「TOHOKU SOCIAL INNOVATION Accelerator(東北ソーシャル・イノベーションアクセラレーター)~東北社会起業家育成プログラム~」に採択されました
「TOHOKU SOCIAL INNOVATION Accelerator(東北ソーシャル・イノベーションアクセラレーター)~東北社会起業家育成プログラム~」とは?
仙台市とINTILAQ東北イノベーションセンターが企画する東北の社会課題起業家を育成する約半年間のプログラムのこと。
仙台市とINTILAQ東北イノベーションセンターは、SOCIAL IGNITION事業の1つとして社会課題を持続的に解決しようとする起業家を集中支援するプログラムを、2017年度からスタートいたしました。2019年度もさらにバージョンアップし、継続実施いたします。
2011年3月の東日本大震災をきっかけに、東北は様々な社会課題が顕在化した地域になりました。しかしそんな東北だからこそ、できることがたくさんあると私たちは考えます。
目の前の社会課題に対して「誰かのために」「地域のために」という想いを持って、一人一人が一歩踏み出せば、きっとこの課題は解決できると私たちは信じています。
社会を少しでも良くしていきたいというあなたの思いを、Vision/Missionという形で言語化し、メンターが伴走しながら、持続可能な形で事業計画に落とし込みます。「Vision」「そこまでの道筋」「社会インパクト」を明確化し、実現可能性を高めていくプログラムです。
SOCIAL IGNITION HP より引用
参加者は、約半年間のプログラムを通してビジネスプランを作成し、2020年2月に仙台市で開催される東北最大の社会起業家ピッチイベント「SENDAI SOCIAL INNOVATION SUMMIT」にてビジネスプランを発表します。
2018年の様子
概要
概要:社会的な課題に対して、持続可能な解決策に挑戦する社会起業家の成長を後押しし、東北のみならず国内外の社会課題に対してイノベーションを起こす人材を育成するため、多様な実践者による集中的な支援を実施するアクセラレーションプログラムです。
具体的には全6回の基礎講座と任意参加での17科目ある実践講座、社会起業家WSを通して「ビジョンの言語化」「持続可能な事業計画」「同じ想いをもったアツい仲間」が得られます(その他にも自分らしいプロフィール写真やなぜやるか?を説明する動画等々の制作も行われます。)。最終的には2020年2月26日に行われる東北最大級の起業家イベント「SENDAI Social Innovation Summit 2020」で登壇しプレゼンをします。
なぜ自分が参加しようと思ったか
今年の冬、10年近く務めた会社を辞め、自分の人生の生き方を自分で決めることを決意しました。はっきりとしたレールがあるわけではなく、レールを作るところからがスタートです。辞めてから気がついたことですが、会社員というのは社会的にものすごく守られているものです。しかし、会社員として守られながら働くというのは、ある意味楽なことではありますが、その分自分の足で歩いているという意識が薄くなるとも感じていました。
辞めてからネビラキという団体を立ち上げ、こちらで西和賀の自然の魅力を丁寧に伝えるエコツアーやイベントを企画しながら西和賀に住む人の自信や誇りを醸成するというビジョンを持って活動しています。
春先からカヌーやリバートレッキングといった今までの西和賀でメニュー化されていないことを事業化しやってきました。
しかし、スタートアップしたばかりということもあり、色々と手探りでやってはいますが、自分の生活のことも考えるとアルバイトをしたり他にも働かなければやっていけません。そうなると本当に自分がやりたいことってなんだっけ?とわからなくなることがあります。このままだと自分もネビラキもジリ貧だと思っていた矢先、宮城県丸森町でサウナをやっている方かからお声がけをいただきました。
この方は、MARUMORI-SAUNAを通して、ネットワークとコミュニケーションを提供し、一人ひとりの思いが萌え続ける東北にしたいというビジョンを持ってやっています。
実際に体験しに行きましたが、素晴らしい体験でした。豪雪地帯との相性も良さそう。
「SIAに出ませんか?」と声をかけていただいた時は正直悩みました。なんの実績もつくっていない私が参加していいのかという思いは何度も頭をよぎりました。しかし、「自分が本当にやりたいことはなんなのか」という問いを何度も繰り返していると、それは今の社会を良くしたいという思いであるということがわかりました。
また、先日行った、宮沢賢治の命日に毎年行われている〈賢治祭〉で聞いた朗読『生徒諸君に寄せる』の一節〈諸君よ 紺いろの地平線が膨らみ高まるときに 諸君はその中に没することを欲するか〉を聞いてハッとさせられました。
“生徒諸君に寄せる
中等学校生徒諸君
諸君はこの颯爽たる
諸君の未来圏から吹いて来る
透明な清潔な風を感じないのか
それは一つの送られた光線であり
決せられた南の風である
諸君はこの時代に強ひられ率ゐられて
奴隷のやうに忍従することを欲するか
今日の歴史や地史の資料からのみ論ずるならば
われらの祖先乃至はわれらに至るまで
すべての信仰や特性は
ただ誤解から生じたとさへ見え
しかも科学はいまだに暗く
われらに自殺と自棄のみをしか保証せぬ
むしろ諸君よ
更にあらたな正しい時代をつくれ
諸君よ
紺いろの地平線が膨らみ高まるときに
諸君はその中に没することを欲するか
じつに諸君は此の地平線に於ける
あらゆる形の山嶽でなければならぬ
宙宇は絶えずわれらによって変化する
誰が誰よりどうだとか
誰の仕事がどうしたとか
そんなことを言ってゐるひまがあるか
新たな詩人よ
雲から光から嵐から透明なエネルギーを得て
人と地球によるべき形を暗示せよ
新しい時代のコペルニクスよ
余りに重苦しい重力の法則から
この銀河系を解き放て
衝動のやうにさへ行はれる
すべての農業労働を
冷く透明な解析によって
その藍いろの影といっしょに
舞踏の範囲にまで高めよ
新たな時代のマルクスよ
これらの盲目な衝動から動く世界を
素晴らしく美しい構成に変へよ
新しい時代のダーヴヰンよ
更に東洋風静観のキャレンヂャーに載って
銀河系空間の外にも至り
透明に深く正しい地史と
増訂された生物学をわれらに示せ
おほよそ統計に従はば
諸君のなかには少くとも千人の天才がなければならぬ
素質ある諸君はただにこれらを刻み出すべきである
潮や風……
あらゆる自然の力を用ひ尽くして
諸君は新たな自然を形成するのに努めねばならぬ
ああ諸君はいま
この颯爽たる諸君の未来圏から吹いて来る
透明な風を感じないのか”
自分が豊かに暮らしたい、でもそのために周りも豊かじゃないと自分はいつまでも豊かになれない。宮沢賢治の世界全体が幸福にならないうちは個人の幸福はないという考えに近いのかもしれません。
無事、採択され12名の社会起業家としてこれから半年間学びを得てきます。
小川 智美「自己肯定感を高める教育」
瀬川 然「岩手県西和賀町から始める新しい地方創生(地域住民の誇りを取り戻す)」
高橋 そのみ「女性の社会的自立を目的としたICT教育の実践」
伊藤 彰 「3Dプリンター等の技術と地方高齢者(機能障害者)のマッチング」
浜出 理加「学びの場と機会提供による地方女性のエンパワーメントと人材育成」
越後 千寿「農家の繁忙期サポート/都会と地方をつなぐ仕組みづくり」
藤木 健「環境に特化した新しいプラットフォームの構築」
大和 一陽「北東北・岩手県内の学生に対する起業支援プラットフォームの構築」
佐々木 拓哉「幼児保育現場の環境改善のためのシステム構築」
伊藤 真結「高校生が好奇心に向き合える新しい形の学びの場づくり」
成澤 裕章「障害者の外出サポート」
中田 更紗「不登校になった小学生の居場所作り/小学生の自己肯定感を高める教育」
10月5日に早速第一回目の基礎講座がありました。
どの方も緊張していたようで、自分だけでなくてよかったとホッとすると同時にこれからの半年間への意欲が湧いてきました。
その中で主催者側の方が言っていたことで印象的だったのは下記です。
〈なぜ今社会課題なのか〉
最も需要と供給にギャップがある分野だから
〈なぜ難しいのか〉
単純な経済原理で説明できないから
〈なぜ思いが大切なのか〉
関係者が多岐にわたりお金で解決できないから
私がやりたいと思っていることと目指す社会は、今できていないからギャップがあり、儲ければゴールということもありません。遠くの国を元気づけるより、クセのある隣人を説得するほうが難しい理論だと思います。
起業し自分の足で立つようになってから地元の方から「まずは儲けてから好きなことをやれ」と言われることもあります。他にも「ちゃんと食べてるか?」とか「今何している?」と言われることが多々あります。その度に焦り、不安になり、自己嫌悪になります。「食べれるようになってからじゃないと自分のやりたいことは口に出してはならないのか」なんて思うこともありました。だからこそ“ぶれないビジョン”が必要なんです。
これからの半年間は自分にとって自分の弱々しい魂を鍛える小さな旅です。
アメリカインディアンの文化において、その社会の一員は一度その社会に網目の外に出なければならないことになっているそうです。幻を求めて孤独な旅に出て、旅から戻ってくると、秘密の名前と守護してくれる動物の霊と秘密の歌を持っているらしい。そんなちょっとした旅になりそうな予感がしています。
仙台⇔西和賀の往復の交通費について
基礎講座が最低6回、プレゼンの発表やその他の仙台で行われる講座に出ようと思ったら、最低10回は通わなければいけないことがわかっています。
見積もりをとってみたところ、自動車で往復するとガソリン代も含めて10,000円くらい、列車を使っていくと(ほっとゆだ始発に乗って10時にギリギリ着く計算)片道3,500円弱(新幹線を利用すると倍)。そうなると交通費だけで8万〜10万がかかります。事業をスタートアップしたばかりの自分には辛い。。。
そこで、polca(フレンドファンディング)アプリで交通費を集めることにしました。
目標の3万円は1日で達成。polcaのトップページに載った追い風もあり、現在54,000まで来ています。
支援してくださった方へのお礼はネビラキハウス(私の家)でコーヒーを振る舞いながらSIAで得た学びを共有します。また、ネクストゴールとして300%以上集まった場合は、私より遠いところから参加している他の参加者(青森県三戸町や岩手県盛岡市)への支援として活用させていただくことを検討しています。
岩手で真っ先に消滅すると言われている西和賀から豊かに暮らすスタンダードができたら同じように過疎に困窮する地方への希望になるはずです。
これから半年間よろしくおねがいします。
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