ACID JAZZの頃
ジャミロクワイの衝撃
ジャミロクワイ。2023年でソニーからのメジャーデビューから30年ってことだけど、やっぱその前、ACID JAZZレコードから出たシングルがもう強烈すぎて目眩がした思い出。アシッドジャズ〜クラブジャズっていうのは、当時勃興しはじめたばかりのDJカルチャーにおけるダンスユースに使えるフロア対応のジャズ、ということであったのだが、最近でもまだ「あんなの偽物だよ」って言ってる人がいるみたいに、ロックマニアからもジャズファンからも、本格的なものではないと馬鹿にされてた感じがあるし、ニューウェーブの頃にもあった雰囲気だけのヘタウマなんちゃってジャズのジャズファンク版だろくらいにしか思われておらず、まだまだアングラカルチャーだったDJカルチャーにおける潮流であるがゆえに、オーバーオールのチャートなどはもちろんのこと、音楽マニアの間においてもその地位は結構低かった。ジャミロクワイの登場は、その評価を完全にひっくり返した。楽曲も歌唱も本格派でああることは一聴瞭然であり、キャラクターもポピュラリティーを得るためには十分なキャッチーさを兼ね備えていたのであった。その後ソニーが大枚叩いて契約を獲得したというニュースが流れた時は、さもありなんと思ったものだった。
youtu.be/WGfkIGeDUag
ACID HOUSE?
1989年〜1990年にかけて。ACID JAZZというものがロンドンのクラブで流行っている、ということは雑誌だったかラジオだったかは覚えてないが、そこここからなんとなく情報としては見知ってはいたものの、実際どんなもんかは聞いたことがなく、当時808 STATEとかLFOとかが ”ACID HOUSE” などと呼ばれていたため(今聞くとそれらはハウスというよりテクノなのだが。実際それらのような打ち込みサウンドに "ACID"を冠するものは、 "ACID TECHNO"と呼ば
れるようになっていく)、それのジャズ版?それともそれらよりもっとジャズっぽいハウスとかテクノとか?としばらく謎につつまれていたわけである(808 STATEには"PACIFIC 202"という、サックスがフィーチャーされた曲があったので、そういうのの延長なのかな?とか思っていた)。
Dee-LiteとJTQ
んで、大学の友達が「ACID JAZZはいいよー。ジェームス・テイラー・カルテットっていうのがいいんだよ」なんて言うもんだから「えーその人シンガーソングライターかなんかじゃないの?」(当時はそっちのジェームス・テイラーも名前を聞いたことがあるくらいで、ほとんど聞いたことはなかった)と返したら、「名前が一緒なだけで全然別人だよー。一回聞いてみ」というんで聞いてみてびっくり。ありゃこのベースライン知ってる。Dee-Liteの "Groove is in the Heart" のやつじゃん。
ってんで、偶然にもその成り立ちというか、立ち位置というか、ブレイクビーツやサンプリングの元ネタになってるものを、生演奏でやるのがカッコいいべ的なあり方、そういうものがスッと理解できたし、そもそもオルガンジャズは元々好きだったし(ジミー・スミスやワルター・ワンダレーは中学高校の頃から聞いていた)、こういうガレージロックみたいな、もしくは宅録ニューウェーブみたいなサウンドも元々好きだったしで、すぐにはまってしまった。
ACID JAZZとTalkin Loud
そんで、ちょうどそうやってJTQを知ったタイミングで、新譜が出たってよ、って
んで買ってみてまたビックリ。ACID JAZZレコードからメジャーのポリドールに移籍して、3枚目ということになるのか。オルガン・ジャズ・ファンクのインストバンドだったのに、ゴリゴリのハウスビートに黒人ボーカルのボーカルチューンになってる。でもこれはこれでいいかと受け入れた。
というか、ACID JAZZレコード自体も IncognitoとかBrand New Heaviesとかジャミロクワイとか、そしてもう一方のクラブジャズの代表的レーベルであった Talki'n Loud の方もガリアーノとかYoung Disciplesとか、そういう歌物やラップがフィーチャーされたものの方が結局主流になっていくのであった。
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Blow up
JTQの「Blow up」のベースラインがテイ・トウワがメンバーであったDee-Liteの「Grooves is in the heart」のサンプル元であることは前述の通りだが、そもそも「Blow up」という曲は、ミケランジェロ・アントニオーニ監督の「欲望」という映画のサントラ/テーマ曲で、ハービー・ハンコックの作曲によるもののカヴァー。そうした流れでそのサントラの存在を知り、CDを買ってくる。当時はネットもなく、CDショップの店頭にあった試聴機にもこうしたCDが入っているわけもなく。こうやって数珠つなぎのようにして、音楽を知っていくほかなかった。
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このサントラにはYardbirds の「Stroll On」も収録されているのだが、映画収録用に権利関係を別モノとするために「Train Kept a Rollin'」の別バージョンとして作られた曲で、こちらはシーナ&ロケッツの「レモンティー」の元ネタでもある。数珠つなぎである。
Always there
そのJTQと、やはり前述したACID JAZZを代表するアーティストとして挙げた Incognito、そのどちらもアルバムにも収録されていた曲に「Always there」という曲があって、どちらかのオリジナル曲というわけではなさそうだと思い調べてみると、やはり RONNIE LAWSというアーティストのカヴァー曲であったことを知ったり。
そんでさらに、その RONNIE LAWSのアルバムに収録されている「Friends and Strangers」という曲が、昔FMラジオの交通情報やテレビの天気予報のバックでよく流れていたDave Grusinの「Friends and Strangers」の原曲であることを知ったり。数珠つなぎである。
youtu.be/_2or5RqfyIc
mission impossible
いや、そもそもそのJTQのポリドール移籍前のジャズ・オルガンコンボサウンド時代のアルバムのタイトルが「mission impossible」なわけなので、そこに惹かれたというのもある。当然子供の頃から印象に残っていた曲で、エレクトーンの発表会なんかでもよく演奏されていたので耳馴染みもあり、大好きな曲であったが、CDとして買ったのはJTQのカヴァーの方がサントラより先だったと思う。しばらくたってスパイムービーサントラベスト、みたいなコンピも買ったし、もちろんオリジナルサントラ盤も買った。ここからラロ・シフリンのサントラ(有名な「燃えよドラゴン」、スティーブ・マックイーン主演作「シンシナティ・キッド」「ブリット」など)やオリジナルアルバムも聞くようになっていく。数珠繋ぎ。
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