フィンランド魂「SISU」を理解して取り入れようー「フィンランドの幸せメソッドSISU」を読んで
こんにちは、ひらみなおこです。
突然ですが、フィンランド人が持つと言われる「SISU」ってご存じですか?
SISUは他の言語に翻訳できないと言われていて、端的に表現することが難しい概念です。
今回、私はこのSISUを理解するために、カトヤ・パンツァル著「フィンランドの幸せメソッドSISU」を読みました。すごく良い内容だったので、今回は私の感想も交えながらちょっとだけこの本のエッセンスをお伝えしたいと思います。
「フィンランドの幸せメソッド SISU(シス)」
フィンランドの文化を理解する上で、SISUを理解することはとても大事なことのような気がします。たまには、ちょっと哲学チックな難しいことも一緒に考えてみませんか?
そして、実はSISUを理解すれば、あなたの中にSISUを見つけられるかもしれません。
SISUってなんだろう?
この本の概略をざっくり説明すると、フィンランドに移住した筆者が、フィンランド人が持つSISU(シス)を自分の中に探す、という本です。勇気と忍耐を持ち、シンプルに自然体で生きる、そんなフィンランド人の生き方の秘訣がSISUであり、そのSISUを育み、折れない心のつくり方が紹介されています。具体的な方法として、サウナ・アイススイミング・森林浴、シンプルなエクササイズ・食事法・暮らし方が挙げられています。
この「SISU」をあえて日本語に訳すなら、「折れない心で困難に立ち向かう心のあり方」だと思います。
ところで、英語版タイトルの副題は、「In search of Courage, Strength and Happiness the Finnish Way」ですが、日本語のタイトルには訳されていません。だけど、私はここにSISUを理解するヒントがあると思ったので、私が日本語に訳すとしたら、「フィンランド流の勇気と強さ、幸せを求めて」かなと考えてみました。フィンランドの人々が持つ勇気と強さ、幸福の源がSISUなのだと理解することができました。
私がこの本を読んで一番最初に思ったことは、「SISUって端的に言うと『フィンランド魂』と表現できるのだろうな」ということでした。そしたら、なんと、訳者あとがきにもそう書いてありました。日本にも大和魂という考えがありますが、私はそれを言葉でうまく表現することができません。きっと大和魂も他の言語に翻訳しにくい言葉だと思います。
この本の中でよく出てくるのは「レジリエンス(立ち直る力)」「忍耐」「あきらめない」「心と身体」「前を向く(前に進む)」といったような言葉たちでした。この本を読んだ私がSISUを説明するとしたら、「困難な状況でも、自分を信じて、諦めずに挑戦する強い意志」です。そして、その強靭なメンタルは、健康な身体の上に成り立ちます。SISUには、メンタルとフィジカルの両方が必要です。さらに言うと、私は「健康な体を作るために、SISUを必要とすることもある」ということにも気づきました。卵が先か、鶏が先か、みたいな議論になりますが、次の章で説明します。
SISUってフィンランドの人たちだけのもの?
SISUはフィンランドの人たち特有のもの、と書いているサイトなどもあります。ですが、私はそうは思いません。
子供の時、自転車に乗るために練習しませんでしたか?私は子供の時は本当に運動音痴で、全然補助輪を外せなかったのですが、何度倒れても、怪我しても、泣きながら乗れるまでやってました。
逆上がりもそうです。
手にマメを作りながら、毎日毎日運動場の端っこで逆上がりの練習をしていました。結果的に、鉄棒は私の得意なことになりました。前回りとか後ろ回りとか、くるくるくるくる回転できるようになりました。
みなさんも同じような感じだったのではないでしょうか?
私は自転車と逆上がりの練習にSISUを重ねました。諦めずに挑戦するーーほら、日本人の私たちにもSISUはあるんじゃないでしょうか。
また、筆者のカトヤも「SISUは鍛えることができる」と考えています。「鍛えられる」ということは、「遺伝子的なものや先天的なものではない」ということです。
彼女はフィンランド人家庭に生まれていますが、カナダで育って仕事をしていました。両親の故郷であるフィンランドへ移住後、フィンランド人でありながら、フィンランドで暮らしてこなかった彼女が大人になってから「SISUとはなにか」を考えながら、SISU的な強さを得ていく過程が書かれているのが本書なのです。
彼女が実践したSISUを育む方法として、書籍では以下の5つが紹介されています。
①冷水治療
②サウナ
③ネイチャーセラピー(森林浴)
④健康的な食事
⑤身体を動かす
冷水治療の章では、彼女は、冬の海で泳ぐアイス・スイミングを実践していて、その心地よさが書かれています。「ひぇー!私にはできない!」と思いましたが、冷水シャワーでもいいと書いてあったので、実験的にさっそくやってみました。
「冬の海に浸かると、幸せホルモンが分泌される」という客観的なデータがあるそうです。幸せホルモンとは具体的になにか、という説明は書籍に譲りますが、私が実際に冷水シャワーを浴びてみたら、なんだかわからないけど、テンションが上がりました。なんだか楽しくなってきて、笑ってしまいました。幸せホルモンが出たんでしょうか?客観的なデータは取れませんが、楽しいという主観的な結果は得られました。
冷水シャワーのあとは、温かいシャワーを浴びるのですが、血行がよくなったのか、その後も体がポカポカしていました。というか、夏なので、めっちゃ汗をかきました。シャワー後に汗かいて、なんのためのシャワーだったのかと疑問に思うほどでしたが、冷水シャワーをしばらく続けてみようと思います。冬の海水浴には及ばないですけど、SISUを鍛えられるそうですから。
冷水浴には、私が実感した血行が良くなる以外にも、ストレスの緩和や、免疫力の向上といった健康面でのメリットがあります。冬の海に入ることはSISUを鍛える方法でもあるのですが、そもそも冷たい冬の海に入るという精神的身体的なチャレンジに挑むということ自体、「自分にはSISUが備わっているからできる」という自分への信頼があるから挑戦できるのではないかと思いました。
これが、「健康な体を作るために、SISUを必要とすることもある」の正体だと思います。SISUのためにSISUを必要とする、という禅問答みたいなところが、説明しにくい理由なのかなと思います。
ムーミンの世界にも流れるSISU
私なりのSISUの定義は、「困難な状況でも、自分を信じて、諦めずに挑戦する強い意志」です。この本の中で、カトヤはさまざまな分野の研究者に出会い、「SISUとは何だと思うか」という質問を繰り返しています。
その中で答えとして出てくるものは、生き方やマインドセットというような回答だったのが印象的でした。それを受けて私が感じたのは、SISUとは、良い結果を求める気持ちや行動、生き方であって、行動の先にある結果ではないですし、それに、必ずしも良い結果である必要はない、ということです。
フィンランドと言えばムーミンですが、ペールトーンのちょっと陰鬱としたカラーで落ち着いた雰囲気のアニメがなんだか怖くて、実は私はムーミンのアニメをほとんど見たことがありません。
最近はムーミンの哲学ちっくなところが日本でも広がっていて、ムーミンやスナフキンの名言が紹介されていますが、リトルミイの名言で、これはSISUだなと思うものがあったので、紹介したいと思います。
「前を向くことが本当の強さである」、そして、「進まなくてもいいから、前を向くことから始めよう」とリトルミイは言います。困難な時でも、前を向き、人生を歩む意志を見せるたくましさは、まさにSISUだと思います。前に進んだ先にあるもの(行動の結果)よりも、前を向くこと(行動)が重視されているように思いませんか。
子供向けのムーミンにまでSISUの本質が流れていて、フィンランド人がSISUを大事にしていて、また、当たり前すぎるから、アニメにも自然と反映されているのかなとも思います。
日本人的なSISUとは
SISUに関して、私なりの解釈をお届けしましたが、フィンランド魂SISUがどういうものか理解するヒントになりましたでしょうか?
SISUはラクして楽しい人生を歩める魔法ではありません。幸福度ランキング1位だからといって、フィンランドの人が毎日笑って楽しく暮らしているわけではありませんよね。進路や仕事、恋愛や家族のことなどで行き詰まることもあると思います。だけど、そんな時に、自分を奮い立たせて解決策を見つけようとする気持ちであり、すでに自分の中にある勇気と強さを再発見して、幸せを掴むための生き方がSISUです。そしてそれは、自分で鍛えることができます。
フィンランド人にフィンランド魂SISUがあるように、私たち日本人には大和魂や武士道精神があると思えば、辛い時にも、前を向いて歩いて行けるような気がしませんか?
最後になりますが、カトヤの2冊目の本が2022年9月21日に発売になります。
「EVERYDAY SISU フィンランドの幸せ習慣」
目次を見ると、日常レベルで実践できる習慣が書かれているようです。これも読んでみるつもりです。
自宅で簡単にできるのは、やっぱり冷水シャワーだと思います。ちょっと勇気を出して一緒にやってみませんか?気持ちいいですよ!
Text by ひらみなおこ(ふつうの会社員)
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