夢の途中「英語のそこのところ」第128回
【前書き】
今回、投稿するエッセイは7年前の2017年2月16日に水戸市の「文化問屋みかど商会」のファクシミリ配信誌に掲載されたものです。時節にそぐわない内容はご容赦ください。
7年前、クラブ・ワールド・カップの決勝をNative English Speakerと一緒に観た時の話です。思えば、最近、鹿島の選手から文中の勝利へのマジックワードを聞かなくなった気がします。私の勘違いだと思いますが。(著者)
拙著「英語の国の兵衛門」のkindle版を出版しました。
2008年に株式会社メディア・ポートより上梓され、その後同社の解散により入手不可能になり、みなさんにはご迷惑をおかけしておりましたが(一時は、古本が2万3万ぐらいで取引されていたようで。いやはや、私には一銭も入りませんが_| ̄|○)、kindle という形で復活させることが出来ました。
これを機にぜひお手に取ってみてください。
映画や小説の台詞を英語にして英語力を鍛える「ESM Practice 実践英語・英会話力トレーニングドリル15」発売中!
English Sentence Maker 実践英語・英会話力養成テキスト(全10巻)で、英文法を網羅しましたので、「ESM Practice 実践英語・英会話力トレーニングドリル7」以降では、様々なコンテンツの名言、名台詞を英語するより実践的なトレーニングをやっています。
この「ドリル15」ではFreddie Mercury のI was born to love you. を題材に英文を作っていきます。
君がチャンスをくれるなら、何でもしてあげられるのに。
それで、ぼくと一緒にかけてみないか。
君との夢物語を作らせてよ。
夢に取り込まれているんだ。
そうさ、私の夢は今叶ったよ。
信じられないよ。
こんなことがぼくに起こるなんて。
素晴らしい感覚が駆け巡る(from I was born to love you)。
英語でどう言うのでしょうか?
このテキストを使えば、きっちり身に付きます。お試しください。
大好評! Kindle で一日500ページビュー 「English Sentence Maker」シリーズ
English Sentence Maker は、あなたの感情や意見、思っていることを伝えるためにはどの時制や助動詞、文法事項を選ぶべきかがわかる実践英語・英会話力養成テキストです。
著者の主宰する英会話スクール「英語・直観力」の企業向けテキストから、契約企業様向けの問題文などを差し替え、一般向けに手直ししました。
7年間で100名以上のビジネスピープルを単独での海外出張や海外赴任ができるスキルを持った国際ビジネスピープルにした実績があります。
ぜひ、この実績あるテキストを完全マスターしていただき、世界を相手にビックディールを成し遂げ、人生を愉しんでください。このテキストはその扉を開くカギになります。
実践英語・英会話力養成テキストEnglish Sentence Maker は、3つの特色を持っています。
ひとつ目は、能動的な学習だということ。
English Sentence Maker は書き込み式のテキストです。各Lesson ごとの解説を読み、そのあとに掲載されている日本文をご自身のノートもしくはkindle のノートブックなどに英語にして書き入れてください。その際に、知らない単語は調べたりせずに、日本語のまま英語の文の位置においてください。そうすることで、知っている単語、知らない単語を区別し、身に着けるべき単語を浮かび上がらせることが出来ます。
ふたつ目は、どの文法事項を使うかの判断基準を身に着けられるということ。
小・中・高校と長い間英語を学ぶために、多くに人々は英語の現在形、過去形などの文法事項を知っています。しかし、残念ながら、その文法事項をどういう場合に使えばよいかという判断基準を身に着けていません。
たとえば、ここ何ヶ月かフットボールに夢中になっているということを伝えたい場合に使うべき時制は、現在形でしょうか? それとも現在進行形でしょうか? 迷われると思います。
この知ってはいるけれども使い方に迷ってしまう文法事項を使う判断基準を各Lesson ごとの解説でくわしく説明しています。それを理解することで、英語を使う際に十全にあなたの感情や意見、思っていることを伝えることが出来るようになります。
みっつ目は、英語を英語で考えることが出来るようになるということ。
English Sentence Maker は日本語を英語にしていくことで、英語を習得していくテキストです。しかも、どういうときに、どういうことを言いたいときに、どの文法事項を使えばよいかという判断基準が出来ていくために、日本語の文字面を英語に移していくのではなく、日本語を読んでその内容をイメージして、そのイメージを英語にするというスキルを身に着けることが出来ます。頭の中のイメージから英語を作ることが出来るということは、そこに日本語は介在しません。つまり、英語を英語で考えることが出来るようになるのです。
具体的には、
私は彼が来るだろうことを知っていた。
という日本語を英語にする際には、日本語の文字面を英語に移していくと、
I knew that he will come.
と、しがちです。「知っていた」なのでknew、「来るだろう」なのでwill comeというわけです。
しかし、よく考えてください。「彼が来るだろう」というのは、「私が知っていた」過去の時点のことです。であれば、「彼が来るだろう」と書いてあっても、過去から見た未来のwould を使って、would come としなければなりません。日本語をその字面のまま英語にしてはいけないのです。しかし、日本語を読んでその内容をイメージして、そのイメージを、判断基準をもって英語にすることが出来れば、問題はなくなります。頭の中に時の流れのイメージがあるために、
I knew that he would come.
という英文が難なく作れるようになります。 英文作成力や速読力を付けたいと思っておられる方ぜひ、手に取ってみてください。必ず、英語・英会話が出来るようになります。
☆「English Sentence Maker 実践英語・英会話力養成テキスト」および「ESM Practice 実践英語・英会話力トレーニングドリル」で使っている英文はすべて、Native English Speakerと協同で製作したものです。安心して、Native English Speakerの自然な英語を知り、習得してください。
【本文】
ディープレッドのユニフォームの8番が左足でボールを切り返した。白いユニフォームの14番が足を延ばし、パスコースをふさぐのを察知した8番は再度ボールを切り返す。たまらず14番のバランスが崩れる。コンマ何秒かの時間が8番に与えられる。
そう、コンマ何秒。
それだけの時間があれば充分だ、8番がゴール前に待ち構えるディープレッドの10番にパスを出すには。
10番はそのパスを胸でトラップした。
ぽんっとボールが弾む。10番の間合いを逃れたボールに白いユニフォームが群がる。
だめか。
東京の片隅のEnglish Pubで大画面プロジェクターでそれを観ていた徳田は眉を顰めた。
だが、ひとりだけ動けない白いユニフォームがいる。
ディープレッドの33番が躰を寄せて、進路を妨害していた。
時間と空間が、できる。
10番が大きく左足を振りぬく。
「!」
ボールがゴールキーパーの延ばした腕をすり抜け、ゴールネットに突きささる。
一瞬の空白。
目で見たものが信じられない瞬間。
次にEnglish Pubには割れんばかりの歓声が沸き上がった。
徳田といっしょに観戦していた在原が目を見開いて徳田に飛びついた。
「やった! やったぞ!!」
「やりましたよ。さすがアントラーズです」
「信じられない。あのレアルから点とったよ!」
ふたりの喜びの抱擁を見た周囲がそれにあやかろうと抱き付いてくる。
見知らぬもの同士の歓喜の輪が広がる。
「いけますよ、アントラーズ。勝てますって」
徳田は白いユニフォームを着た青年からそう言われたが、首を振った。
「いや、まだ同点です。今からが勝負です」
「お、おお、そうですね。そうそう」
ノリが悪いと見た青年は首を傾げながら自分のグループに戻っていった。
やや落ち着きを取り戻した店内で徳田はカウンターに置いてあるエールを一口ふくんだ。
大画面プロジェクターを観ると、白い巨人の選手たちがボールを回す姿があった。明らかにプレースピード、パススピードが上がっていた。ようやく本気になったのだ。
『そう、これからが勝負だ。頼む、耐えてくれ』
おかしな震えが襲ってくるのを感じて、徳田は掌を合わせると顔の前でそれを握り込んだ。震えを押さえつける。
『お前らには「マジックワード」がある。それを忘れるな』
クラブワールドカップ決勝、レアル・マドリー対鹿島アントラーズの試合を凝視して、徳田はそう呟いていた。
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