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シャザム!

2019年公開
監督:デヴィッド・F・サンドバーグ

<あらすじ>
 幼いころ、母親と離れ離れになってしまったビリーは、5人の里子を持つバスケス夫妻のグループホームへ引き取られる。母親との再会を諦めきれないビリーは今までの里親の家からも、バスケス夫妻のグループホームからも家出を繰り返していた。
 あるとき地下鉄に乗り込んだビリーは怪奇現象に逢い、謎の宮殿「永遠の岩」へ召喚される。そこにいた魔術師シャザムから、七つの大罪を封印する使命を受け、スーパーヒーローへ変身する力を授かる。強大な力を得たビリーだが、使命など忘れ、超人的な力を使い、自分の好きなように自由な生活をするようになった。
 同じグループホームに住むヒーローオタクのフレディにだけ、その秘密を打ち明けていたビリーは、2人でSNSへ動画を投稿し、人気者になったことで有頂天になりつつあった。

☑受け取ったテーマ
 ・協力な力の使いかた
 ・正義とは何か
 ・家族愛

☑こんな人におすすめ
 ・アメコミが好きな人
 ・アクションで笑いたい人
 ・家族の大切さを教えてくれる映画を見たい人
 アメリカらしいユーモアとアクションが光る作品。アメコミヒーローそのものですが、MARBELのような壮大なストーリーではなく、コメディー要素の強い映画ですので、笑いあり涙ありのかっこいいアクションが見たい人には大変おすすめです!
 ストーリーも複雑でなく、シリーズ物でもないので、手の付けやすい作品だと思います。

☑作品の特徴
 ストーリーは王道のヒーロー系。リアルな14歳を描いた、コメディ。思春期ならではの憧れと、14歳らしい超人的パワーの使い方は、なんとなく少年心に刺さるものがあります。孤児というつらい過去を持った子供たちが主役ですが、純粋無垢なその心に、ジーンと響いてくるメッセージを感じる作品です。

☑感想
 よりリアルに近いヒーロー映画で、感情移入しやすい作品でした。孤児という事実は誰にでもある経験ではありませんが、子供たちの苦悩や憧れ、家族愛は多くの人の共感を誘う内容でしょう。日本の家族愛とアメリカの家族愛の描かれ方の特徴は違いますから、そこにギャップは感じつつも、家族愛・絆は万国共通だな、と改めて。
 もっとも、「血のつながった家族」が大事かどうかは別問題ですから、正確に言うと、信頼できる友人、心を許せる人たちがいる場所の大切さを伝えたいのだと感じました。

 超人的なパワーを得たにも関わらず、悪事を働くでもない、自分の好きなように生きる様子が子供らしさをリアルに表しており、くすっと笑える場面もたくさん。後先考えず行動し、失敗や他者へ迷惑をかけてしまうシーンも、胸糞でなく過去の自分と重ね合わせた共感を生みます。
 力の強いものは弱いものを守るためにその力を使わなければならない、なんて色んなコンテンツで教訓として伝えられていますが、ある種、自分の思うように生きることができる力にもなりえるのだと思います。使命を忘れ、遊び惚けることが是という意味でなく、生きたいように生きる自信を得られるという点で、大切にしておきたいものなのだと感じたのです。

 ビリーに相対する敵は、ビリーと同じ様に、過去「永遠の岩」へ召喚された経験を持つ男性。彼は適性がないと判断され、力を継承することを拒まれてしまいました。その経験は彼を悪の道に落とし、七つの大罪を復活させる原因となってしまいました。
 七つの大罪とは人間そのもの。深層心理に渦巻く欲望を止めることができなくなった彼の姿が描かれていました。しかし、彼が悪であるわけではないと思うのです。彼の父親は大企業の経営者。兄もその会社の重役です。弟である彼は、出来損ないだとののしられ、親の愛を受け取ることができなかったのです。

 境遇は同じ。幼いころに母親とはぐれ、愛を受けられなかったビリーと、家庭環境に恵まれなかった男性。一体何が、二人を正反対の存在にしてしまったのか。

 この映画の中で、愛とは何か。愛が人にどう影響を与えるのか。本質的な部分に気づけるはずです。ぜひ、家族で見てほしい作品です。

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