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【投稿】最強のメガネランナーはいかにして作り上げられたか?

EKIDEN Newsフォロワーの方から
「堀尾選手のことを書きたいのですが、投稿してもいいですか?」
という問い合わせがきました。
「ええ。ぜひぜひ」とお願いしたところ、こりゃ、素人じゃないな(笑)
という原稿が届いたので、みなさん一緒に楽しみましょう。
テーマは「藤原正和監督からみた堀尾謙介選手像」
ペンネーム「笑門来福」さんです。

堀尾謙介選手ご自身の話はたくさん目にされていると思うので、今回は中央大学・藤原正和監督からみた堀尾選手像を追ってみたいと思います。 

堀尾選手がマラソンを意識したのは大学3年の夏合宿。箱根駅伝に向けた35km走でペースを崩すことなく余裕を持って走り終えたことから藤原監督に「マラソンをやってみてはどうか」と勧められたのがきっかけでした。 
本人はスピードがないと自認しているため(と言っても5000m13分33秒51!)、

将来的にはマラソンで活躍をしたいという考えから、昨年、大学3年の箱根駅伝終わりでの東京マラソンで、初マラソンを予定していました。しかしそれは怪我で断念。今年は2年越しの初挑戦となりました。 

12月に35km×1本(2時間20分)、1月に40km走×1本(2時間30分)。2月頭に40km走×1本(2時間20分)を行い「トータルの走行距離はそんなに行っていないが、ジョグの質は良いので10分は切れるかなと思っていた。天気が良ければ9分前後も」と監督は自信を持って送り出しました。 

藤原監督は堀尾選手を「ランニングエコノミーがいい。具体的には体重が軽いこと。そして183cmと長身で、手足が長く、特にアキレス腱が長いこと。体の大きさは鍛えてできるものではないですから。ご両親に感謝ですね」と評します。 

また「陸上脳」が高いそうです。「陸上脳」というのは、例えば普通の選手だったら「体がきついからやめよう」と思うところを、「体がきついけど今の自分には必要だ」と考えることができること。また練習メニューに対しても「こういう風にやろうと思っている」ときちんと意見を持って来ることなどだそうです。 

藤原正和監督は、ご自身が同じく中央大学4年の時に出場したびわ湖毎日マラソンで、初マラソンながら日本人トップの3位に入り、その年のパリ世界選手権代表に内定しています。しかし「私の時の練習パターンとは違います。私は箱根駅伝後、ずっと練習だけを積みあげて行きました。しかし堀尾はまだモチベーションが続かない。そのため、都道府県などの実践レースで刺激を入れて、怪我するギリギリのラインで臨んだレース」だったそうです。

また、藤原監督がそのびわ湖で出した2時間8分12秒という記録は、現在も初マラソン日本記録であり、学生記録でもあります。今回は「学生記録を破って欲しい気持ちもあったが、この雨なので10分切りが達成できれば」と思っていたそうです。 

今回MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)の出場権を獲得したことで、9月のMGCに出場し、一気に東京五輪を目指すだろうと周囲の期待は膨らみます。しかし「私自身がパリの前で失敗していますから。この1ヶ月間でどう考えるかですね。2024年パリ五輪を目指しても良いとも思いますが」と慎重な構えです。 

藤原監督は、前述のように、びわ湖のレース後に世界選手権が内定しましたが、実業団入社後に右腸脛靭帯炎を発症し、レース1週間前に出場断念を余儀なくされました。そんな経験を踏まえ、この1ヶ月でどう本人と方向性を決めていくのでしょうか。そしてその後は堀尾選手自身がトヨタ自動車の佐藤敏信監督らスタッフと決めていくことになります。 

「現在もある程度お尻や背中は筋肉がついていますが、あの大きな体を動かすにはまだまだ筋力不足。これからもっと身体が出来てくれば、7~6分、いや5分も見えてきます」と将来性は限りなく広がるだけに、どのような方向性を見出すのかにも注目したいところです。 

9年前の東京マラソン2010年大会。当時ホンダ所属の選手だった藤原監督は、日本人初の優勝を成し遂げました。冷たい雨の降りしきる中、スタート時の気温は5℃。フィニッシュ時はさらに下がって3℃という、今回同様、非常に厳しいレースコンディションでした。5km15分10秒というスローペースで始まり、後半を過ぎても30人という大集団で進みますが、40kmの給水所を合図に藤原選手がスパート。日本人6人を含む9名が、一斉にネックウォーマーや帽子、サングラスを脱ぎ捨てのスパート合戦が開始し、藤原監督が逃げ切るという、大会史上最もエキサイティングなラスト2.195kmでした。今回、ラスト1km丸の内の石畳に入ってから、どんどん迫り来る実業団選手達から逃げる堀尾選手は、9年前の監督の姿に重なって見えました。

そういえば、今回はネックウォーマーを着けている選手ほとんどいなかったですね(前の方ではペースメーカーの鎧坂選手と口町選手だけ)。前日までの天気予報は、曇り、スタート時が9度、フィニッシュ時は11度、風は2m。史上最高のコンディションとなる予報の中で、好記録続出を期待していたのですが。当日レース直前に降り出した雨、そして急激な気温の低下を予測し動くこともまた必要なことなのでしょうね。 

スタートラインまでにトレーニング、体調、メンタルを仕上げ、それでいてレース当日の状況を柔軟に感じとる心も残しておく。マラソンという競技は本当に奥が深いですね。そして素晴らしい初マラソンを見せてくれた堀尾謙介選手の今後は、ただただ楽しみでしかありません。 
(笑門来福)

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