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私は不感症か否か?

"かわいい" は、今や "kawaii" と姿を変えて、海外に普通に浸透している共通言語だ。

そんな人間の一つの感情を表す "かわいい" という感情が、私には欠落しているのではないかという疑惑があった。

数年前、"かわいい" の巣窟であるディズニーに足を踏み入れた。

ディズニーといえば、ミッキーを始め、ドナルドダックなど、多くの人が "かわいい" と思うキャラクターがひしめく場所で、そこで "かわいい" と言えないなら、不感症と認定されるリトマス試験紙的な役割を果たす場所でもある。

多くのメディアで目にしていた時には、各キャラに対して特別な感情を抱くこともなかったが、直接会うことで何かが起こるのではないかと密かに期待を抱いていた。

私は開園と共にランドに突入し、ウェルカムグリーティングと称するキャラクター達との触れ合いに家族と参加した。

ハグしたり、肩を寄せ合ったりする中で、"かわいい" という言葉を発したがそれは、家族や周囲の空気に飲み込まれての "かわいい" だった。

『いや、これは出てきたキャラとの相性が単に悪かったのだ・・・』

そう気を取り直して、園内での新たな遭遇に期待する。

暫く園内の中を彷徨っていると、その時は訪れた。

ホセ・キャリオカというオウムのキャラに遭遇したのである。

突然のキャラとの遭遇に私の胸は高鳴った。

そして、土俵からの去り際に相撲取りの肩を叩くがごとくキャラをペタペタし、嬉しさを外から悟られないように噛み締めた。

『確かに嬉しかったが、かわいいとは何か違う・・・』

心からのかわいいを自身の中に確認できなかったという残念な気持ちを抱えながら、私は帰路についた。

それから暫く、モヤモヤを抱えながらの生活が続いた。

そんな時である。通勤中の車の窓の向こうに、普通の鳥とは明らかに動作が違う1羽の鳥に見つけた。もちろんホセではない。

その鳥は、スズメのように足を揃えてちょんちょん飛ぶでなく、ハトのようにゆるりと歩く訳でもなかった。

人が競歩するかのごとく全力で駆け巡り、急に立ち止まっては尾を上下に振る愛らしい動作をした。

その鳥は "セキレイ" という。

ピコピコ歩いて、kawaiiね!(^^)



あっ、自分には "かわいい" という感情がちゃんとあった!

単に、心の奥底の死角に隠れていただけだったのかもしれない。


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