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英語のそこのところ 第4回 どっちが先?
著者 徳田孝一郎
イラストレーター 大橋啓子
「で、どうしてこういうメールが来てるのかな?」
英会話スクールの会社の会議室。
徳田と講師管理のNative English Speaker、それに前回も出てきたケンジ君が座っています。男3人雁首揃えて、呑みにでも行く愉しい話でもしているのかと思いきや、ちょっと違うようです。むしろ、空気は重い。とてつもなく重い。ここはブラックホールかと思うぐらい重い。そんなわけはないのですが(笑)
「なんですか?」
と気楽に一人だけ重力を感じていなかったケンジ君が渡されたプリントアウトを手に取ります。
とたんに、すっと顔から血が引くのが判りました。これ、比喩じゃないんですよ。本当に顔から血の気がなくなるんです。みるみる蒼くなる。
「ええっと、まいったなぁ」
急に重力を感じたケンジ君、滑舌まで悪くなる。ようやくブラックホールに飲み込まれようとしていることに気が付いたようです。
「これ、秘密にしておいてくださいって頼んでたんですよ」
「秘密?」
「だって、俺のほうで処理できると思ったし」
徳田は頭を抱えます。
メールの内容は、かなり激高したお客様のクレームメールでした。支払った入会金の返金はもちろん、要した交通費や浪費した時間分の損害賠償的な金額も書いてある。いくらなんでもふつうここまで要求されることはありません。
「どういうことか説明してくれ」
頭を抱えたままでは話が進まないので、徳田はケンジ君に説明を促します。
「きっかけはですね。講師と連絡が付かなかったことでして……」
と、ケンジ君の長口上が始まったのでした。
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