『えいしょ２０２２ -いますよ-』の中身について
10/23 第八回文学フリマ福岡および11/20 文学フリマ東京35にて、同人誌『えいしょ２０２２ -いますよ- 』を頒布いたします。
すでに告知しておりましたが、この記事では各企画より一部を抜粋してご紹介します。
えいしょメンバー
有村桔梗・岩田怜武・御殿山みなみ・坂中茱萸
堂那灼風・中本 速・のつ ちえこ・平出 奔
企画① 同人作品
各自10~15首の作品を制作しました。作者ごとに一首ずつ紹介します。
坂中茱萸「フィローネ 」
風邪について話を終えて夕ぐれが映画のように引っ越してくる
のつちえこ「遊び半分」
さびしさを認めるまでもしんどくて傘のシャフトを雨伝いゆく
堂那灼風「転環」
その星に運河があったかなかったか書き残しても文字がもたない
中本速「ものさし」
手を使う選手ふたりは試合中かならず別のゴールを守る
岩田怜武「廃線に沿う」
紫陽花園を子ら駆けまわる夕暮れのどう生まれればよかっただろう
有村桔梗「夏闌」
こころもち高く結んだ髪の束ひとつ揺らして夏闌けてゆく
御殿山みなみ「陰謀論」
おそらくはお金で買える親指で押されるだろう核のボタンは
平出奔「この夏のどこへも行かなかった旅の短さとその前後について」
どこにいることも苦しい夏の下、死にそう、って暑さのことを話した
企画② いちごつみ一首評
相手の歌からひとつの語を選んで使用し歌を交互に詠み合う「いちごつみ（一語摘み）」。今回は詠み合うのではなく、一語を摘んで歌を選び評し合いました！
摘んだ語：冗談・雨・蛇・吊るす・石鹸・今日・だろう・足
企画③ 真打推敲
まず目標を決めて三首連作を書きます。次に互いに寸評を付け、それを踏まえて手直しを加えます。最後に当初の目標と所感を振り返りました。「推敲」を公開します。
推敲前の連作）
雲丹といくらの海鮮丼にどうよ雲丹どうよいくらと言わされている
ワイシャツを着てるおじさん 同様にワイシャツを着てるおじさんが僕
帰ります。夕焼けに戸惑うように社畜時代の影のびてゆく
評文）
一首目二首目とギャグ感のある歌の次に憂鬱な雰囲気の歌がきて少しびびる。自分を客体化して〈どうよ〉と〈言わされ〉たり、自分を〈ワイシャツを着てるおじさん〉と客観視しているところに面白さを感じる。三首目は自分の影が〈戸惑〉っているように感じている。影が主体として伸びることを戸惑っているように回想するのは、少なくとも良い感情のときではないだろう。〈帰ります。〉というセリフにも少し暗さを感じる。そこの暗さと、前二首の面白さとが少しアンバランスかなと感じた。
推敲後の連作）
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企画④ 第１回過度かわ短歌賞選考会
過度にかわいい短歌を決める短歌賞、それが過度かわ短歌賞です。
同人メンバーが選考委員となり、過度なかわいさを振りまく候補作から、受賞作を決定しました。八人のメンバーを四人ずつの選考委員に分けて、同じ候補作に対して二回の選考会を行いました。以下選考会の抜粋です。
〈おしまいだぷぅ〉の威力がすごい。／かわいいということの本質はその行動にあるという短歌です。／飼い犬ってどんなにブサイクでも飼い主にとってはかわいいし、／いい歌だということには賛成ですが、「過度かわ」なのかには疑問を持ちました。／屈強で大きいけど、丸っとしたフォルムになんとなくかわいさもある。／これは「かわいい」なのか？ ／わかめのそういうエンドロールの映像があるのでしょうか。／塩梅を狂わせる挑戦があっていい賞ですよ。
企画⑤ 超たまたまご
まず短歌が一首あります。その短歌に一人が評をして、その評を元にまた別の人が短歌を作る。これをどんどん繰り返すと、果たして最後の歌はどうなるのでしょう。
スタートの歌：
冬の夜の星君なりき一つをば云ふにはあらずことごとく皆 ／与謝野晶子
→最初の評：
人、ないし命を星に見立てる構図自体はもはや「お約束」のものだが、〈一つ〉のみならず〈皆〉、つまり星空に浮かぶ星々のすべてを〈君〉に見立てているのはインパクトがある。「お約束」の感覚からいくと〈君〉は亡くなった親しい（たとえば恋仲の）人物だろうか。さりげなく示される〈冬〉という季節の寒さや厳しさが、歌から想起される哀しみをさらに印象深くしているように思う。主体の強い想いが、あふれるように伝わる
→次の歌：
寒空に立ち尽くしたり 仰ぎみる星々なべて君と思へば
→評②：？
→歌②：？
→評③：？
→歌③：？
→評④：？
→最後の歌：どうなってしまうんだぁ～？
企画⑥ よんこま
それぞれが四コママンガを描きました。今回一番難しかったです！
以上に加え、今回はおまけがついています！
中身は読んでからのお楽しみ〜〜〜！
「面白そう！？」と思ったそこのあなた、ぜひこちら第八回文学フリマ福岡/文学フリマ東京35/通販にてお求めください！！！
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