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第3話 英語嫌いだった私の英語・英会話マスター術 英会話スクール「英語・直観力」設立への道

あらすじ

 英語が好きでもなかったのに、仕事で英語を終えなければならなくなった徳田は、日本語を英語にするというやり方で授業を展開し、自身も英語を身に着けることに成功する。そのスキルのおかげで、教材出版社「佑人社」に編集者として転職、仕事は順調に行っていたのだが、ちょっとした気の迷いが訪れるのだった。(第1話はこちら

英会話スクールかぁ

 英会話の7アクトに転職することになったのは、実はちょっとした気の迷いでした。当時、わたしは教材出版社「佑人社」で参考書づくりや、私立高校の入試問題作成などで、ある程度結果を出したところで、自分が作った参考書が書店に並んでいるのを見て、ああ、これを繰り返していくのもいいなと思う一方で、もうちょっと刺激が欲しい気がしてたんですね。

 それで、転職サイトをチラチラ見てたんですが、そこにあったのが「英会話の7アクト」という会社で、語学カウンセラーという職種別採用をしていたんです。内容を読むと、英会話を身に着けたい受講生に学習方法を伝えて、それを実行してもらう伴走役をするって書いてある。

 へぇ、ちょっと世の中にない変わった仕事だなと思って興味は持ったけど、「英会話スクールかぁ」というのがぱっとと浮かぶ。「英会話スクールかぁ」というのに込められた意味は、実は妹が一度倒産した有名な英会話スクールに勤めていたことがあって、内実を聞かされていたから。

 英会話スクール業界全体のことは知らないですが、妹によるとその有名な英会話スクールでは、受講生の英会話力が伸びようが伸びまいがどうでもいい、とにかくレッスンをとらせろ、やめさせるな というのが絶対命令だったんです。

 妹から聞いた時は驚くやら、呆れるやら、だったんですが、よく考えたら、英会話スクールという業態はそうなりがちだろうなとは思う。

 わたしがいた受験産業では、結果を出すことが求められます。それも数字で。つまり、〇〇大学、△△高校、◇◇中学に、〇〇人合格! という結果が一番の宣伝で、一番の営業なんです。いい結果が出なければ、次年度の生徒が減り、売上が落ちる。売上が落ちれば、会社は立ち行かなくなるわけで、何とかして結果を出そうとする。それには、生徒たちの成績を伸ばす必要があるわけで、会社としては、そこに一番注力するんです(もちろん、結果を出すにはほかのやり方もあるわけですが、それは呑みながらでないと話せない(苦笑))。

 でも、英会話って、はっきりした数字になる結果がないんですね。TOEICみたいなものもあるけど、TOEICと英会話は似て非なるものだし、もちろん、合格というはっきりした結果はない。つまり定量的な評価がない。あるとすると、Native English Speakerの講師たちのなんとなくの、前よりできるようになっているね、ぐらいの言葉ぐらいで、あいまいなんです。

 そうすると、結果が出ますから、どうぞ、みなさんうちの英会話スクールを選んでくださ~い という営業をすることが出来ない。会社としては、受講生の伸長に注力しても、売上に繋がらないんです。営利企業としては至極当たり前の判断が行われて、受講生の伸長なんかは本人に任せておけばいいから、新規顧客を得るために広告をバンバン打って、既存客にはレッスンをどんどんとってもらって、ということに注力することになる。もうちょっとはっきり本音を書くと、一度顧客になった人には英会話が出来るようになってほしくないだって、出来るようになったら退会になって売上が落ちるわけだから。

 そうなると、会社は、スタッフやNative English Speakerたちに、前より出来るようになってますよ というお為ごかしを言わせて、受講生にどんどんレッスンをとらせ、やめないようにさせ(ずっと金を払うようにさせ)るということになる。もちろん、業界全体じゃなくて、その有名英会話スクールの話ですけど。でも、英会話教育というものの構造的な問題という気がします。

 まぁ、そういうことを聞いていたので、職種に興味は持ったんですが、「英会話スクールかぁ」というわけ。

 ただ、転職サイトってのは便利で、もともと職務経歴書なんかは作ってあるものだからクリック一発で応募が出来る。これが気の迷いを加速させる原因で、ちょっとクリックしてしまったら、あれよあれよという間に書類選考も、WEB選考も受かっちゃって、面接に来いとのお達しで、面接日は私の都合に合わせてくれる。そこまで言うなら、一度は行ってみるかと、半分怖いもの見たさで、面接に赴いてみると、「英会話の7アクト」は2004年当時は(今もそうかもしれませんが)本気で受講生に英語が出来るようになってほしいと思っている驚くべき会社だったのでした。

 この続きは、Amazonのkindleにて、新宿英語嫌い物語として上梓しております。英会話習得にご興味がある方は是非ご購入下さい。

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