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手の進化は人類の進化

チャールズ・ダーウィンは、人類の祖先が二足歩行したときに両手が自由になり、その後の進化につながったと主張します。

私達の祖先は、二足歩行になることにより、両手が歩行から完全に自由になりました。
前足が両手に進化する事で、より複雑な道具を作り使うことが出来るようになります。
その進化によって、私たちの脳も大きく進化してきました。
前屈みの姿勢では、頸椎にかかる負荷も大きく、脳の容量も抑えられています。
それが二足歩行という姿勢で、より大きな脳の容量を支えられるようになり、かつ様々な刺激を身体から吸収し大きく進化したと言われます。
特に大脳新皮質の体積が増加し、論理的に物事を考えたり、抽象的な概念を扱う事が出来るようになりました。

歩行から完全に独立した“手”を持つのは人間だけです。
手というのは人間の象徴かもしれません。

古代インドでは「象」が神聖視されます。
なぜでしょうか。
それは、象のあの長く自由に動く鼻が“手”に見えたからです。
象の鼻も歩行とは切り離された部分であり、かつ自由に物を掴んだり、水を飲んだり出来ます。
人間以外に“手”をもつ動物として、象は神聖な生き物とされ大切にされました。
古代インド語で、象の最古の呼び名はhastin(ハスティン)hatthin(ハッティン)と言います。
これは「手を持つもの」という意味です。

人間にとって“手”というものは重要な意味を持っていたのです。

私達は“手”を持った事で、周りの環境を思うように作り変える事が出来るようになりました。
住みやすいように家を作り、庭を作り、作物を植え収穫し、火を使い料理もします。
環境に適合するのではなく、環境を作り適合させてきたのです。

手によって環境を思い通りにする事で、生まれたものがあります。
それは「思い通りにならない」という苦の感情です。
そもそも世の中には「思い通りになるもの」は存在しません。
しかし、私達は優秀な手と脳をもった事で、環境を思い通りに出来ると錯覚してしまいました。
その結果「思い通りにならなさ」という苦しみも感じるようになったのです。

私は「この苦しみから如何に脱却するか?」
という命題に向かって、宗教や哲学が発展したのではないかと推測しています。

宗教には、象徴的な礼や祈りの形があります。
仏教では“合掌”。
道教などは一方の掌を、もう一方の掌で包む“拱手(きょうしゅ)”と呼ばれる形で敬意を示します。
他の宗教には手をカップ状にしたり、組んだりする形も存在します。

手の進化によって思い通りに環境を変える力と、思い通りにならない苦を手に入れた人類が、祈りの形として手を何らかの形で“修める”という行為は、手と心の密接な関係を象徴しているのではないかと思います。

手を調える、という行為は私達の心にとても大きな影響を与えるのですね。

そして仏教では「思い通りにならなさ」から脱却する為には、現実を受け入れる、ありのままに観る事が大切だと説きます。

マインドフル瞑想@オンライン

マインドフルネス瞑想の時間に行なっている全ての瞑想は、現実を観察するトレーニングです。
自分の呼吸、手足の感覚、身体の感覚など、全て今自分が感じている現実です。
思考や妄想は過去・未来をゆらゆらと動き回りますが、感覚は常に現実に止まります。

例えば、タンスの角に小指をぶつけ痛い!という思いをします。
その痛かった記憶を後日思い返して「あの時は痛かったなぁ」「嫌な思いをした」と思い出す事は出来ても、その時の痛みは再現出来ません。
痛みという身体感覚は現実のみなのです。
現実を観察する為には、身体感覚を大切にしてあげる事が必要です。
身体が感じている事に意識を向けて、心もそこへ止めてあげるのです。
心身が分離しない事が大切です。

私達は日常生活の中で、心は未来や過去、身体は今。という状態が非常に多いです。
テレビを見ながら食事をする。身体は食事をして食べ物を味わっているのに、心は明日の仕事の心配や目の前のテレビの事を考えている。これは心身が分離していますよね。
食事をする時には、心も食事をして、現実を味わう、このように心身一如を意識して下さい。
テクノロジーが進化をして、とても便利な世の中です。
しかし、それに比例して心身の分離も加速しています。
歩きながらスマホ。
食事をしながらLINE。
電話をしながら運転。
枚挙に遑がないですね。

少しづつでも、心身一如の時間を増やして頂く事が、不安や焦り、苛立ちから脱却する方法です。一緒に心地よい時間を過ごして参りましょう。

続きは随時更新していきます。
ご興味のある方は、ぜひ「マインドフルネス瞑想@オンライン」にもご参加下さい。
https://note.com/eikan/n/nce50c4dc8079

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