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無料

仕事終わりに神戸の居酒屋にフラッと入るとそこは昔ながらの大将がやっているいい感じの個人経営の居酒屋。
※コロナが流行る前の話です。

生ビールを頼んで飲み始めると
、『兄ちゃんこの辺の人??』と隣で飲んでいる50代くらいのおじさん。

仕事で引っ越してきたことを伝えると


『何の仕事をしてるん?!絵描いてんのか!ほな描いてや!金は払わんで?!』

となんともパワフルなおじさんだ。
普段なら断る話ですが、絵描き全体をバカにされた様な気がしたので逆に『いいですよ~』
と伝えると

『おお!じゃああの子描いてや!常連さんや!金は払わんで?!』とおじさん。
そこに居酒屋の大将も参加。


『おお!おもしろそやな!無料やでー!』と大将。


(いやいやどんな状況?と思いながら作画スタート。)

超仕事モード。竈門炭治郎よりも全集中。
下書き、線画、カラーとドンドンハイスピードで仕上げていく。

それを見ていたおじさんと大将はというと
『え、、、すごいな~クオリティ、、え、、金、、ほんまに無料でいいん?』と気まずそう。
『ビールでも飲んでや!おごったる!』といい始めたおじさん。

僕は丁重に『いえ、無料です。ビールはもらえません。』とお断り。

気まずそうに完成を待つおじさんと大将と楽しそうに待つ女性とその周りのお客様。

絵が完成して常連の女性に見せると『え!!すごーい!!初めてかかれた!お兄さん奢ってあげる!なんか飲む?!』と言ってくれたのでそこは素直にビールを頂きカンパイ。

少し落ち着いた後に『なんで無料で描いてくれたん?』と引き続き気まずそうなおじさん。

『人がしてる仕事に対して「お金を払わずにやらせること」の意味をわかってほしかったから。』と伝えました。

その後引き続き呑んでいると意外にもドンドン仲良くなり、その後と飲み仲間として何度も飲みました。

これはそのオジサン達が嫌な人とかではなく、


在庫がない仕事

に対しての認識が甘く、悪気なく頼んでしまう人がいる。


たまに無料でも描く。
それは能動的に。特別な時に。
特に今みたいな世の中で困ってる人の中で自分に近しくて、自分が助けたいと思ったときに。

西野亮廣さんも言っていた『ボランティアは続かない』

聞くと他の職業でも結構あるみたい。
悪気はなくてもその仕事バカにしてると勘違いされる可能性が出てきてしまうので、これは気をつけたい。

『無償で何かをしてあげたい』

という感情はその人からわき出るもので、他社がお願いするものではないと思う今日この頃。


絵のタイトルは『犬の自粛』

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