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そういう聞き方はしないで「英語のそこのところ」第60回

【前書き】

 今回、投稿するエッセイは7年前の2015年1月15日に水戸市の「文化問屋みかど商会」のファクシミリ配信誌に掲載されたものです。時節にそぐわない内容はご容赦ください。
 日本語では特に問題にならないけど、それを英語に直訳すると大問題って言い方は結構あります。今回は大失敗した言い回しの話です。(著者)

【本文】

 いまでこそ、私は納豆以外のものは何でも食べられるようになりましたが、子どものころは相当に偏食でいっさい野菜を受け付けない子どもでした。こういう話を始めると
「ああ、子どものころはそうだよ。あたしも人参食べられなくてさ、いっつも残してた」
なんて話が始まる。
「そうそう、おれはピーマン、あの青臭さが嫌でさ」
なんて受け答えがあって、ひとしきり盛り上がるんですが、私は話を振っておきながら、話を聞く側に回ります。
 だって、みんなが引いてしまうぐらいの偏食なんです。
 子どもの好きな「ハンバーグ」も「オムライス」も「カレー」も「お寿司」も食べられない。ハンバーグはあのじゃりじゃりしたタマネギが嫌いだし、オムライスもそう。カレーに至ってはタマネギにニンジンも入っていて最悪。お寿司は魚が嫌いだったのでまったくダメ。そうそうお味噌汁も、ホウレン草やネギが入っていてダメでした。
 ねっ、だめでしょ、こんな話をするとたいがい引かれる。ちょっと桁違いなんです、偏食の度合いが。
 実家に帰るとこの手の話はよく親や親戚一同の酒の肴になって、よく大きくなれたと言われる。不思議がられます。ほんとに高校生になるぐらいまで、ほとんど野菜を口にしなかったんですから(これを読んでいる偏食のお子さんを持っているお父さんお母さん、心配しないでも大丈夫。食べなくてもちゃんと育ちます。え? わたしみたいになるのは心配だ。それはごもっとも)。

 で、なんで両親はともかく親戚までそんなことを知っているかというと、正月の雑煮が食べられないから。父の実家の福岡・秋月の雑煮は鳥のごった煮に丸餅が入ったタイプで、当時の私にとっては地獄の惨状。一口も手を付けられない。今から考えると作ってくれた人に敬意がないので、そんな子どもには食べさせなきゃいいとなるわけですが、まあ、初孫でしたんでね。普段は厳格な祖父が、私のためだけにおしるこを作ってやれと特別待遇で親戚一同をあきれさせていた。
 甘くておいしかったですね。なんだかひとりだけ、さきにデザートを食べている気分。まあ、メインの料理は一切口にしてないんですが。

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 そんなことを急に話しだしたのは、1月のこの時期にNative English Speakerたちと浅草に行って、ぜんざいを食べたことを思い出したからでして。

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