経営者vs従業員問題

この問題は深刻だ。
これについて深堀した書籍というのを見たことがないのだが(あるかもしれないが知らない)実は永遠のテーマと言えるほど深いのではと思う。

だいたい世の中、従業員が不当に扱われているという訴えが主で、従業員がサボっているとか、まともに働かず困っているという話がクローズアップされる事はなかなかない。
世の中の大半が雇われだからというのが大きな理由だろうが、この意識の溝が埋まる事はおそらくないだろう。

私は両方の立場に立った事があるので、どちらの気持ちもわかるが、結論としては「与えられた仕事の9割やれている従業員ならば合格ではないか」と思う。
主体性などなくても良い。
その上で視座の高い従業員が存在したならば、もう大賞賛すべきだろう。
その人はなかなか得難い人材のはずだ。

以前にも書いた話だが、ある人物が不正を告発した結果、さらなる無能が重役に就いてしまい、会社が加速度的に傾いたという話がある。 
この人は与えられた仕事以上の余計な事をした訳だが、本人にとってその件は手柄であり、大金星であり、満塁ホームランだと今でも勘違いしたままでいるだろう。
これは従業員としては普通の感覚であり、自分が会社を傾けた黒幕そのものであるとは考えない
日産にて、カルロス・ゴーンの失脚に手を貸した者たちも同じだと思う。

経営者は基本的に従業員を無能だと考えて指示を出す必要がある。
何故なら世の中大多数が無能側の者だからだ。私もだが。
従業員にプラスアルファを望むのはわかるが、よほどイケている企業でなければ高望みになる。

ある女性起業家がエステの店を経営しており、2号店を出した直後に唯一の従業員が妊娠退職してしまい、結局開店してすぐ潰すことになったのだが、プロ意識がないと大変憤っていた。
経営者そのものではない従業員の妊娠出産にプロ意識などと言われても…と思う。そもそもその従業員に対して年間300万も掛けていなかっただろう。
この人は何度か失敗を繰り返し、最終的には一人で運営する事にしたらしいのだが、従業員に対して何かと不満の多いタイプはこういった小〜中規模事業者が多いように思う。
そして大抵は不十分な給与で働かせており、付け入る隙を与えてしまっているケースも少なくない。

ある元経営者のブログで、従業員は敵であると書かれていた。これはよくわかる。
幸いにしてそこまで痛い目に遭った事はないが、横領されたり備品を勝手に横流ししたり、情報を勝手にライバル社に持ち込むなどといった話もよく聞く。

(特に小規模事業の)経営者にとって望ましい人材というのは、実のところ能力云々よりも「モラルが高くほどほどに仕事をこなす人」ではないかと思う。

どのみち仮に有能な人材がいたところで、経営者本人の見識が狭いと有能かどうかの見極めすら出来ないのだから。


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