉大な記録になった。 その特別さに関しては、衣装とかメッセージとかゲストとか検索すれば詳しいものがいくらでも出てくるので、それらをググって参照してほしい。例えば、若林恵のこれとか必読。 ここ

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