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一服の茶から学ぶ対人関係の秘訣

温かいお茶が美味しい季節になりましたね。
今年は秋があったのか、あまり味わう余裕なく冬到来という感じです。
忙しない日常だからこそ、ちょっと茶を一服。
この心の“ゆとり”はとても大切です。
ゆとりがあると落ち着いて物事に臨む事ができるだけではなく、あらゆる対人関係を円滑にする秘訣とも云われます。

明治期に出版された『茶の本』で岡倉天心は、このような心の余白を老子の言葉として「虚(きょ)」と紹介しています。

少し想像してみて下さい。
仕事もプライベートも完璧、非の打ち所がなく、理詰めで思考を組み立てる完璧主義の上司。
一方で、少し抜けているけれども、いつも落ち着いていて、部下にもダメな所を見せるような、威厳はないけど一緒にいると穏やかに仕事ができる上司。
あなたはどちらの上司と仕事がしたいですか?

もちろん仕事なんだから自分を成長させる為に、緊張感が保てる前者が良い!という人もいらっしゃると思います。
でも、その上司とずっと仕事を続けていくのは、なかなかの精神力が必要です。
また、自分自身が上司の立場になった時に、その完璧な自分を保ち続ける事は厳しいなぁと感じる方も多いのではないでしょうか。
老子は対人関係を円滑に進めることに長けているのは後者のような在り方だと説きます。
「完全でないから人生は楽しいのだ」と。
相手が異を唱えたり、意見を挟み込む隙を与えない完璧な在り方は実は人を遠ざけます。
対人関係で肝要な事は、あえて隙を作り、入り込む余地を空けておくことです。
岡倉はこの「虚(きょ)」のあり方こそ、茶道の美学であり、延いては日本文化の宝だと記しています。

剣道や武道の達人は「虚」を巧みに操ります。
自分に一分の隙も無いと、相手は攻撃をしてきません。相手が動かなければ隙も生まれませんよね。
そこであえて自分に「虚」を作る事で、相手に攻撃させ相手が動いた時に生じる隙を突いて勝利する、というのが達人の技です。

この茶道の「虚」という考え方は、茶室を含め東洋の芸術にも生かされます。
作者の主張を余す所無く、完璧に盛り込むのではなく、あえて「虚」を作ることで、その作品に対峙した時に観ている側が色々な想いを馳せます。その想いが作品の「虚」にはまり、作品が完成するという考え方です。作品と我々の想いが重なる事によって感動を生み出し、初めて完成に導かれる、それはまさしく「不完全の美学」と呼ばれるものです。

先述しましたが、この「虚」の在り方は対人関係において、とても重要です。
相手と上手く付き合う、相手を説得する、様々な対人関係の場面で自己主張Maxで突き詰めるよりも、少し肩の力を抜いて、相手が入り込む余白を作ってあげる。その余白が結果的に物事が円滑に進む事に繋がります。

さて、今年も残すところ少なくなってきました。
世の中が動きだし師走に向かって忙しくなりますね。
なにか心が忙しないと感じたら肩の力を抜いて心の余白を意識してください。
いっぱいいっぱいに張り詰めてると、人の気持ちはもとより、幸せも入り込む余地が無くなってしまいますから。

続きは随時更新していきます。
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