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Botanical Illustrationは「科学的な植物細密画」

イギリスに10年も住むようになると、英語も日本語も曖昧でどっちも中途半端な、なんとなく感じて分かったつもりでいることが多くなってきた。英語で直接感覚的に理解しても日本語で説明できない、逆に日本語で理解しても英語でどのように説明したら良いのか分からない(英語での専門用語が分からない、異文化すぎて説明できない、知識としてあやふや。覚えてもすぐ忘れる等)。もともと「語学の才能がない」と自分で思っているので全く異なる日本語と英語の両方をマスターすることは私にとっては至難の技。さらに厄介なのがカタカナになった英語由来の日本語がイギリス英語で使われる意味やニュアンスが違っていることがたまにある。その違いがあることを把握した上で、私はこのnoteで自分の興味ある分野を英語と日本語の両方の言葉で正しく理解して説明できるために、そして自分が調べたことを直ぐ忘れてしまう性格を前提にここに書き留めていくことにする。

さて、今回のテーマは「Botanical Illustration(ボタニカルイラストレーション)とは」

結論から言うと、英語の「Botanical Illustration(ボタニカルイラストレーション)」は科学的に植物学の研究用に描かれた絵。あくまでも植物学の文献用で植物学者の文章を補助するために視覚的に分かりやすく植物学的に正しく、科学的にも正確に測られて描かれた細密画のことで、博物画の一種。日本語では「植物細密画」と訳されている。英語でのBotanical Illustration「植物細密画」はそれ自体を観賞の目的で描いたり、商業用に使う目的の為に描く事はない。観賞用や商業用の「Botanical Art(植物画)」や「Flower Paintings(花をモチーフにしたイラストや絵)」とはハッキリと区別されている。Botanical Illustrationとジャンル分けされる為には決まり事、「ルール」がある。イギリスでBotanical Illustrationといえば王立植物園で、ロンドンにあるキューガーデンは20万点以上のボタニカルイラストレーション(植物細密画)を保有し管理し、5人のボタニカルイラストレーターが植物学者の為にキューガーデンで働いている。「日本の植物学の父」と言えば牧野富太郎で植物細密画も自ら描いた。


調べたことを、次の3つに分けて詳細を書き留める。
1.Botanical Illustrationの意義
2.イギリスでの「植物細密画」のルール
3.イギリスで「植物細密画」といえば王立植物園

⒈Botanical Illustrationの意義

ボタニカルイラストレーションは英語で書くと、Botanical Illustrationです。
「英辞郎 on the Web」でBotanical とIllustrationをそれぞれ意味を調べましました。

Botanical :(形容詞)
「植物の、植物に関する、植物学の」
https://eow.alc.co.jp/search?q=botanical
Illustration:名詞
〔例などを使って〕説明[解説]すること
〔文字情報を補う〕図、絵、イラストレーション
〔説明を助ける〕実例、比較
https://eow.alc.co.jp/search?q=Illustration

’Botanical Illustration’ の述語では英辞郎 on the Webには意味が掲載されていませんでした。

Googleで検索すると’Botanical Illustration’について定義している英語の文献がヒットしました。

Botanical illustration
”Botanical illustration is the accurate pictorial depiction of plants and plant traits for a scientific purpose (Rix 2012), as opposed to flower painting, which has no further purpose than to be admired. ‘The flower painter fails if the work lacks beauty, the botanical artist fails if the work lacks accuracy’ (Stearn 1990, p. 7). However, in the best botanical illustrations, beauty is not sacrificed for truth of form (Blunt and Stearn 1994; Rix 2012; Figs 1, 2).”
引用元:https://bioone.org/journals/australian-systematic-botany/volume-30/issue-4/SB16059/Botanical-illustration-and-photography-a-southern-hemisphere-perspective/10.1071/SB16059.full#R256

日本語に翻訳してみます。

ボタニカルイラストレーションとは、科学的な目的のために植物や植物の特徴を正確に絵で描写することであり(Rix 2012)、感動を与える目的だけの為に描く花の絵画とは異なります。花を描く画家は、作品が美しさを欠くと失敗し、植物画家は、作品が正確さを欠くと失敗する」(Stearn 1990, p.7)。しかし、優れた植物図鑑では、形の真実性のために美が犠牲になることはありません(Blunt and Stearn 1994; Rix 2012;

科学的に植物学の研究のために植物学者の文献のイラスト用に描くのがBotanical Illustrarion(ボタニカルイラストレーション)です。Scientific Botanical Illustration と英語では「科学的に」を強調して説明したり、日本語では「植物画」の中でも「植物学的な細密画」で「植物細密画」と訳されている。

Botanical Illustraror(植物画家)は 植物学者と共に働き、植物学者の指示によって、あくまでも文献のイラスト用に植物画を描きます。Botanical Illustration (ボタニカルイラストレーション=植物細密画)は、それ自体が観賞用として商業用に使ったり、イラストを販売する目的で製作されることはありません。

次に、Weblio辞書では植物画として(botanical Illustration)で以下のような説明がありました。

植物画(botanical Illustration): 植物画(しょくぶつが)もしくは ボタニカル・アート(英: botanical art)は、博物画の一種で、草花を科学的に精確に描出するいわゆる「植物細密画」である[1]。「ボタニカル(botanical)」とは「植物学的」という意味であるため、直訳すると「植物学的な絵画」となる[2]。植物図鑑の絵(標本画)などが植物画である。植物画は、植物学・農学・薬学・地理学、あるいは園芸など植物に関わる学問・産業に資することが目的であるという点で、単なる植物の絵とは異なる。
https://www.weblio.jp/content/Botanical+illustration

ここでややこしいのが、ボタニカルアートや植物画と日本語で訳されてる英語の「botanical art」と「botanical Illustrarion」との違いです。

販売目的が先にあり描く植物画には英語で「Botanical Art」です。この「Botanical Illustration」Botanical Art」、「Flower Paintings」の違いは次回のお題で調べて説明しますのでこのページでは省略します。

2.Botanical Illustration「植物細密画」ルール

イギリスの王立植物園で植物学者と共に働くボタニカルイラストレーターは、そのルールに沿って植物細密画描かないといけない。主なルールは以下である。

ー生きている植物を観察し描く。
ー植物の各部分を正確に測定し描く。
ー形状から植物の品種が必ず識別できる絵であること。
ー1枚の画用紙に1種類の植物のみ。
ー白い画用紙を使い、背景は画用紙の白のまま。
ー花弁、茎、蕾、葉の表と裏を描く。
ー植物の生殖部の解剖図や種、根を描く。(描かない場合もある)
ー色彩は実際の色を忠実に表現している。
ー植物学までの深い知識は要らないが、植物の形状や生殖部を見分け、その専門用語を理解し正しく用いることができる。
ー依頼された植物学者と相談しながら強調すべき箇所を確認して描く。
ー科学的でありながら、芸術性もある仕上がり。

英語:
https://www.botanicalartandartists.com/what-is-botanical-illustration.html


解剖図の描き方の詳細は以下のサイトで参照できます。

植物画―解剖図の役割解剖図:
解剖図の描き方
https://www.hitohaku.jp/publication/book/kyousei11-p28.pdf

3.イギリスでBotanical Illustration といえば王立植物園

https://www.botanicalartandartists.com/what-is-botanical-illustration.html

ロンドンで植物精密画を見たいなら、王立植物園キューガーデン。

キューガーデンは20万点以上の植物細密画を保有し、5人のボタニカルイラストレーターが植物学者と共に働いています。

V&A:Victoria and Albert Museumはスタディルームがあり、コレクションとして保有している。

日本で最も有名な植物細密画家は植物学者でもある牧野富太郎

最後にまとめ

Botanical Illustration(ボタニカルイラストレーション)」は科学的に植物学の研究用に描かれた絵で植物園で植物学者と共に働き、植物学者が書いた書籍や文献の文章を補助するために視覚的に分かりやすく植物学的に正しく、科学的にも正確に測られて描かれた細密画のこと。英語でのBotanical Illustration「植物細密画」はそれ自体を観賞の目的で描いたり、商業用に使う目的の為に描く事はなく、観賞用や商業用の「Botanical Art(植物画)」や「Flower Paintings(花をモチーフにしたイラストや絵)」とはハッキリと区別されている。Botanical Illustrationとジャンル分けされる為には決まり事、「ルール」がある。


次回はボタニカルアートについて調べて書く予定です。


(参照サイト)

https://bioone.org/journals/australian-systematic-botany/volume-30/issue-4/SB16059/Botanical-illustration-and-photography-a-southern-hemisphere-perspective/10.1071/SB16059.full#R256

https://www.botanicalartandartists.com/what-is-botanical-illustration.html

https://www.kew.org/read-and-watch/meet-kew-illustration-team

追記:知らなかったのですが、東京都庭園美術館で「キューガーデン 英国王室が愛した花々 シャーロット王妃とボタニカルアート」開催中のようですね。東京に住んでいたら行きたいです。
https://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/210918-1128_TheRoyalBotanicGardensKew.html

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