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泣きたい私は猫をかぶる

2020年公開
佐藤順一監督
主題歌:「花に亡霊」ヨルシカ

<あらすじ>
 同級生の日之出賢人に恋する中学2年生の笹木美代(ムゲ)。誰が見ても明るく活発な少女。しかし、両親の離婚・再婚を経験し愛を受け取ることを拒み、心の中は悩みに覆われていた。そんななか、猫になることができる仮面を売る猫店主と出会い、秘密の仮面を手にする。人間の姿では冷たくあしらわれてしまう日之出君に猫の姿で会いに行くようになった。
 自分と同じように悩み苦しむ日之出君を目の当たりにし、助けてあげることも、素直に自分の思いを伝えることもできないもどかしさが入り交じり、つい、人間を辞めたいとさえ思ってしまう。

☑受け取ったテーマ
 
・言葉で伝える
 ・目に見えない愛
 ・人として生きる

こんな人におすすめ
 ・アニメ好き
 ・ラブコメ好き
 ・人に気持ちを伝える勇気がない人
 ※人間を辞めたいと思う人(メンタルがボロボロで立ち直れない位の人は除く)
 映画や音楽、漫画など様々なコンテンツから生きる勇気をもらうことはあるけど、非現実的であったり、時間経過が早く成長や変化が分かりやすいため、ストーリーと現実のギャップにむしろ冷めてしまう可能性があるので括弧書きをしております。

 映画のジャンルとしては「アニメ」「ラブコメ」にあたると思います。まず、この辺が好きな人にはお勧め。 メッセージ性も強い作品です。何か、誰かに伝えたいことがある人は勇気をもらえる作品かもしれません。
 

主題歌
主題歌はヨルシカの「花に亡霊」。予定されていた公開は6月だったからか、淡い夏祭りの記憶を連想させるメロディーと歌詞。作品も夏祭りが一つの鍵となっている。
 思春期の切ない葛藤や、子供ではないが大人の世界を理解できない苦痛、思いを素直に伝えられないほろ苦さが作品と非常にマッチした曲である。
 ムゲの人に見せる、明るさではなく、心の中の愛を探す苦しみとか、日之出君の悩みに寄り添いたい気持ち、振り向いてほしい気持ちに重なって一気にムゲの心の中に引き込まれるようなマッチングで最大限に作品の深みを感じさせる音楽だったと思う。

感想
 「死にたい」とつぶやく人と多々出会う。中には本当に死んでしまいたいと思って発している人もいるだろうが、大抵は辛いやしんどいの類義語なんだろうなと。僕自身そんな感じ。
 猫になりたいと思うこともある。自由奔放でマイペースな猫に。何から逃げたいんだろうな。何をしたいんだろうな。そんなことを考えながら、なったこともない、なりようのない猫にあこがれを抱いたりね。

 人の感情は、本来分かりえないものですよね。自分自身でさえ把握しきれないし、言語化なんてもっと難しい。猫になったムゲ(日之出君は猫になったムゲを太郎と呼ぶ)は、日之出君に猫の姿で会えば、彼の本当の姿を見た気に、知った気になっていた。確かに、動物である太郎に見せた姿はありのままの姿だったのだろうが、それでも、理解には及ばない。
 やはり、言葉がつかえないのは不便なんです。心の支えとなることも、癒しとなることもできるが、お互いがありのままでないと、意味がない。常に自分の感情や思いは言語化するよう意識してるし、相手にもそれを求めてます。恥ずかしさやプライドが言葉にするのを邪魔してくるときもあるけど、自分と向き合う術を自ら放棄してしまいたくはないですよね。
 自分に素直にならないと、きっと後悔してしまう。そう思える作品でした。

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