土田映子/ Eiko Tsuchida

札幌で英語を教える大学教員。学問の世界には米国教育史から入ってアメリカン・スタディーズ…

土田映子/ Eiko Tsuchida

札幌で英語を教える大学教員。学問の世界には米国教育史から入ってアメリカン・スタディーズを経由し、移民史で学位取得。現在の関心は言説と世界認識・アイデンティティ形成の関係を、特に大衆文化や大規模イベントなどの教育機能を通して考えること。私的活動として小説も書いています。

マガジン

  • 思い出のアメリカン・フード

    子ども時代・大学院生時代にアメリカ合衆国に住み、その後もたびたび訪米した経験から、アメリカの食に関わる話題で書くエッセイシリーズです。

  • 〈評論〉『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』における犠牲と父性

    2023年11月公開の長編アニメーション映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』の長文評論です。映画で使用された引用・オマージュ・クリシェ的表現のうち、特に桜と磔のイメージに着目し、その文化的・歴史的文脈と併せて分析することで、作品中の犠牲と父性の主題に迫るものです。 イメージ写真出典:写真AC(https://www.photo-ac.com/)より「夜桜と月」撮影者: kosumiさん

最近の記事

告知:2024年7月28日(日)札幌市青少年科学館プラネタリウムにて「第136回サイエンス・カフェ札幌」に出演します

お知らせです。 来たる7月28日(日)、北海道大学CoSTEP(科学技術コミュニケーション教育研究部門)主催のサイエンス・カフェでお話しすることになりました。タイトルは「プラネタリウムと万博から見る『未来』の作られ方」。アメリカ文化研究と天文趣味を混ぜたゆるめのトークになる予定です。CoSTEP特任助教でSF作家の宮本道人さん、同じく特任講師でアーティストの朴炫貞さんと一緒に登壇します。ビジュアルは朴さんの作品です。 イベントの詳細は以下のURLからご覧ください。参加無料

    • 〈評論〉磔刑のキリスト、あるいは目玉おやじ―『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』における犠牲と父性― 第8回(全8回)

      【各回共通の注記】 ・映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』と関連の『ゲゲゲの鬼太郎』テレビアニメについて、クライマックスや謎解き、結末を含む内容への詳細な言及があります。問題のない方のみお読みください。 ・本文約22,400字。 ・上記作品を知らない方にもわかるように書いています。 ・書籍著者名の敬称略。 ・イメージ写真出典:写真AC(https://www.photo-ac.com/)より「夜桜と月」撮影者: kosumiさん おわりに  愛について、大切なものだと臆面もなく

      • 〈評論〉磔刑のキリスト、あるいは目玉おやじ―『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』における犠牲と父性― 第7回(全8回)

        【各回共通の注記】 ・映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』と関連の『ゲゲゲの鬼太郎』テレビアニメについて、クライマックスや謎解き、結末を含む内容への詳細な言及があります。問題のない方のみお読みください。 ・本文約22,400字。 ・上記作品を知らない方にもわかるように書いています。 ・書籍著者名の敬称略。 ・イメージ写真出典:写真AC(https://www.photo-ac.com/)より「夜桜と月」撮影者: kosumiさん 「大きな物語」の喪失と新たな「父」像 「父」につ

        • 〈評論〉磔刑のキリスト、あるいは目玉おやじ―『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』における犠牲と父性― 第6回(全8回)

          【各回共通の注記】 ・映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』と関連の『ゲゲゲの鬼太郎』テレビアニメについて、クライマックスや謎解き、結末を含む内容への詳細な言及があります。問題のない方のみお読みください。 ・本文約22,400字。 ・上記作品を知らない方にもわかるように書いています。 ・書籍著者名の敬称略。 ・イメージ写真出典:写真AC(https://www.photo-ac.com/)より「夜桜と月」撮影者: kosumiさん 磔刑のキリストと生贄の白兎  血桜の下で、鬼太郎

        告知:2024年7月28日(日)札幌市青少年科学館プラネタリウムにて「第136回サイエンス・カフェ札幌」に出演します

        • 〈評論〉磔刑のキリスト、あるいは目玉おやじ―『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』における犠牲と父性― 第8回(全8回)

        • 〈評論〉磔刑のキリスト、あるいは目玉おやじ―『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』における犠牲と父性― 第7回(全8回)

        • 〈評論〉磔刑のキリスト、あるいは目玉おやじ―『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』における犠牲と父性― 第6回(全8回)

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        • 思い出のアメリカン・フード
          9本
        • 〈評論〉『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』における犠牲と父性
          8本

        記事

          〈評論〉磔刑のキリスト、あるいは目玉おやじ―『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』における犠牲と父性― 第5回(全8回)

          【各回共通の注記】 ・映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』と関連の『ゲゲゲの鬼太郎』テレビアニメについて、クライマックスや謎解き、結末を含む内容への詳細な言及があります。問題のない方のみお読みください。 ・本文約22,400字。 ・上記作品を知らない方にもわかるように書いています。 ・書籍著者名の敬称略。 ・イメージ写真出典:写真AC(https://www.photo-ac.com/)より「夜桜と月」撮影者: kosumiさん 桜の多面的イメージと「妖樹・血桜」(2)  血桜

          〈評論〉磔刑のキリスト、あるいは目玉おやじ―『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』における犠牲と父性― 第5回(全8回)

          〈評論〉磔刑のキリスト、あるいは目玉おやじ―『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』における犠牲と父性― 第4回(全8回)

          【各回共通の注記】 ・映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』と関連の『ゲゲゲの鬼太郎』テレビアニメについて、クライマックスや謎解き、結末を含む内容への詳細な言及があります。問題のない方のみお読みください。 ・本文約22,400字。 ・上記作品を知らない方にもわかるように書いています。 ・書籍著者名の敬称略。 ・イメージ写真出典:写真AC(https://www.photo-ac.com/)より「夜桜と月」撮影者: kosumiさん 桜の多面的イメージと「妖樹・血桜」(1)  日本

          〈評論〉磔刑のキリスト、あるいは目玉おやじ―『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』における犠牲と父性― 第4回(全8回)

          〈評論〉磔刑のキリスト、あるいは目玉おやじ―『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』における犠牲と父性― 第3回(全8回)

          【各回共通の注記】 ・映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』と関連の『ゲゲゲの鬼太郎』テレビアニメについて、クライマックスや謎解き、結末を含む内容への詳細な言及があります。問題のない方のみお読みください。 ・本文約22,400字。 ・上記作品を知らない方にもわかるように書いています。 ・書籍著者名の敬称略。 ・イメージ写真出典:写真AC(https://www.photo-ac.com/)より「夜桜と月」撮影者: kosumiさん 『鬼太郎誕生』における引用・オマージュ・クリシェ

          〈評論〉磔刑のキリスト、あるいは目玉おやじ―『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』における犠牲と父性― 第3回(全8回)

          〈評論〉磔刑のキリスト、あるいは目玉おやじ―『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』における犠牲と父性― 第2回(全8回)

          【各回共通の注記】 ・映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』と関連の『ゲゲゲの鬼太郎』テレビアニメについて、クライマックスや謎解き、結末を含む内容への詳細な言及があります。問題のない方のみお読みください。 ・本文約22,400字。 ・上記作品を知らない方にもわかるように書いています。 ・書籍著者名の敬称略。 ・イメージ写真出典:写真AC(https://www.photo-ac.com/)より「夜桜と月」撮影者: kosumiさん 『ゲゲゲの鬼太郎』と『鬼太郎誕生』:設定とストーリ

          〈評論〉磔刑のキリスト、あるいは目玉おやじ―『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』における犠牲と父性― 第2回(全8回)

          〈評論〉磔刑のキリスト、あるいは目玉おやじ―『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』における犠牲と父性― 第1回(全8回)

          【各回共通の注記】 ・映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』と関連の『ゲゲゲの鬼太郎』テレビアニメについて、クライマックスや謎解き、結末を含む内容への詳細な言及があります。問題のない方のみお読みください。 ・本文約22,400字。 ・上記作品を知らない方にもわかるように書いています。 ・書籍著者名の敬称略。 ・イメージ写真出典:写真AC(https://www.photo-ac.com/)より「夜桜と月」撮影者: kosumiさん はじめに  映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』(以後

          〈評論〉磔刑のキリスト、あるいは目玉おやじ―『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』における犠牲と父性― 第1回(全8回)

          過去の著作へのリンク集:宮澤賢治、シカゴ万博、エスニシティ、2001年米国同時多発テロ、五島プラネタリウム

          北海道大学学術成果コレクション(HUSCAP)に掲載されている過去の著作から、現在でも読むに耐えると思われるもの・一般読者向けのものをリストアップしました。 2004年。北大の公開講座での講義を元に書き下ろした論考です。A6版で約30ページあります。 2013年。国際広報メディア・観光学ジャーナル(北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院発行)掲載の研究ノート。シカゴ万博は2回行われましたが、これは大恐慌のさなかに行われた2回目の方です。 万博との関連はないですが、ト

          過去の著作へのリンク集:宮澤賢治、シカゴ万博、エスニシティ、2001年米国同時多発テロ、五島プラネタリウム

          妊娠中の不思議な出来事

           オンライン大学院ゼミを終え、眼精疲労にやられて伸びていると、娘が学校から帰ってきた。手を洗うなりタブレットの電源を入れてソファに陣取る。「星のカービィ」Twitter やら動画やらをチェックするのに余念がない彼女は、小学六年生。もう母の服を着られるほどにデカイ。 「あれから12年か……」  季節が春から夏へと移り変わり、札幌の緑も濃くなるこの季節、いつも妊娠中のことを思い出す。当時、ちょっと現実離れしてるんじゃないかと思う不思議なことが二つ、あった。  一つは、助産師

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          本の紹介『ともに生きるための教育学へのレッスン40ー明日を切り拓く教養』

          本業の大学教員の仕事では、英語の授業がいちばん多いのですが、大学院の授業も受け持っています。教育学の大学院です。その縁で、ここにご紹介する本に、エッセイを一本掲載していただきました。 『ともに生きるための教育学へのレッスン40―明日を切り拓く教養』(明石書店、2019年8月発行)は、北海道大学教育学部創立70周年を記念して出版されたものです。 ねらいは、「高校生、大学生や一般市民を念頭に(中略)教育学研究の意義や面白さを感じてもらえるもの」(編集の松本伊智朗先生のあとがき

          本の紹介『ともに生きるための教育学へのレッスン40ー明日を切り拓く教養』

          思い出のアメリカン・フード(8: クリスマスとみかん)

          第8章 アメリカのクリスマスと籠盛りみかん  大学院生時代、米国ワシントン州の友人宅にクリスマス休暇を過ごしに行った時のこと。友人がスーパーマーケットで、「クリスマスにはこれが欠かせないの」と言いながら、みかんを箱買いした。それも小さい箱ではなく、お歳暮で贈られるようなサイズ。箱の側面には富士山のイラストがあり、「静岡産」と印刷されていた。  友人は父方がドイツ系、母方がアイルランド系で、日本との血縁関係はない。続いて彼女の知人宅を訪問した。彼女同様、白人の家庭で、ここでも

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          心の回復が辿る道:9.11同時多発テロ事件遭遇後の個人的経過について

           2001年9月11日にアメリカ合衆国で起こった同時多発テロ事件は、今や教科書に載る現代史上の事件として扱われている。近年は、アメリカでも若い世代にこの事件のことをどう伝えていくかが課題とされているという。あれから19年。  当時シカゴで大学院生をしていたわたしは、事件の日、たまたま旅行でニューヨークを訪れていた。この日に飛行機でシカゴに戻る予定だったのだけど、飛行機の運行は停止され、ホテル宿泊の延長も断られて行き場を失った。NYCを鉄道で脱出し、州内の小さな町の知人宅に転

          心の回復が辿る道:9.11同時多発テロ事件遭遇後の個人的経過について

          思い出のアメリカン・フード (7:アメリカの名もなきスイーツ)

          第7章 アメリカの名もなきスイーツ 外国文化、特に食文化や服飾雑貨など、目に見えるモノの伝播にはある種の法則性があるように見える。まず、「高級」とされるものは国境を越えやすい。昔の言葉で言えば「舶来物」と呼ばれるようなものや、「○○王室御用達」などの能書きのついたもの、また希少価値があるとされるもの。日本料理を取ってみても、海外では寿司や天ぷらが先に知られるようになり、庶民の味の代表格であるラーメンがブームとなったのは近年だ。 こうした現象の背景としては、「高級」とされるもの

          思い出のアメリカン・フード (7:アメリカの名もなきスイーツ)

          小学校英語必修化 初めての教科書が来た

           2020年春、日本各地の多くの学校が休校中とあって話題になっていませんが、今年度は小学校で英語が必修となった初年度にあたります。現在小学5年生のわが家の娘は、前年度まで「外国語活動」の中で英語に触れてきましたが、教科として小学校で英語を学ぶ初めての学年となりました。  5月中旬現在、札幌市内の学校は休校中ですが、4月には始業式から1週間だけ学校があり、新年度の教科書類を受け取ることもできました。配布された英語の教科書について、感じたことを報告します。  筆者の英語との関わ

          小学校英語必修化 初めての教科書が来た