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アルファ世代の子どもたちから学んだ対話力と調整力〜デジタルとどう向き合う?〜

こんにちは、あいすかです。
9月に入り、いかがお過ごしですか?
今年の夏は猛暑でしたね。少しペースダウンして身体を休めようかな、と思う今日この頃です。
そういえば、この夏、ショッキングなことがありました。
わたしのペンネーム「あいすか」をGoogle翻訳で変換してみたら、なんと「老人」とでてくるではありませんか!
急いで、フィンランド在住歴が長い知人に聞いてみたところ、フィンランド語では「お袋」のようなニュアンスのスラングであり、最近では思春期の男の子でも使わないよ、と。
一瞬、冷や汗をかきました。
わたし、お袋キャラではありませんが、これからも大好きな「あいすか」で書いていこうと思います。どうぞ宜しくお願いいたします。

さて、また前置きが長くなりましたが、今回は子どもたちのオンラインコミュニケーションにおける考察と、これからのデジタル社会への期待について、保護者としての視点も合わせて書いてみたいと思います。

しばしお付き合いくださいませ。

アルファ世代とオンラインコミュニケーション

先日、小学生の娘と一緒にオンラインコミュニケーションという講座に参加してきました。
我が家の娘は、キッズ携帯もスマホもまだ持っていません。
夏休みのある日、近所に新しくできたワーキングスペースで、オンラインコミュニケーションの単発講座があると知り、娘と参加することにしました。

ちょうど娘と同い年の小学高学年の女の子が数名いて、みんなそれぞれ違う学校区から参加していました。娘以外の子は既にスマホを持っていて、お父さんやお母さんとの連絡ツールのみならず、お友達とチャットを使用している子たちも数名いるなか、スマホを持っていないのは娘だけでした。

学校から家までは近いし、お友達と登下校は一緒だし、私も在宅で仕事をすることが増えていたので、スマホを持つ必要性がなかっただけなのです。なので、この子どものデジタル界隈に関しては、わたし自身がほぼ無知だったのです。

講師の方はオンラインでの情報調査に精通された方で、本業の他、中学校や高校に呼ばれ、直接学生に向けてオンライン上でのトラブルや友人間でのSNSのやり取り方について、ワークショップ形式で取り組まれているとか。

「デジタルネイティブと呼ばれるZ世代にむけた講座がこれまでは多かったので、アルファ世代のお子さんに向けた講座ははじめてなんです」

と保護者にむけてお話されたとき、「あるふぁ?」と聞き返してしまったのも、わたしだけでした。

アルファ世代(ジェネレーションα)とは‥・2010年〜2024年頃までに生まれた世代のこと。ミレニアル世代の子どもにあたり、2022年現在、小学生6年生以下にあたる。オーストラリアの世代研究者でコンサルタントのマーク・マクリンドル氏が2005年に提唱し、Z世代に続く世代を呼び表す名称。(こちらのサイトより引用

2010年にInstagramがはじまっていますし、アルファ世代は生まれた時から既にSNSやタブレット端末が発展している環境にあるんです。娘の公立小学校でも、一人1台タブレットが貸与されていますし、(まだ地域差はあるものの)このコロナ禍もありオンライン授業も日常的に行われるようになりました。スマホネイティブであるZ世代に続き、さらにデジタルネイティブとなるアルファ世代。彼らはまだ小学生以下なので、実際にはまわりの大人たちがデジタルとどう接しているか、そこが現段階では大きく影響してくると感じています。

ちなみに、娘は通っている公立小でタブレットを使った動画作成や資料作成も経験済みだったので、スマホを持っていなくても、今回のワークショップではキーボードでのローマ字文字入力は操作でき、ワークショップにも無理なく参加できていました。

適切なコミュニケーションができる子どもたち

今回の講座では、設定されたさまざまなシチュエーションのなかで、友達役の講師と子どもたちが個々でやり取りをする、というワークがありました。一人ひとり、パソコンが与えられ、講師と直接チャットでやり取りをし、あとで何を書いたか、みんなで共有する(同伴の保護者も何を書いていたのか、はじめてここで内容を知る)という流れでした。

たとえば、①お友達から遊びの誘いを受けたが用事があるため断らないといけない時、②お友達から他の友達の悪口が届いた場合、等々。
そういう場合、どのようにお友達にチャットで返信するか、結構リアルに想像できるであろう場面のシュミレーションです。

子どもたちは「むずかしい……」と言いながらも、黙々とパソコンに向かい、さほど時間もかからず返信を書き終えて送信していました。

シェアタイムでの一部を紹介します。

①お友達に断る時の返信として(日曜日に遊ぼうという内容)
 「火曜日だったら遊べるよ」
 「その日は用事があるんだ。ごめんね( ノД`) ←泣き顔の絵文字」

②友達の悪口(Aちゃんムカつくんだけど)
 「私はそうは思わないなぁ」
 「どうしてそう思ったの?」

など、約半数の子は返信の文章がことのほか短い。
そして講師がその理由を聞くと、「学校のお友達っていう設定だし、学校で会って話せるんだから、あとで顔をみて話せばいい」と、的確な理由がちゃんとありました。

絵文字に関しても、「涙マークという見て分かりやすい絵文字をつけると、遊べなくて残念だという自分の気持ちを伝えることができる。(文章を見て)相手がどう感じるかは相手が決めること」と、子どもたちは講師に説明しながら、返信する前に自分自身と心の中で対話した過程をみんなに共有していたのでした。

大人のほうが、LINE等のチャット機能で長文で書き、絵文字をいくつも使い倒していたのかもしれません。思いのほか短文でも伝わるということや、会って直接話せばいい、と冷静に判断していて、びっくりしました。
スマホやタブレットで時間をかけて長文を書く、という概念が、すでに小学生にはないのかもしれませんね。

この後、講師からもアドバイスがありました。
ちょっと返答に困る内容が送られてきたら(人の悪口とか)即レスをしない。相手が怒っていたり、イライラしている時間、ヒートアップしている気持ちが落ち着くであろう時を想像して、数時間経ったころに「大丈夫?」くらいの短文に留めて返信する。
なるほど、やはり、相手の立場を想像し、自分と相手との関係性を考慮した上でコミュニケーションをとるということ、基本は同じなのだと思いました。

デジタルネイティブであっても段階が必要

高学年になると、小学生もまわりのことをよく考えてコミュニケーションをとっている、と感じつつ、やはり実際の対面とオンラインでは、相手の姿がみえるか、みえないか、といった環境設定が全く異なります。

講師も言っていましたが、日本では、とくに小学高学年から中学生になるくらいの時期にオンラインでのトラブルが多発するそうです。それまで親がフィルターをかけていたり、スマホ使用も制限していたところから、フィルターを外し、自分のスマホを持ち始めた時期にあたるそうです。
情報があふれているなかで、フェイクニュースもたくさんあります。何がどう正しいのか、情報の真偽を見極めるための手段を、大人ですらよく分かっていない。
デジタルネイティブとはいえ、全く恐れずに使用することは、今の日本ではまだ難しいのかもしれません。
なぜなら、提供している大人たちが子どもの頃になかったモノなので、経験として身体に沁みついていないから。

これからの社会を担う彼らにテクノロジーがいかに大きな影響を与えていくのかを、今の大人たちがもっと認識すること、そして企業など提供する側の大人たちには倫理的なサービスやコンテンツをつくることを第一優先して欲しいと、心から思います。

これからの日本でのAI、VR社会に期待を込めて

今回の体験を通して、わたしは約1年前にインタビューさせていただいたMari Pennanen(マリ ペンナネン)の記事を思い出しました。

●フィンランドでは私たちの世代(40代)以降から現在までは、学校で感情を表現することを学んできたこと
●教師も各々の裁量で多様な手法を用いて、感情表現スキルを生徒たちに伝えることが認められていること

Mariさん自身も、360度VR(バーチャルリアリティー)の技術を使い、美しいフィンランド湖水地方の景色や、自然と密に結びついたナチュラルウェルビーイングな生活を世界中に発信しています。

AIやVR技術は、プログラミング教育、ゲームや遊びをさらに超えて、環境問題や社会問題にも学んだ知識を活かしていけると期待が高まりました。
AI、VR技術を個人の生活スタイルに落とし込み応用しているという面で、フィンランドは日本より少し先にいるのだと思います。

しかし、今回、オンラインコミュニケーションを親子で学んでみて、肌感覚なのですが、このアルファ世代=デジタルネイティブの子どもたちへの期待が膨らんでくるのです。
まだ、集団生活重視、横並び授業、協調性を過度に重んじる、などといわれている日本の学校教育ではありますが、デジタル環境は整ってきているし、学びの幅も、まわりにいる先生方をはじめ、大人たちの捉え方も数年前と比べても前進しています。

アルファ世代は、環境への適応力や、新しいスキルを常に学び続ける力が求められる、といわれています。
だからこそ、いまの社会を担っている大人は、自分たちのこれまでの経験を超えて学び続けなければいけないと思うのです。

2児の母であるわたしは就職氷河期かつ失われた世代出身です(ネーミングが悲しい…)。
でも、子どもたちにはまだまだ負けてはいられません。
日々精進!!です。

Text by Äiskä あいすか(Cheer up girls★かあちゃんライター)


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