【大学入学共通テスト】これから共通テスト・数学ⅡBに挑む人へ
こんにちは。穎才学院講師のAです。今日は、2022年1月16日に実施された〈令和4年度大学入学共通テスト(本試験)〉の数学ⅡBの解説を行います。さらに、これから共通テストを受ける受験生に向けての勉強法についても解説していきます。
総評
問題自体の難易度は第一回からほぼ変化していませんが、問題数と解くのにかかる時間が増加し、今年の受験生は苦しめられたようです。実際に、以下の表のように平均点が低くなっているのがわかるはずです。
以下では数学ⅡBの第1問、第2問、第4問(数列)、第5問(ベクトル)を取り上げていきます。
各問解説
第1問
[1]
主に「図形と方程式」の分野からの出題です。
今回の問題では「円外の一点から引いた2本の接線の求め方」を2通り試すことになります。今回のテストで出題された「二次方程式が重解を持つ条件を考える」「傾きをtanθでおいて考える」という方法の他に「円の中心と接線の距離が半径になることから考える」という解法もあるので、忘れていたら覚えておくようにしましょう。
[2]
「指数・対数」からの出題です。
指数・対数の性質がわかっていれば難なく解ける問題が続きますが、(3)では多くの文字が登場し、どの文字を変数として扱えばよいかわかりにくくなっています。「今は〜の文字について整理している」という意識を持ちながら解くようにしましょう。
特に対数では真数条件・底の条件により、文字の範囲ごとに場合分けが生じる場合が多いです。「 対数→真数条件・底の条件」と覚えておきましょう。文字(aやb)に具体的な値を代入して答えを推測してしまうのも手です。
第2問
[1]
3次関数のグラフの概形を答える問題や、3次関数と直線の交点とその個数についての問題が出題されました。いずれも3次関数の式と形の関係に焦点を当てて勉強できているかで解く時間に差がつきます。多くの問題集でこのタイプの問題は掲載されているはずなので、解けなかった場合には手持ちの問題集の類題をよく見直すようにしましょう。
[2]
主に積分の問題です。しかし、今回の共通テストでは単に積分を解くだけではなく、どのように積分を立式すれば良いかも記号選択で問われており、作問者が思考過程を問うていることがよくわかります。また、これにより第2問を解くのにかかる時間が増加しているように見受けられます。
記号選択の設問などは短時間で解き進めていき、計算とその検算に時間をかけるようにすることが大事でしょう。
また、見かけではわかりにくいですが、積分の式の構造が
になっているので「1/6公式」を使用できます。これに気づけるかどうかでも解くのにかかる時間が変化します。
第4問(数列)
冒頭の長い文章に困惑した受験生は一定数いたと思われます。ただし、この長文を読むのが面倒であれば、まずは直後の設問を読み、必要な部分だけを長文から抽出して読み取るのでも十分です。
設問としては長文と図形を読解し、立式さえできればあとは基本的な問題になっています。しかし、設定を奇妙に感じて戸惑った場合や、時間がかかり過ぎてしまった場合はいったん別の設問に逃げてしまうのが良さそうです。
第5問(ベクトル)
第4問と比べると、解きやすい問題です。特に(1)と(2)の序盤は教科書レベルの例題を理解していれば解けます。ベクトル既習の人で解けない部分があった場合にはすぐ復習するようにしましょう。特にベクトルでは「垂直・直角の言葉を見たら、(内積)=0」を意識しましょう。
より早く解きたければ、「ベクトルに座標を導入する」のがおすすめです。例えば、今回の問では点O(0, 0), 点A(1, 0) などのようにおけば、内積などの計算を簡略化できます。
(2)では、図を大きくはっきりと描けば点Qの推移が十分わかりやすくなるので、今回の問が解けなかった人は、まずは「図を大きく描く」ことを意識すると良いかもしれません。
(3)で直線に関して点Qと対称な点Rを考えるときには、
① 点Qから直線に垂線を引く
② 垂線と直線の交点(今回は点C)をベクトルで表す
③ その交点は点Qと点Rの中点
この手順を踏まえましょう。
その後は点Qが点Rの位置にある場合のtの値を求めれば終わりです。
共通テストを来年度以降に控える高2生・高1生へ
昨年度から難易度が上がったことは前述の通りですが、行うべき勉強法・対策が変化したわけではありません。まずは持っている参考書・問題集を完璧にすることを目標としてください。中途半端なままでさまざまな問題集に手をつけるのではなく、一冊を完璧にしましょう。ここで言う完璧というのは「問題が解ける」だけではなく、「全ての問題を解説を見ずに説明できる」状態のことと考えてください。これを数学ⅠA・ⅡBについては少なくとも高校3年生が始まるまでに終えましょう。そうすることで、受験生活が本格的に始まる前に、多様な問題に対する俯瞰的なアプローチを確立できます。
それ以降は、自身が目標とする志望校のレベルに合わせた入試レベルの問題集に取りかかりましょう。このときも同じように一冊の問題集を完璧に(「全ての問題を解説を見ずに説明できる」ように)しましょう。こちらは高校3年生の10-11月までに終えましょう(数Ⅲを受験に使用する生徒は、数Ⅲも同じように行ってください。終了目安はその他と同様に高校3年生の10-11月です)。
その後は大学別の過去問や共通テストの過去問に取り組むようにしましょう。特に、今年度(令和4年度)の問題の傾向から分かる通り、ひとつの問題に対する解法を複数思い出せるようにすることが大事です。繰り返しにはなりますが、「問題が解ける」で満足することなく、それぞれの問題を自分で咀嚼し「自力で解説できる」状態にまで持っていくようにしましょう。そうすれば、受験でも冷静に問題に対処できるはずです。
皆さんの今後の健闘を祈っています。
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