読書感想「山に登る前に読む本」
能勢 博 著、山に登る前に読む本(ブルーバックス)という本を読了したので、感想を共有します!
★★★☆☆ 「山に登る前に読む本」というタイトルからすると期待外れ
6月の御嶽山登山中にAudibleで読んだ「山に登る前に読む本 (ブルーバックス)」は、登山に関する全般的な知識を得られると期待して手に取ったが、期待とは異なる内容だった。
本書のターゲットは中高年の登山愛好家
本書は副題にあるように、「運動生理学」の登山愛好家である医師が執筆されたものであり、中高年の登山愛好家様向けに書かれている。登山の歴史やおすすめの山、装備や登り方のテクニックなどを学びたいと思っても無駄である。登山中に体の中で起こっている化学反応などを難しい用語を使って説明しているので、初心者の方には理解しにくい内容となっている。
聞き慣れない山や地名ばかり
また、出てくる山も「常念岳」など、一般登山者には聞き慣れない地名ばかりで、置いてきぼりにされている感がある。長野県在住の私にとっては、松本市や北アルプスが出てきたので理解できたが、他の地域にお住まいの方にとっては分かりにくいだろう。
当たり前の結論と、唯一ためになった情報
結局、長い本書の結論は「体を鍛えましょう」「自分の体力に見合った山を選んで、ゆっくり登りましょう」という当たり前のことだった。
ただ、個人的に一番学びになったのは、「登山中はスポーツドリンクを飲みましょう。疲労感も筋肉痛も抑えられます」という部分だった。最近、スポーツドリンクを飲まずにお茶や水だけで登山をしていたため、登ったことのある山もかなりキツく感じていた。次回の登山からはスポーツドリンクを飲んでみようと思う。
その他、「人体の血液量は運動をしない人とアスリートでは2倍の差がある(鍛えると血液量が増えて疲れにくくなる)」という話も興味深かった。
無駄話が長く、退屈
しかし、本書には著者の無駄話が非常に多く、大学時代の経験談や学会での話など、長く聴かされたわりに学びになるものはなく退屈だった。特に若い頃の武勇伝は問題だと思う。無茶をして雪渓を滑落したり、川魚を獲ったり(生態系への影響や漁業権のことは大丈夫なのか?)、富士山山の石を外国人と落としたりと、「時効だから」と危険なエピソードを楽しそうに語っているところはいただけない。
総評:登山情報はYouTubeで学べる
結論としては、本書は読む必要はないと思う。現代では、YouTubeでいくらでも登山や滑落事例について学ぶことができるので、YouTubeで情報収集することをおすすめする。