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人の営み結局全て、出逢うことだけが本質だ

2月から、晴れて正社員として働くことが決まった。
新卒から2年間勤めた接客業から、事務職へ。
去年の年明け頃に一度転職活動をしてみて、とても当時の仕事との両立は出来ないと分かって5月に退職。それからは失業手当の給付を受けたり、アルバイトをしたり。色彩検定の勉強をして合格したり、オンラインスクールに登録してphotoshopをインストールしたり。北海道の先輩に会いに行ったり、好きなイラストレーターの個展を見に名古屋に行ったり。土日にはカレンダー通りの休みの人と、平日には平日が休みの人と遊んだ。たくさん遊んだ。


「世界は誰かの仕事でできている」
缶コーヒーのCMの有名なキャッチコピーだ。
私のまわりには、平日休みの人と、土日休みの人がいる。
私は平日休みの人から、土日休みの人になる。


幸いなことに、本当に幸いなことに、今の私には声をかけると喜んで応じてくれる人がたくさんいて、一度顔を合わせて解散した後、やっぱりまた会いたい人だ、また誘おうと実感することの方が多い。

年々上手くやれている自負があって、人付き合いといえば大学からだ。高校は悪くなかったが今も続く交流はない、中学はイジメとかは別になかったがちょっと失敗したよな、小学校まで遡ると出来れば思い出したくない。


今も交流ある人たちのうち、大学の学科友達は平日休み。
所属していたサークル仲間はエンジニア率が異様に高くて、ほとんどが土日休み。
もうひとつのサークルの同期は、新卒で働き始めた時は半々だったが、みな転職して土日休みになっていった。私が最後だ。
卒業してから新しく増えたのは、新卒でお世話になった職場の人との繋がり。シフトが発表されるのはいつも直前で、確定したのが15日の朝だったこともある(勤めていた会社は1/15-2/14というように、シフトが半月ずれていた)。常に人手不足で、基本的にスタッフの休日は被らないようにされているから、むしろ私が退職し、自由人になってからの方が予定が合わせやすく、仲良くなった。


もう8-22時で勤務することもないし、その翌日の出勤が7時になることもない。希望休を申請したら6連勤がくっついてくることもないし、年末年始休暇も夏季休暇もきちんとある。国民の祝日も享受できるし、立ち仕事でなくなるから休日をきちんと好きなことに使えるだろう。
私が望んで、行動した結果だ。


けれど、私はこれまでに仲良くなり、これからも仲良くしていきたい人と疎遠になるのは嫌なのだ。


面接のとき、休日が変わると今まで遊んでいた人と会えなくなったりとかは大丈夫ですか、と聞かれた。
休日が変わることに関する確認は他の会社でもあったけれど、人付き合いにフォーカスしてくるのは珍しいなと思った。優しいなとも思った(ちょろい)。

「平日が休みの友人も、休日が休みの友人もいて、本音を言えばその両方と遊びたいんですけれど……両方休日の仕事って、ちょっと、無いじゃないですか笑」
冗談めかして答えると、面接官は相好を崩してくれた。


愛想よく答えられたと思う。
けれど、決して冗談なんかじゃない。私の本心だ。


激務を乗り越えてシャバの空気を吸うように月曜日に会う関係も、人間の多さに慄きながら土曜の夜に飲む関係も手放したくなんかない。SNSで繋がっていれば生存確認にはなっても、同じものを見て笑ったり、寒い寒いと言って手近な建物に逃げ込んだり、いい時間だけどこの後どうするのかなとそわそわしたり、途中でちょっと眠くなったりする一日でしか撚れない太さの絆があるじゃないか。

何度だってあなたや、君や、貴方と会っていきたいよ。もっとお喋りしてほしい。行先なら私が探すから、一緒に行ってくれないかな。飲食店へのアンテナには自信があるんだ。あなたが喜びそうなイベントにも。


フリーランスとか、投資とか、パートとか、平日と土日祝の両方休日にしながら稼ぐ方法も、無いわけではない。
ただ、今の私にとっては現実的ではない。
スキルが無いし、実家暮らしのうちは親が絶対に許さないし、人と会うのはそれなりにお金を遣う。


入社から半年経ったら有給が付与される。気兼ねなく申請できる会社だと良いな。
繁忙期の1ヶ月ほどを除けば自分の裁量で退勤できるらしいよ。
就活や転活は仮面舞踏会だ。求人票も履歴書も面接も、取り繕った仮面だと思ってる。どこまで本質なのか、びしっと見抜ければ苦労は無いんだけど、実際入ってみなきゃ分からないな。


だから平日休みの友人とは今までみたく一日中遊ぶとかはしばらく出来そうにない。
ちなみに入社即繁忙期の様子なので、晴れて休みが被る人とも難しそうだったりする。


そんなわけでここ2週間ほどでめちゃくちゃに声をかけまくってあちこちに出かけている。それでも予定が合わない人も、どうしても直前に都合が悪くなってしまう人もいる。

前職繋がりの年上のお姉さんと近況報告会をしたら、こんな話をしてくれた。

彼女の友達が、名古屋に転勤になったそう。
私が軽率に「ええ~っ」っと驚くと、彼女は言う。
「ちがう、ちがうの。私も最初そう言ったんだけど、その友達がそれでいいじゃん、って。また会いたいけど、会ってもどうせ半年に1回じゃん。だったら東京でも名古屋でも一緒だよ。会えるよ。むしろ旅行気分でどう?お互いに案内しあって、ついでにリフレッシュでもしちゃえばいいんだよ、って」


そう。確かにそう。

こんなに会いたいと連呼していても、人間、生活するだけで忙しくて手帳は大小様々な予定で埋まっていくし、社会人の予定合わせは1ヶ月先になることがほとんどだ。体調を崩してしまったり、ここぞとばかりに残業が邪魔をしてきて消し飛んだりする。部屋を掃除する日や美容院に行く日も必要だし、一人で家に籠ってゲームしたい日もある、はずなのに気づいたら夕暮れになってる日もある。


だから、まあ半年に一回くらい。
どっちかの仕事終わりとか、休日のうちの数時間、予定を合わせる感じで。
どうかこれからも、私と会ってくれると嬉しい。
欲張りなんだ。
なにひとつ、諦めたくないし、手放したくない。


仕事が変わったくらいで、手放したい関係なんて、今の私にはないってこと。
人の営み結局全て、出逢うことだけが本質だ。
これからも、守っていく決意。

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