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捨象 という言葉

捨象 という言葉を知った。正確には読んだ。正確には見た。なんと読むのかもわからない。

しゃしょう というらしい。しかし、意味がわからない。

もぞもぞと分厚い辞書を持ち出して、しゃしゃしゃとページをめくる。

しゃ-しょう
【捨象】
「抽象」を参照。

なるほど、抽象と関係する言葉なのか。しかし、この宝物探し感はなんだ。

ちゅう-しょう
【抽象】
物事または表象の在る側面・性質を抽(ぬ)き離して把握する心的作用。その際おのずから他の側面・性質を排除する作用を伴うが、これを捨象という。(広辞苑第7版1890頁)


こぼれおちた個々のユニークな表情。ってこと?ちがう?

抽象や抽象化と聞けばとてもイメージもしやすい。なのに抽象化できる部分を抜き出した後の、言わば抜け殻をイメージすることは難しい。いや、それ以前にその存在すら意識することはなかった。

しかし、と考える。

例えば、初めましての人と知り合ったとして、生まれて初めての経験をしたとして、そこで感じられる瑞瑞しさは、おおよそ捨象的な事柄ではないか。

意識していなかったとのではなく、捨象的な部分がごっそり記憶から抜け落ちてるんじゃないのか。たくさんの思い出を覚えておくために、抽象化し他の物事と紐付けして記憶に留める。そのために捨象的な部分は脳の中の二度とたどり着かない宮殿に。

なんてことを考えたけど、物忘れがひどい。と言われればそれまでなのだけれど。

捨象的なことを心に留めたい。そうおもった。

夏を待つ 瑞々しく鮮かな 夜の匂いをかぐ ニセンジュウハチ



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