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ありがとう結論「英語のそこのところ」第120回


【前書き】

 今回、投稿するエッセイは7年前の2016年10月27日に水戸市の「文化問屋みかど商会」のファクシミリ配信誌に掲載されたものです。時節にそぐわない内容はご容赦ください。
「龍馬がゆく」中で、司馬遼太郎は
「竜馬は議論しない。議論などは、よほど重大なときでないかぎり、してはならぬといいきかせている(中略)負けたあと持つのは負けた恨みだけである」
と書いていましたが、Native English Speakerは議論好きで、負けても恨みは持ちません。日本人から見るとちょっと不思議なその理由を探ってみた話です。
 ヒントは議論の最後にしばしば司会者がいう一言にあります。(著者)

拙著「英語の国の兵衛門」のkindle版を出版しました。

 2008年に株式会社メディア・ポートより上梓され、その後同社の解散により入手不可能になり、みなさんにはご迷惑をおかけしておりましたが(一時は、古本が2万3万ぐらいで取引されていたようで。いやはや、私には一銭も入りませんが_| ̄|○)、kindle という形で復活させることが出来ました。
これを機にぜひお手に取ってみてください。

映画や小説の台詞を英語にして英語力を鍛える「ESM Practice 実践英語・英会話力トレーニングドリル11」発売中!

 English Sentence Maker 実践英語・英会話力養成テキスト(全10巻)で、英文法を網羅しましたので、「ESM Practice 実践英語・英会話力トレーニングドリル7」以降では、様々なコンテンツの名言、名台詞を英語するより実践的なトレーニングをやっていきます。

映画などの日本語のセリフは、字幕作成者の素晴らしい努力のおかげで自然な日本語になっています。つまり、自然な日本語を英語にするときの最高のテキストなんです。

 この「ESM Practice 11」では、ノッティングヒルの恋人たちのセリフや地震の時に使う言い回しを英語にすることにトライします。

ズボンに本はないよ。(from ノッティングヒルの恋人)
じゃあ、警官を呼ぼうか、ズボンのなかに本がなければ、ぼくの誤解だ。謝るよ。(from ノッティングヒルの恋人)
判ったよ。もしズボンのなかに本があったらどうなる?(from ノッティングヒルの恋人)
う~ん。理想的には、僕が机に戻ったら、そのバリの旅行案内をズボンから取り出して、それを拭いて戻すか、買うかだね。また、あとで。(from ノッティングヒルの恋人)
構わないわ。盗む予定だったけど、今、気が変わったわ。著者のサイン入りね。(from ノッティングヒルの恋人)
ああ、止められなくてね。もし、サインのない本を見つけることが出来たら、それは絶対幸運の価値があるよ。(from ノッティングヒルの恋人)
(緊急地震警報が鳴った時に)地震がくるよ!

お愉しみに。

大好評! Kindle で一日500ページビュー 「English Sentence Maker」シリーズ

 English Sentence Maker は、あなたの感情や意見、思っていることを伝えるためにはどの時制や助動詞、文法事項を選ぶべきかがわかる実践英語・英会話力養成テキストです。

 著者の主宰する英会話スクール「英語・直観力」の企業向けテキストから、契約企業様向けの問題文などを差し替え、一般向けに手直ししました。

 7年間で100名以上のビジネスピープルを単独での海外出張や海外赴任ができるスキルを持った国際ビジネスピープルにした実績があります。

 ぜひ、この実績あるテキストを完全マスターしていただき、世界を相手にビックディールを成し遂げ、人生を愉しんでください。このテキストはその扉を開くカギになります。

 実践英語・英会話力養成テキストEnglish Sentence Maker は、3つの特色を持っています。

 ひとつ目は、能動的な学習だということ。
 English Sentence Maker は書き込み式のテキストです。各Lesson ごとの解説を読み、そのあとに掲載されている日本文をご自身のノートもしくはkindle のノートブックなどに英語にして書き入れてください。その際に、知らない単語は調べたりせずに、日本語のまま英語の文の位置においてください。そうすることで、知っている単語、知らない単語を区別し、身に着けるべき単語を浮かび上がらせることが出来ます。

 ふたつ目は、どの文法事項を使うかの判断基準を身に着けられるということ。
 小・中・高校と長い間英語を学ぶために、多くに人々は英語の現在形、過去形などの文法事項を知っています。しかし、残念ながら、その文法事項をどういう場合に使えばよいかという判断基準を身に着けていません。

 たとえば、ここ何ヶ月かフットボールに夢中になっているということを伝えたい場合に使うべき時制は、現在形でしょうか? それとも現在進行形でしょうか? 迷われると思います。
 この知ってはいるけれども使い方に迷ってしまう文法事項を使う判断基準を各Lesson ごとの解説でくわしく説明しています。それを理解することで、英語を使う際に十全にあなたの感情や意見、思っていることを伝えることが出来るようになります。

 みっつ目は、英語を英語で考えることが出来るようになるということ。
 English Sentence Maker は日本語を英語にしていくことで、英語を習得していくテキストです。しかも、どういうときに、どういうことを言いたいときに、どの文法事項を使えばよいかという判断基準が出来ていくために、日本語の文字面を英語に移していくのではなく、日本語を読んでその内容をイメージして、そのイメージを英語にするというスキルを身に着けることが出来ます。頭の中のイメージから英語を作ることが出来るということは、そこに日本語は介在しません。つまり、英語を英語で考えることが出来るようになるのです。

具体的には、

私は彼が来るだろうことを知っていた。

という日本語を英語にする際には、日本語の文字面を英語に移していくと、

I knew that he will come.

と、しがちです。「知っていた」なのでknew、「来るだろう」なのでwill comeというわけです。
 しかし、よく考えてください。「彼が来るだろう」というのは、「私が知っていた」過去の時点のことです。であれば、「彼が来るだろう」と書いてあっても、過去から見た未来のwould を使って、would come としなければなりません。日本語をその字面のまま英語にしてはいけないのです。しかし、日本語を読んでその内容をイメージして、そのイメージを、判断基準をもって英語にすることが出来れば、問題はなくなります。頭の中に時の流れのイメージがあるために、

I knew that he would come.

という英文が難なく作れるようになります。 英文作成力や速読力を付けたいと思っておられる方ぜひ、手に取ってみてください。必ず、英語・英会話が出来るようになります。

☆「English Sentence Maker 実践英語・英会話力養成テキスト」および「ESM Practice 実践英語・英会話力トレーニングドリル」で使っている英文はすべて、Native English Speakerと協同で製作したものです。安心して、Native English Speakerの自然な英語を知り、習得してください。

【本文】

「議論するのってあんまり好きじゃないんですよねぇ」
 この間のことですが、今年から弟子にとった女性からこんなことを言われて、慌てました。
 なんだい? いきなり、藪から棒に「弟子って」と思われる方もおられると思いますんで、ちょっとお耳、いやお目を拝借いたしますと、ありがたいことに、ご依頼いただいている仕事が順調で契約継続の運びになって、だんだんと積み重なっているんですね。

 私としては、受講生の方のスキルが上がっている上に、更なるスキルアップを願われて、契約を続けていただけるのは非常にうれしいんですが、そうなると段々新規のご依頼を受けることができなくなってしまう。はてさて、どうしたものかと思っていたんですが、まぁ、縁は異なもの乙なものと申しますか、一寸先は闇と申しますか、私の英語の習得術を身に付けて、英語・英会話を伝えたいなんておそろしい、いや、うれしいことを言ってくれる奇妙な、いや、貴重な人が現れまして、はい。
 じゃあ、まぁ「弟子にしてやるよ」(エラそうm(__)m)というわけで、3月ぐらいから私のクライアントの英語研修のお手伝いをしてもらったり、時間的に私が対応しきれない新規の申し込みの方のレッスンを担当してもらったりしています。

 で、いっしょに仕事しているときに、さっきの一言を聞いてびっくり慌てる。

 英語好きにもかかわらず、そんなことを思っていたのかぁというビックリです。
 彼女は、私と違って海外に留学もしているし、英語は子供のころから得意だったんで、英語でディスカッションすることと日本語で議論することの違いは知っていると思っていたんですが、あまり意識していなかったようなんです。
 なので「どうして?」と訊いたんですが、
「だって、どうしても感情のしこりが残っちゃうじゃないですか?」
 とのこと。
 やはり弟子は、英語のディスカッションは日本語の議論と同じものと思っているようでした。

 日本語の議論は確かに感情のしこりが残ることが多いと思います。というか、議論するとほとんど感情のしこりが残る(笑)
 結局、知識が多いやつが勝つとか、人格攻撃が始まってしまうとか、その場で仲がいい友だちを多く持っているやつが勝つとか、しまいには、怒鳴るやつの勝ち、なんてのは論外中の論外で、民主主義のこの国においてそういう手法で意見を述べる人間が、普通に一票持っていていいのだろうか? と思ったりもするんですが(暴論)、そういうことをせずに、きちんと論理的に相手に自分の意見を伝えたとしても、相手になぜか恨まれる。
「あいつは、自分の頭のいいのをひけらかしとう」(博多弁)
 なんて言われてね。
 話は変わりますが、私の出身の福岡ってところは理屈っぽいことが大嫌いな土地柄で、議論なんて絶対しない。なんでも、ノリと勢いです(笑)
「このままだと、絶対に期限には間に合わん。なんか対策を考えないかんばい」
「いや、対策をみんなで議論しとう時間がもったいなか。どんどん、やれば済むんたい」
「いや、どんなに頑張っても1日○個しかできん。計算すれば間に合わんて判ろうたい」
「気合が足りん、気合が!」(大声)
「……」
 ええ、私が高校のときに運動会の準備委員長をやっていた時の実話です。当然、間に合いませんでした(泪)
 大学に行って、ゼミでいろんなことを勉強したりNative English Speakerと友人になったりしたおかげで、今になると判るんですが、議論を戦わすというのはルールを守ってやったとしても我々Native Japanese Speakerにとって、マイナスが多い手法なんです。
 論理的に自分の意見を主張して、周りにうんと言わせて、プロジェクトを自分の意見の方向に進め、最終的に結果を出しても、恨みややっかみを買ってしまう。
 なぜだかわかります?
 それはね、議論しちゃうと意志決定する際にどうしたって「恥」をかく人が出て来るからなんです。議論のなかで、反論して、その意見を退けられた人間が恥をかいてしまう。
 そんなの反論が支持されてないだけで、その人の人格が支持されてないわけじゃない「恥」と思うのはおかしい、というのは、確かにそうだけど、これまた面倒なことに我々Native Japanese Speakerは意見と人格の区別がついてないから、病は篤い。

 ところが、英語のディスカッションって、感情のしこりが残らないんですね。正確に言うと英語を使ってのNative English Speakerとのディスカッションは、感情のしこりが残ることがほとんどない。
 もちろん、意見と人格の区別がついているからというのもあるんですが、そもそもディスカッションの目的が違っている。

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