音楽家は普段何しとるの?/今後のプラン
最新アルバムはAIRは埋もれていた音源を掘り起こしたアルバムなんですが、作ってよかったと最近やっと思えるようになりました。埋もれていた音源を映像に使ってくれた藤森監督のお陰。
彼の長編ドキュメンタリー映画では、このアルバムと同じ時/場所でアメリカから運んだビンテージ1912年製N Yスタインウェイをホールに入れて録音した“HEAVEN’S DEARM”のアルバムから音源を使っていただいています。
映画は、この夏東京で2週間上映予定です。7/6(土) 〜 7/19(金) 都内独占公開
新宿 K’s cinema
7/6-12 連日12:00 7/13-19連日10:00
特別鑑賞券発売中! 1,400円(税込) ※当日一般1,800円
■ 公式HP
NEW ALBUM”AIR”のジャケットは野瀬が北海道の美深町で当時美深町に住んでいた従兄弟のノッチに連れて行ってもらった沼で撮った写真。美深町はジャケットマンこと議員で絵描きのMR.NAGAKIが企画してくれたコンサートで数日滞在。彼は体を患っていましたが、体を酷使して作品を作っていました。そして数年前に亡くなられた。この音源のコンサートにも彼は来てくれたんだけれども彼のレクイエム的な作品となった。
ジャケットデザインは北海道在住の素晴らしいでデザイナーのMR.TAKADA。彼がクリエイトするものは、無駄がなくシンプルかつ美しい。「文句のつけどころがない」といつも唸ってしまう。だいたい2パターン作って頂くのですが、いつもどちらも良くて悩む。優秀でセンスのいいデザイナーに出会えてありがたい。
アルバム制作は本当に時間がかかる。曲書いて、練習して(すぐに自分の曲が弾けるわけではなくて時間がかかる場合がある)、バンドの場合はリハーサルして、本番で何度も弾いて、スタジオ借りて録音して。コンサートの場合には、エンジニアを呼んで、録音してもらう。ライブの場合は一切やり直しが効かない。野瀬のアルバムはライブ盤が多く、スタジオに行ったとしても楽器を別々で録音じゃなくてやり直しが効かないみんな一緒に録音する方式。録音が終わったら2、3時間(時にはもっと)くらいある録音を死ぬほど聴いて、いいテイクを選んで。選んだらエンジニアにミックス(曲のお尻をカットしたりする。間違いをカットしたりやり直したり大手術をするが野瀬はそれをやらない)やマスターリング(音を調整する)をお願いして。音ができたらジャケットのイメージにある絵や写真をイマージし探して、デザイナーにジャケットお願いして。ジャケットもどんなのにするかソースを探したり。そしてようやく工場に出して。そっから作品を育て、宣伝、販売する。
時間とエネルギーとそして予算がとんでも無くかかる。聴くだけでも相当な時間になる。音楽家やアーティスト以外の人達にはそれらの時間とプロセスとエネルギーをあまり理解されない。家で音楽聴いていることが仕事とは認識されない。曲書いている時間、練習も、聴くことも、作品に必要なものをリサーチすることも。その他コンサートのブッキングやプロモーションや文章書いたりお店やお客様とのやり取りなど、それらの時間は見えないので、演奏している時だけが仕事のように思われることが多い。なので、『普段、何しているの?』とか『ちょっと来て(無料で)弾いてくれない?』とかになるんだと。
生涯とりあえず、1000曲くらい録音を残したいと思っています。自ら作曲したオリジナルで(もしくはその場で作った即興演奏で)。そう考えて逆算すると、毎年4枚くらいアルバムを作ってなくてはいけなくて、常に聴いたり、作曲したり、新曲練習、バンドリハーサル、録音、デザインを考えて、、とかをやっていなくてはいけない。
なのですが、振り返ってみるとこの10年は8枚アルバム出しましたが、スタジオ録音が3枚しかないし、作ってない年もある。
やりだそうと思っていたころにコロナ。そろそろエンジンかけないと、と思っている今日この頃。今も昨年一昨年のキタラコンサートで演奏した2年分のフリーインプロソロの音源を聴きつつ、
13年ぶりにベースが入ったアルバムを2、3枚作りたく、ミュージシャンに声かけてNYにいる間にリハーサルした。色々なバリエーションを考えてベースやドラムと会いセッションしたりしてる。
Satoshi Takeishi 氏のパーカッションとのユニットTHE GATEでの録音を今度は小樽の野瀬ホールでやると話をしていて、野瀬栄進おっぺけぺージャズ楽団という東京のメンバーの一風変わったバンドでしかやらない曲を録音したいとも考えていて、
北海道シリーズの『NORTHERN LIGHTS』では作品になっていものを形にしたり、
南米シリーズもあったり、フリージャズユニットがあったり、
その他にもこの曲はあの人とやってみたいとか。もちろん自分の曲だけじゃなくて、スタンダードや他のミュージシャン達の曲や最近ではオペラ歌手とのコラボだったりやりたいことがいっぱい。
とにかく体が資本なので、体調管理で食事に気をつけて、ヨガやったり瞑想したり体操したりジム行ったり、鍼やら整体やら行ったり、トレーナーさんに来てもらったりとかやっとります。野瀬栄進コンサート実行委員会メンバーや友人やお弟子さんや地方にいるファンの方が応援して手伝ってくれてとても助かっています。
ポニーキャニオンからアルバムが出た以外は、どこのレーベルにも事務所にも所属せずに2002年の一枚目のアルバムから全部自分で制作しています。コロナのあたりからマーケティングの本とか集客についてとかお金についてとか自分に知識がないことをリサーチしています。D to C(DIRECT TO CUSTOMER), つまりファンベースでお客様と直接やりとりして直接課金してもらう方式、、は間違ってなかった、と最近思います。むしろ、最初の頃はもっと直接色々やりとりしていてお客様の名前とかほぼみんな覚えていたけれど、人数増え直接やりとりが少し薄まっていて、この数年は足りてなかったかもしれない。これからも、いやこれからは、、さらにもっと、ファンベースで一人一人大切に進んでいきたい。
とニューヨークポートワシントンの図書館で別の作業をしようと思って来たが、ツアー日程を先に書くことにしようと思ったら全く別な方向になってしまった。というわけで、引き続き応援どうぞよろしくお願いいたします。
(この文章はオンラインサロンで四月末に書いたものを編集しました)
ÉISHIN NOSÉ SOLO in Otaru Marin Hall, 2016
誰も聴いたことがない音。存在の芯が立ち上る新たな領域。
1912年製オールド・NYスタインウェイと空気を震わせる 時代を超える光がここから放たれる
野瀬栄進『AIR』
このアルバムは、2016年に行われた小樽でのソロコンサートのライブ録音が収録されており、ニューヨークから運んだ1912年製のニューヨークスタインウェイを使用。Heaven's Dreamというアルバムの続編のアルバムになる。Heavens's Dreamでは藤森圭太郎監督による1984年ロスアンジェルスオリンピック、レスリング金メダリスト富山英明氏の映画『夢を喰う』の映画音楽に使われていた。『Air』では、藤森氏のショートフィルムに使われ、2024年に帯広映画祭で上映された。
コンサート前に収録したフリーインプロから始まり、静かな曲が徐々にノリのいい曲へと展開していく。PICO PICOでは会場のお客様が携帯音を鳴らしコラボレーションを行っていたり、ライブ演奏の雰囲気を感じ取ることができる。
白紙に墨を落としていくように存在が立ち現れる、野瀬栄進がオールドNYスタインウェイと創り出す, 原初から未知から魅了する音がここにある。
Recorded by Kenji Morimoto(panama)
at Otaru Marin Hall on May 28th and 29th, 2016
Mixed and mastered by Katsuhiko Naito at Avatar Studio in New York on August 22nd, September 7th, 2016 and
September 19,2023
Jacket work by Daisuke Takada
Photo by eishinnose
Piano tuned by Kenji Azuma
ÉISHIN NOSÉ used his 1912 New York Steinway and Sons Model O piano
QMYZM2300159-QMYZM2300171
acmusic017
このアルバムの物語
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