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普通っていわれても「英語のそこのところ」第61回

【前書き】

 今回、投稿するエッセイは7年前の2015年1月22日に水戸市の「文化問屋みかど商会」のファクシミリ配信誌に掲載されたものです。時節にそぐわない内容はご容赦ください。
 ちょっと前に「自分探しの旅」なんてはやりましたけど、Native English Speakerのそれはともかく、Native Japanese Speakerのそれったなんだか矛盾をはらんでいるような。。。余計なお世話ですけど。(著者)

【本文】

 このエッセイでもちょこちょこ触れているのでみなさんご存知かと思いますが、去年(2014年)の10月からレッスンを積極的にお受けすることにしています。その前まではご縁があって英語・英会話が必要と言ってくださる方にレッスンをご提供していたんですが、いろいろな会合があると顔を出すようにしてお話を伺ったり、生意気にも人前でお話しさせていただいたりする。まあ、太鼓持ちというか相手に媚を売るタイプではないですからね。最低限、初対面の方には、生意気なガキだと思われないようにと、できるだけ笑顔は心がけています。こういう時に、もう少し貫禄があればなぁと思うんですが、どうしても若く見られてしまいがちでして。こっちが敬語で相手がタメ口で話していて、なにかの拍子に年齢を教え合ったりするとぎょっとする。相手のほうが5歳も若かったりして。飄々としてるせいでしょうかねぇ。それとも、ちょっとタガが外れている部分があるせいでしょうか。困ったことです。

 そんな会合に出て思うのは、ああ、知らない人と会うのって自分のことを知るのに大切だなぁということ。部屋の中で、じっくり考えをめぐらすのも大切だけど、自分と考えの違う方と出会うことで、自分が明確になるんだなぁとつくづく思います。

 たとえば、この前、ある経営コンサルタントの方と話したんですが、
「僕がコンサルティングに入った会社は営業方法を、デジタルとアナログの両方向から攻めることで業績が倍になった」
とか、
「新規開拓はとにかく気合いだ」
とか、とにかくエネルギッシュで、話を聞きながら、
「ああ、おれは違う人種だなぁ」
と思ってしまう。
「なんのためにそんなに頑張っちゃうんだろう」
なんて思っちゃうんです。もちろん、その場で口にはしませんけど(笑)
 批判してるんじゃないんです。むしろありがたいと思っている。
 そういう人と接することで、自分が判るんですからね。相当の怠け者という(苦笑)
「自分探しの旅」なんて言いますけど、どっかに自分が落ちているわけじゃないし、本来の自分に戻れる場所がどっかにあるわけじゃない。いろんな人と会うことで自分が決めなおされるんだろうなと思います。

 こういう「人に会うことは、自分を明確化することだ」っていうのはいつごろからやっているか判らないんですが、英語を話すようになって変わったのは、それを口に出すようになったこと。日本語を話すときは、自分は違うなと思っていても黙っていた。威張る人なんかの前では、ちょっと心の中で舌を出してたりして(そんなんだから生意気にみられる)。
 それはともかく、そういう意思表示に英語は向いていて、Native English Speakerたちと一緒に昼食を食べる時なども、
「今日はどこに行く?」
「そうだなぁ、おれラーメンがいいな」
 なんて言われても、動じずに、
「ああ、おれ、ラーメン好きじゃないんだ」
 とはっきり言える。はっきり言ったからって、相手の気分を害することはない。
「じゃあ、徳さんはなに?」
「ロコモコなんてどう?」
 と意思表示。
「ロコモコかぁ、それもいいね」
 となれば決まりだし、
「ロコモコかぁ、おれはどうしてもラーメンがいいな」
 となれば、交渉決裂で別々に食べればいいとなる。
 至極あっさりとして気楽なやりとりです。

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