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【サンプル記事】用語解説 - SDGs

(タイトル)
フードバンク(Food Bank)とは?意味と背景、海外や国内の取り組み事例や私たちができることを解説

フードバンクとは? 

フードバンクとは、食品メーカーや小売店、個人から、食べられるものの販売できない食品を引き取り、それらを福祉施設や生活困窮者等へ無償で提供する活動である。

1960年代に米国で始まり、日本では2000年ごろから活動が開始された。

この活動が始まる前は、賞味期限が近づいた食品や、規格外品、包装ミスの商品は廃棄されていた。

だが、これらを有効活用することで、食品ロスを削減しながら、困っている人を支援できるため、企業や個人、環境にも優しい取り組みとなっている。

フードドライブとフードパントリーとの違い 

フードドライブ
フードドライブとは、各家庭から消費しきれない商品を寄付してもらい、集まった食品をフードバンクや福祉施設、地域の団体などに寄贈する活動を指す。

食品を集めることが主な活動であり、町内会や職場、小売店などで短期的なイベントとして行われる場合が多い。

フードパントリー
フードパントリーとは、フードバンクやフードドライブで集められた食品を、直接必要とする人に配布する活動を指す。

子ども食堂や福祉施設など、食糧支援を求める人との関わりの場を提供する、小規模な団体により行われることが多い。

つまり、フードドライブにて家庭から食品が集められ、フードバンクでまとめられ、フードパントリーを通して食べ物を必要とする人に行き渡る仕組みとなっている。

注目される背景

 年々、フードバンクに注目が集まっている。ここでは、注目される背景について説明する。

食品ロスの問題 

1つ目の注目されている理由は、食品ロスに関する問題があげられる。

SDGsにおいて、食品ロスは「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる」と掲げられている。

それにもかかわらず、日本では年間612万トン(2017年)の食品ロスが発生している。

国民1人当たり、約54kgの食べられる商品が廃棄されているのだ。

そこで、2019年に政府は「食品ロスの削減の推進に関する法律」を制定し、貧困や災害などで食品の確保が難しい人に対して必要な施策がとられるようになった。

SDGsや、法律の制定により、フードバンクが注目され、関連団体は年々増加している。

貧困問題の深刻化 

2つ目の注目されている理由は、貧困問題が深刻化していることにある。

日本では、相対的貧困と呼ばれる、収入が低く、周りの生活水準に比べて物質的に恵まれていない状態にある家庭が増加している。

1985年ごろから相対的貧困率が増加しており、厚生労働省にて公開されたデータによると、2021年時点の貧困率は15.4%となっている。

そして、この比率は米国や韓国よりも高く、先進国で最悪の数値となっているのだ。

中でもひとり親の世帯が、全体の約44%を占めている。

貧困の深刻化が浮き彫りになり、フードバンクや子ども食堂など、食を通じた支援が注目されている。

フードバンク活動の流れ 

フードバンクは、以下の流れで活動を行っている。

  1. 地域の方や食品業界の企業から、余った食糧や包装ミスなど品質に問題はないが、廃棄対象となる商品を寄贈してもらう

  2. 寄贈された食糧を安全に保管できる場所に保管し、児童養護施設やシェルターなど、食糧が必要だと思われる団体を検討する

  3. 生活の状況を伺い、食品を本当に必要としている人に宅配業者やフードパントリーを通じて食糧を提供する。

フードバンクは、食糧を余らせている家庭や企業と、必要としている人をつなげる役割をしているのだ。

日本のフードバンク活動 

ここからは、日本のフードバンク活動について、説明する。

日本のフードバンクの概要 

1960年代にアメリカで発足したフードバンク。国内で目立った活動が開始されたのは2000年ごろである。

生活困窮者に向けた炊き出しの食材を集める活動をきっかけに、日本初のフードバンク団体が誕生した。

その後、2008年のリーマンショックによる景気後退で全国に活動が広がり、2011年の東日本大震災後に急速にフードバンク団体が増加した。

東日本大震災の際には東北の活動が活発化し、熊本地震では九州で活発化したことから、被災地域と関連した動きもみられている。

フードバンクを運営するのは、NPO法人やボランティア団体、市民の活動団体などが多く、2018年時点で100団体以上が活動している。

主要な団体と活動紹介 

セカンドハーベストジャパン 
セカンドハーベストジャパンは、日本初のフードバンクで、首都圏を中心に日本最大級の団体として活動している。

累計2200以上の企業から食品寄贈を受け、全国にある9つのフードバンクと連携し、食品の寄付を行っている。

また、物流企業と連携することで、倉庫スペースに食品をストックする仕組みを持っている。

セカンドハーベストジャパンでは、本来のフードバンクの役割を超えた活動をしている。

たとえば「ハーベストセントラルキッチン」と呼ばれる設備があり、企業から寄贈された食品を調理し、家庭や施設ですぐに食べられるようお弁当の形にして配布している。

フードバンクを推進する活動もしており、日本中でフードバンクに関する研究や講演などを行っている。

フードバンクかごしま 
フードバンクかごしまは、鹿児島で最初に設立されたフードバンク団体である。

九州で唯一、第三者機関からの衛星監査をクリアしており、食品を安全に正しく届けられる団体として活動をしている。

食品関連の企業から寄贈され、それを福祉施設や生活困窮者の支援コミュニティなどへ届けるパターンが多い。

また、地域でフードバンクを根付かせるために、企業や行政、NPO、大学などさまざまな組織と協力して活動を行っている。

組織が定期的に集まり、フードバンクかごしまの現状報告や、今後のあり方について話し合う場を設けている。

課題と今後の展望

 フードバンクは、団体の規模や地域によって生じる格差が課題とされている。

インフラ設備や人手が足りなかったり、ノウハウがなかったりするため、組織体制が十分に確立されていない。

また、福祉分野のつながりのみに限定し、分野を超えたつながりを持てていない団体もある。

今後の展望としては、企業からフードバンクへの寄贈窓口を一本化したり、各フードバンクの立ち上げを支援する組織を決めたりするなど、フードバンクごとの格差を無くすことが求められる。

私たちにできること

フードバンクに属していない一般市民の私たちにも、できることは存在する。

フードバンクへ寄贈する

1つ目は、フードバンクへ直接寄贈することだ。

フードバンクの多くは、在庫の問題から企業から寄贈してもらうことが多いものの、個人からの食品提供を受け入れている団体もある。

そのため、個人からの提供を受け付けている団体を探し、寄贈してみてはどうだろうか。

食品がない場合は、寄付をするのも1つの立派な支援方法である。

寄贈できる食品

  • 賞味期限が明記されており、残日数が2カ月以上あるもの

  • 未開封のもの

  • 日本語の食品表示があるもの

  • 常温保存食品

(例)
お米・缶詰・フリーズドライ食品・レトルト食品・調味料・お菓子・飲料

食品を無駄にしない

 2つ目は、食品を無駄にしないことだ。

食べきれない商品は買わない、食べられる分の料理を作る、といったことを心がけるのも大事である。

日常で食品を無駄にしない工夫をすることで、無駄がなくなり、食品ロスの減少につながる。

まとめ 

フードバンク活動は、SDGsに貢献し、食糧不足に悩まされている家庭を救う活動である。

また、日本においては相対的貧困や食品ロスといった深刻な問題があることを忘れてはならない。

この問題を真剣に受け止め、一人ひとりができることを考えていくことが、問題の解決につながっていくのではないだろうか。


参考記事
農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/foodbank.html

日本におけるフードバンクの現状と新たな可能性
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jyu/33/1/33_77/_article/-char/ja/

先進国最悪、日本の相対的貧困率…ひとり親の2人に1人が“貧困”のリアル
https://www.sbbit.jp/article/fj/119995

山形県米沢市公式サイト
https://www.city.yonezawa.yamagata.jp/6285.html

全国各地のフードバンクを一挙紹介!利用方法も簡単に解説 https://www.yoridori.jp/earth-note/foodbanking/

セカンドハーベストジャパン
https://2hj.org/

フードバンクかごしま
https://ksnk.org/


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