僕の背に輝くような翼が生えて...

元リップスライムのPESがかの有名なドラマのために作曲した「女神のKISS」の歌詞の一節である。
数カ月前狂ったようにリップスライムの曲を聴きながら通勤していて、PESの魅力に取りつかれていた時に当然この曲にもハマっていた。(笑)

この曲は女神様である相手との恋に舞い上がる男の気持ちを表現した歌詞であるという解釈に間違いはないと思うんだけど、
「女神のような眼差しの君のKISSを受け止めて」
「僕の背に輝くような翼が生えて飛び立てる」
という一節の、他者からの愛ある眼差しを受けて、自分の生きる力が湧いてくるといったのびのびした気持ちの表現は、どんな人間関係にも普遍的に置き換えられると思う。

女神のような眼差しの君。あなたにもそんな眼差しをくれる存在はいただろうか。
私の「母」は、記憶にある限りではそんな眼差しをくれたことは一度もない。
疲れた、鬱陶しい、静かにして、馬鹿じゃないの、苛立たしい、そんな眼差しばかりを浴びせられながら育った。というか私のことがそもそも眼中にない。
一秒たりとも私の存在が彼女の目に慈しみの感情を宿したところを見たことがない。

沢山勉強を頑張ってきた。苦手だけど運動も。
好き嫌いなく食べたし、習い事も沢山した。地元で一番いい高校に入った。
大学を出て、都内のIT企業に入って、実家から出て完全に自立している。そんな優等生っぷりが鼻についたのかなんだか知らないけど、その節目節目で、愛ある眼差しをもらえることは一度たりともなかった。

今も都内のきらきらしたIT企業に勤めている。
ガツガツ楽しそうに働いている誰もかれも頭が良く人が良く、愛ある眼差しを受けて育ってきたのがわかる安定したオーラを放っている。
愛を糧に飛立っていける人たち。その顔ぶれの中に私はただ姑息に擬態しているだけ。

私はもうどこにも飛び立てない。
毒親育ちは、鳥籠に誘拐された小鳥。
青い空を夢見て、逃げていった日には自分で生きることが叶わず死んでいく。餌の取り方も、仲間との協力の仕方もわからない。
鳥籠の中で青い空を夢見ていた日々が一番幸せだったと、目を閉じるその瞬間に思いふけるのだ。


あれー私ってホント暗い詩しか書けないな。PESだって結構ハードな人生だったはずなのに、寂しがりやだったのに、こんなのが書けてすごい。
つらい人生の中で、PESにとっての女神さまに出会えたのかな。いいな~。


おしまい


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