[21世紀の資本論] 今の労働者の多くは無職になる。by トマ・ピケティ

フランスの有名経済学者トマピケティの著書をドキュメンタリーにした作品。ピケティの主張としては過剰な資本主義は争いを生むので少しだけ社会主義によりませんか?という提案(主に富豪らによる課税を強化して資産を分配する)。

ソ連の崩壊があってから人々は資本主義への絶対的な信頼を置いたことで今は過剰に資本主義によっている。

1980年代のアメリカの資本主義側の主張としては資本主義を推し進めることで格差は増えるかもしれないけど全体のパイが増えるから皆幸せになれるよねというものだったが、実際にやってみると予想以上に格差が生まれてしまい金持ちの子供は金持ちになり、貧乏人の子供は一生貧乏という分断が起きてしまった。

しかもタチが悪いのは成功者は自分の実力のお陰で成功していると勘違いしていること。実際は頑張れるたり、何かに夢をみれる環境があって、いろんな経験ができて運が良かっただけなのにも関わらずだ。

ある人生ゲームを使った実験で一方はサイコロを二つ(現実世界での教育課金みたいなもん)、もう一方はサイコロ1つでプレーすると当然のようにサイコロを二つ持つ人間が有利になる。それなのに成功者(有利な方)は行動がアクティブになり、自分の判断や実力を自画自賛し、貧乏(不利な方)をバカにするようになる傾向が全ての人に見られたそう。

資本主義は経済成長率を押し上げ、生産性を向上させるが、その余剰は殆どの人達には分散されない。それはITによって人員が必要なくなったため、利益を独り占めできるからだ。

ここから昨今、AIによって仕事が奪われるという懸念が多く広まっているが全くその通り。一部の技術至上主義者は技術の発展は新たな雇用を産み出すと言っているが、それは人間が独壇場にたてる場合にのみ当てはまる。

昔は車の代わりに馬が必須だったが、今や馬は一切使われていない。これからの時代、人間も今の馬のように生産活動には必要とされない人間がたくさん出てくる。

これは個人的にすごく同意できる。よく技術は雇用を作ると言っている人がいるが、では新しいテクノロジーによる職業として有名なものはyoutuberがあるが、自分達の周りでyoutuberとして食べていけている人はいるだろうか?

筆者の顔見知り(ほとんど関わりない)で1人だけ登録者200万人の某youtuberが居るがそれだけだ。構図としては一人の人間が巨額の資本を享受しているにすぎない。そもそもテクノロジーによって1人あたりの生産性が飛躍的に向上する時代に大量の労働者は要らないので間違いなく現在の労働者の殆どは無職になる。その労働者になれない層のために最低限の平和な生活が出来るようにピケティは資本を分配しようと言っている。

人は格差にあきれ、格差を解決することも出来ないと感じると国籍や宗教などの手短なもので人を攻撃し、それを捌け口にして自己を満たすらしい。恐らく社会に参加できない疎外感から誰にでも生まれた時点で与えられるもので帰属意識を満たし、自己を肯定しているのかもしれないが、これを解決するには将来、労働者としては生きていけない層への社会的な仕組みが必要だと思われる。

おおよそのインフルエンサーはそれを社会での自分の位置付けがどうでもよくなるくらいの趣味を持たせることで解決しようとしている。その趣味でもし第一人者になれれば稼げるし、稼げなくても楽しい人生だよねと。これが最近の好きなことをやろう信仰を作り上げていて、それにYoutuber(趣味で生きる者)という存在がその考えを助長しているように思える。

よって自分には資本主義社会の適正がないと思うのなら仕事は最小限で済ませて好きなことだけをやるというのは賢い選択かもしれない。逆に無職を見下し現状、労働者として働けている自分に優越感を感じている人達は未来で資本主義からの戦力外通告が来たらどうなるだろうか。恐らく自殺or最近増えてきている無差別テロリスト(通称、無敵の人)となってしまうリスクがあるので自分が働けているうちにそういった考えを矯正していかないと近頃の無敵の人は未来の貴方の姿かもしれません。

点数は70点。トマピケティの著書を一度読んでみたかったが、分厚いし他に読みたい本がたくさんあるので先伸ばししてたけど、おおよそこのドキュメンタリーで彼の主張が分かったから良かった。でも沢山の知識人が影響を受けていて同じようなことを言っているからか、驚くような内容ではなかったので少し低め。

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