見出し画像

抽斗は多い方が「英語のそこのところ」第136回


【前書き】

 今回、投稿するエッセイは7年前の2017年6月8日に水戸市の「文化問屋みかど商会」のファクシミリ配信誌に掲載されたものです。時節にそぐわない内容はご容赦ください。
 薬に対する考え方はNative English SpeakerとNative Japanese Speakerではだいぶ違うなぁ~と思った一件です。COVID-19 が始まった時には、あ、USは大丈夫か? と思ったものです(著者)

最新刊「新宿英語嫌い物語」発売開始!

英語嫌いだった私の英語・英会話マスターへの道 
VERSANT スコアアップ法を大公開

 英語なんて好きでもないし、得意でもない。ていうか、むしろ嫌い。でも、仕事で英語を教えなきゃならなくなった! さあ、こまったぞ、どうする? 
これは作者の15年にわたる英語との格闘をギュッと濃縮した英語スキルアップ物語。
英語・英会話習得、VERSANTスコアアップの詳しいやり方、学習期間がわかって、ふつふつとやる気が湧いてきます。

拙著「英語の国の兵衛門」のkindle版を出版しました。

 2008年に株式会社メディア・ポートより上梓され、その後同社の解散により入手不可能になり、みなさんにはご迷惑をおかけしておりましたが(一時は、古本が2万3万ぐらいで取引されていたようで。いやはや、私には一銭も入りませんが_| ̄|○)、kindle という形で復活させることが出来ました。
これを機にぜひお手に取ってみてください。

映画や小説の台詞を英語にして英語力を鍛える「ESM Practice 実践英語・英会話力トレーニングドリル17」発売中!

 English Sentence Maker 実践英語・英会話力養成テキスト(全10巻)で、英文法を網羅しましたので、「ESM Practice 実践英語・英会話力トレーニングドリル7」以降では、様々なコンテンツの名言、名台詞を英語するより実践的なトレーニングをやっています。
 この「ドリル17」ではロバート・A・ハインラインの「夏への扉」 を題材に英文を作っていきます。

わがピートは、人間用のドアをあけろとせがむ場合は、遠慮会釈なくぼくの手を煩わせたが、それ以外は、ふつうこの自分用のドアを用いた。
ただし、地上に雪の積もっているあいだは、絶対に自分のドアを使おうとはしなかった。
彼は、その人間用のドアの、少なくともどれかひとつが、夏に通じているという固い 信念を持っていたのである。
夏への扉を探すのを、決して諦めようとはしなかった。
そして一九七〇年十二月三日、かくいうぼくも夏への扉を探していた。

おい兄弟。そのホタテガイをおれに押しつけないと約束すれば、おまえにホタテガイ 分のチップをやろう。
おれのほしいのは注文したものだけだ。それと受け皿とだ。

英語でどう言うのでしょうか? 
このテキストを使えば、きっちり身に付きます。お試しください。

【本文】

 4月の初め、マイコプラズマ気管支炎になってしまった。
 実は、ずいぶん前から喉に違和感があって、連続で3時間ぐらいレッスンすると咳が止まらなかったりしたんです。でも、私の英会話のレッスンって私が話す英語を聞き取ってもらって、書き取ってもらって、それを私と同じように言えるようになってもらう ってやり方なんで、喉を酷使するのが当たり前。まぁ、職業病だなっと思ってあまり深刻にとらえないようにしていました。若いころに目の障碍で2度も進路変更をさせられた身としては、まさか神様も3度目の試練は与えまいと高をくくっていた。まったく根拠のない思い込みであることは違いないんですが(笑)

 でも、甘かったですね。神様ってのはけっこう意地悪にできてらっしゃる。
 3月の末ぐらいからちょっと熱があるなとは思っていたんですが、それほどでもない、お座敷に穴をあけるわけにはいかないとやっていた。で、4月4日のその日の最後のレッスンをご提供して、呑みに行こうと家を出たところで力尽きた。急にだるくなって、咳もひどくなる。そのうちさらに熱があがったような気もしてきて、さすがに呑みに行くのはやめてコンビニで夕食を済ませて、熱を測ったら、やっぱり発熱してる。あれれっこりゃまずいと倒れ込みました。それでも眠れれば良かったんですが、咳のせいでぜんぜん眠れない。次の日にもお座敷があったんですが、朝早くから連絡を入れて休みにしてもらいました。咳は出るし、頭は寝不足と熱でぼんやりしてるしで、使い物になりませんから。受講生の方も、1時間、私の咳を聞いていてもいいことないわけですし(だれです? 私の英語を聞いててもそれほどでも。。。って言っているのは)。

 でも、私、ほとんど自分からお座敷を降りることはないんで、ほんと内心忸怩たる思いで、猛省しながら病院に行きました。普段、あんまり病院に行かないんですよね、私。
 風邪でしょうということで、薬をもらって熱は下がったんですが、どうにも咳が止まらない。なので、これまた眠れない日々が続く。もう奥の手だとばかりに、友人の医師に頼み込んで診てもらった。
 さすがでしたね。
 丁寧な問診と胸の聴診で、ほぼあたりをつけて、レントゲンを撮って、
「はい。右の気管支炎ですね。経緯から言ってマイコプラズマでしょう」
ですって。
 すぐに抗生物質と「咳でも絶対に起きない薬」を処方してもらって、3、4日で全快しました。一人暮らしなんで、咳でも絶対に起きない薬を飲むときは、これでもう2度と起きることがなかったらどうしようなんて思いましたけど(笑)とにかくぐっすり寝ることができました。ありがたい。Oさん、ありがとうございました。

 そんな話を、この間アメリカ人のDickと話したんですけど、びっくりしてました。どうも私の病気に対する行動がいちいち驚きの対象だったみたいなんですが、まずは、
「まず、なんで日本人は熱があるのに休まないのさ!」
とのこと。
「だって、少々の熱ぐらいなら頑張って仕事した方がいいじゃない」
 と返すと、
「熱を出して苦しいのに、仕事するんて、クレージーだよ」
 ですって。
 ああ、ここにも、work to live のアメリカ人を感じる。自分が快適に過ごすことが一番なんでしょうねぇやはり、彼らは(笑) 多少自分が苦しくても、お客さんの利便を考えるNative Japanese speakerとは違っています。
 で、次に出てきたのが、
「なんで、病院行くのさ! 熱ぐらいで」
 です。
 これには私もうなずいたんですが、話を聞いているとどうもDickだけじゃなくてアメリカの人って病院になかなか行かないんだそうで。
「アメリカでは多少の熱では病院に行かないんだ」
「ふ~ん、じゃあ、どうするのさ」
 と私が訊ねる。
「市販薬買って、飲んで、ベッドにもぐりこむ。それでだいたい治る。それに、病院代って馬鹿みたいに高いんだよ、アメリカでは」
「国民保険がないもんね」
「うん。日本はいいよなぁ。医療費が安いから、おれも国民健康保険料を払わずに保険証もらえるなら、病院に行くよ」
「……」
 まぁ、私がどんな顔をしたかは想像にお任せします。一応、外国籍でも中長期在留者なら国民健康保険に加入する義務があるんですけどねぇ。それに、保険料を払わずに保険証はもらえない(笑)

 で、最後の驚きがこれ、
「でも、なんで徳さん、そんなに長期に咳が出てるのをほっとくのさ。そんなのすぐ薬、薬
 なんでも、病院には行かないけど(ん? 行けないけどなのかな?)薬はたくさん飲むんだそうです。
「例えば、風邪っぽいときはデイクィル、熱が出た時や痛みを感じるときはタイレノール、アレルギーの時はベナドリルって市販薬と、すぐ飲んじゃうんだよ。タイレノールなんて毎日飲んでるやつがいっぱいいる」
「でも、そんなに飲んだら、効かなくなるんじゃない?」
「そん時は、倍のめばいいのさ」

 唖然とすることしきりです。
「でも、こうなんていうか、痛みに耐えるっていうことも必要な気がするんだけどねぇ、おれとしては。なんで、ほっといたんだけど」
 と辛うじて反論したんですが、これがいけなかった。
「え? どうして? なんで嫌なことを耐える必要があるの? なんで? なんで? 大昔みたいに有効な薬がないわけじゃないんだから、痛みなんかに耐えないでどんどん消して行けばいいんだよ。痛みに耐えるの意味が解らない
 久しぶりに、Native English Speakerに真顔で問い詰められてしまい、しかも答えることができない問題にぶち当たってしまいました。

ここから先は

2,483字 / 1画像

¥ 110

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?