まつやま平坦(この空の下、屋根の下)

きれいな文章とおいしいごはんを食べている時が一番しあわせ。このnoteに書いてあること…

まつやま平坦(この空の下、屋根の下)

きれいな文章とおいしいごはんを食べている時が一番しあわせ。このnoteに書いてあることは、ほんとうです。

最近の記事

深夜1時の来訪者

コーヒーが飲みたい。 そう言って彼が来たのは深夜1時を過ぎたあたり。新聞社で働く彼はこれから仕事場に向かうところだという。 もちろんこんな時間にと、ビックリしなかったわけではないけれど、私自身も転がり込んだ友人宅でごろごろと、あてのない話を続けていたので、ヒトのことは言えなかった。 白いシャツと、カーキのワイドパンツ。ポケットには何やらたくさんものがはいっているのだろう、大きくふくらんでいる。細身の体のせいかニッカポッカのようにも見えなくもない。センスの良いメタルフレー

    • 捨象 という言葉

      捨象 という言葉を知った。正確には読んだ。正確には見た。なんと読むのかもわからない。 しゃしょう というらしい。しかし、意味がわからない。 もぞもぞと分厚い辞書を持ち出して、しゃしゃしゃとページをめくる。 しゃ-しょう 【捨象】 「抽象」を参照。 なるほど、抽象と関係する言葉なのか。しかし、この宝物探し感はなんだ。 ちゅう-しょう 【抽象】 物事または表象の在る側面・性質を抽(ぬ)き離して把握する心的作用。その際おのずから他の側面・性質を排除する作用を伴うが、これを

      • 母の手術

        母の手術 今日、母が手術をする。 先週の日曜日に腕を折ってしまったからだ。 子どもたちと遊んでいた時に、ころんでしまい、手をついたそうだ。きっと子どもたちと夢中で遊んでいたのだろう。 母は落ち込んでいた。 40年以上、保育者として生きてきた母にとって、そんなことで怪我をしてしまう自分にショックを受けていたのだと思う。 これまでにも、老いを感じることは多々あっただろう。 しかし、子どもたちと夢中になって遊ぶことすら、自分にはもうむずくかしくなってきてる。それは母に

        • 満員電車の救世主

          満員電車に乗って何が困るか、それは、空席に対する反応だ。 座れるに越したことはない、しかし席が空いた時の反応に人間性が現れるんじゃないかとドキドキして、モゴモゴした反応をしてしまうのだ。 どういうことか。 例えば満員電車に乗り込んで、つり革をもって立っているとする。 すると次の駅で、斜め前の人が立ち上がって降りようとしている。そして私と同じように空きそうになっているその席に意識を向けている人がいる。感じるのだ。 これはいくべきか、いかざるべきか。 そう思ったが最後