中国のスタートアップ企業

数年前、中国にシェアサイクルブームが起こり、mobikeを初めとしたシェアサイクル企業が乱立した時期があったらしい。
1ヶ月数百円で自転車乗り放題だったそうなのだが、日本のレンタルサイクルとの違いはどこに乗り捨てても良い点で、そこらじゅうにシェアサイクルの自転車が放置されるという大変カオスな状態になったそうだ。

しかし、最初に数千~数万台を自前で用意し、メンテナンスも企業持ちでユーザーからの収益は1人あたり数百円。しかもマナーの悪いユーザーも多く、自転車が倒れていても知らん顔。さらに低料金のためメンテナンスが追い付かず、パンクしたり故障したりで使えない自転車が山積みになったらしい。

結果としてシェアサイクルは超絶レッドオーシャンかつ低料金を掲げ過ぎて、ほとんど全ての企業が撤退、または倒産した。

何故、儲けを考えず事業を始めてしまうのか?と疑問に思ったが、CEOのインタビューを見て得心がいった。

とりあえず儲けは二の次で、まず市場を掌握する事が重要であり、儲け方については後々株主から意見を貰うという考え方らしい。

日本でもスタートアップ企業がしばしば採算度外視で拡大を図る事があるが、はるかにレベルが違う。
どう考えてもすぐ息切れするやり方なのだが、資金調達→拡大→資金調達→拡大→資金調達…で、誰もがそのサービスを利用している状態になってから初めて利益を出すのだろう。

シェアサイクルの事業は、無謀な拡大と安売りの失敗例という事になるが、その後もキックボードシェアリング等が流行し、街中廃棄された残骸だらけになるなどして同じく社会問題化しているというニュースを見た。

一見、リスク軽視のバカげた事業展開のようにも思えるが、他のジャンルでもこうした拡大方法が採られるのならば、淘汰の結果、無事残った企業の勢いは恐ろしいものになる。
良くも悪くも「中国」を表したエピソードだと思う。

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