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マニアは甘くないという話と、編集者、出版社の役割とは?の法則。

おはようございます、SUKESANです。
岩崎夏海氏と稲田豊史氏の著書『ゲームの歴史』を読ませていただきました。
正直、これはなんだろう、実際のゲームの歴史をベースに小説(フィクション)としての読み物なのか……。と、色々びっくりしてしまったのが正直なところです。

どこがどう〜を書くのはあまりよろしくないと思いますので書きませんが、おそらくは、超でなく、ちょっと昔のゲームの歴史を知っているレベルの方でも「???は?」となったのではないでしょうか?

僕も過去、ファミ通時代〜はもちろん、今でもたまに面白い企画が浮かんだらメディアさんで記事を書かせていただいている身ですので、漫画、アニメ、映画、プロレスなどの「サブカル」(もはやサブではない感じもしますが)のファンは一言で言うと、

「濃いです」そして「恋です」

つまり、そのジャンルに対して、個人差はあれ思い入れが非常に強く、少しのミスでも猛烈な勢いで突っ込んできます。時には攻撃的に、時にはネチネチと。
逆に言えば、教えてくれるんです。

この著者の方々はそれを知っているはず。と言うよりも、ゲームの歴史に興味があって書きたくて書いた。つまりは、好きなはずなのですから、この本の中身のようなことに「なるわけない」と思うんです。

つまり、僕はこう考えます。

マーケティングの上、「最近、レトロゲームって値段も高騰したり、ニュースになったりで盛り上がっているじゃないすか、今、講談社とか大きな出版社から歴史的な本を出せば売れるんじゃないすか?」「あ、でもファミコン世代なんだけど、実はあまりゲーム詳しくないんだよね……大丈夫かな?」「大丈夫っすよ、ネットの力は偉大(笑)」

みたいな「空気」、あくまでも「空気」

そう、そういう曖昧な知識の「空気」こそがその本の内容に表れていると感じたんです。言葉の端々から。なんかこう、どこかで逃げの脱線バリアを貼っているというか。

そしてですね、僕が実は業界側から見てもっと疑問なのが、ある意味「天下の講談社」(今はそうでもないのかな)の担当編集さんがこの本にも必ずいるわけですよね? その編集さんは一体なんの仕事をしていたのでしょうか? 

通常の本の流れを項目にしてみますと、

1、持ち込み企画であろうと、社内企画であろうと担当編集が決まる。
※担当編集が決まるのはちょい後のこともある。
2、誰に書いてもらうか、もしくは企画を受けるかなども同時に決める。
3、マーケティングなどののち、書くことが決定し制作に入る。
4、筆者と編集者の間で幾度となく、やりとりが繰り返される。
5、最終的に、担当編集はもちろん、編集長(的)立場の人間が内容をチェックする。何重にもね。
6、で、やっと出版。

これが普通に考えれば書籍制作の基本的な流れ。

つまり、幾度もの「検閲」を通ってきた原稿、内容ということになり、ある意味ではこの内容の責任は『講談社』にあると言えるわけです。(もちろんだからこそ、返品受付などをされているとは思いますが)

僕はそこがすごい謎。

ここでまたまたSUKESANの勝手に想像なのですが、

おそらくはこの担当編集さんはこの著者さんたちより年齢が若く(違ったらごめんね)、全て正しい!先生たちの内容は正しいのだ!と思い込んだ。もしくは、上下関係のようなものがあって、「間違いや表現に対して言いたくても言えなかった」のではないかと推測するわけです。

逆に、そうじゃなければ、この担当編集さんも同レベルということになる。

と、好き勝手に書いてしまいましたが、僕にも「あ、やっちまった……でも誰も気がついていないな……セーフ……ドキドキ」なんてことが過去にはいくらでもあります。でも、それは「わざとじゃない」ことが常です。しかし、今回のこの内容を拝読すると、ちょっとそこがズレていると言いますか、「手を抜いているのか、無知なのか、逆にわざとなのか?」と、つまりは読んでいて気持ち良くないんですね。

この本の著者のお一人は、Twitterなをどやめてしまったようですが、僕はそれは逆だと思う。どうしてこういう内容になってしまったのか? そこから逃げてはいけない気がするんです。

冒頭に「マニアは甘くない」と書きましたが、逆にいうと、「マニアはしっかり考えているので向き合えば優しいし受け入れてくれる」とも思っています。
例えばプロレスのマニアは、すでに色々な意味で好きなプロレス自体に裏切られてきているから。だからこそ、今回のようなミスも含めて最後には受け止めてくれるもの。ゲームのマニア、ファンも同じ。

僕が取材したいくらいです……。

この本の今後の顛末、果たしてどうなるのか?

それも含めてなかなか面白いエンタメなのかもしれませんね。


いつもSUKESANの記事をお読みいただきましてありがとうございます。