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英語のそこのところ 第10回 Give & Takeを大切に

著者 徳田孝一郎
イラストレーター 大橋啓子

 あけましておめでとうございます。みなさん、大晦日は呑みすぎませんでしたか? しっかり呑んで、紅白歌合戦を見て、二年詣りに行かれた方も多いと思います。もちろん、二年詣りから帰った元旦の朝(昼?)は、お雑煮にお屠蘇でしょうか。正月のほうがなんだか、ハードスケジュールのような(笑)。何はともあれ、今年も「英語のそこのところ」をよろしくお願いいたします。

 さて、今日二日は書初めとのこと。いつもは日本語で今年の抱負などを書かれる方もおられると思いますが、今年はそれに加えて、「英語のそこのところ」のお題にも挑戦というのはいかがでしょうか? お屠蘇を呑みながら挑戦してみてください。お酒が入ったほうが英会話がうまくなるなんて人もいますしね。

 ところで、こう書きながら「書き初め」っていったい何の風習なんだろうと調べてみたら、これ、宮中での風習なんですね。正月二日にやんごとなき方が恵方に向かって詩歌を書いたのが、始まりでそれが江戸時代に庶民に広まり神棚に書いたものを納めて、字の上達を願ったものだとか。
 どおりで、と思ってしまいました。
 私の実家は天保年間に建てられたという古い家なのですが、父がそんな旧弊な家は嫌だと飛び出したために、私はすっかり日本的なしきたりを経験せずに育ってしまいました。今からやっても、効果ありますかね。自分では、王羲之だと強がっているのですが(笑)

 そんなことを書きだして思うのは、そういう日本のしきたりはあまり知らないにしても日本の歴史や代表的な文学作品を知っていたのはラッキーだったなということです。方々で言っていますからご存知の方も多いと思いますが、私は英語よりも数学や日本史、日本文学、世界文学、現代思想に興味がある学生でした。外国には興味は全然なかったし、行きたいとはまったく思わなかった。よく休暇のたびに海外旅行に行かれる方がたくさんおられますが、いやぁ、そのヴァイタリティはすごいなと思ってしまいます。私はせいぜい神田明神にお参りするぐらいです。
 でも、今から思えば、それは海外の方にとって良かったようです。英会話を始めたばかりのころ、少ないボキャブラリィと拙い表現力でもなんとか間が持ったのは、Native English Speakerにこいつは自分の知らない情報を持っているなと思ってもらえたからだと思います。

 親しい間柄であればともかく、知り合い程度の友人、会社の同僚や先生と受講生といった間柄では英語は情報のやりとりが基本です。相手に自分の知っている情報を提供して喜んでもらい、相手からも自分の知らない情報を得て、その交換を愉しむことが会話のベースになります。Give & Take がある。

 よく英会話を始めて、自己紹介まではうまくいくんだけど、そのあとのレッスンが盛り上がらなくて(もしくは、Native English Speakerが話してばかりいて)辞めてしまったというお話を聞きますが、これは英会話力の問題だけでなくて、Native English Speakerが知りたい話題を提供する気持が弱かったということも一因あるのではないかと思います。

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