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第4章 名刺を活用した営業戦略

複数の名刺を使い分ける

 名刺は、1種類で使い切ったら新しく作るという固定概念がありますが、名刺を営業ツールのひとつと考えれば目的に合わせて複数の名刺を作るべきです。名刺を多く使う機会と言えば、展示会やネットワーキング(異業種交流会)です。

展示会で使う名刺

 展示会の最大の目的は、顧客のリストを集めること。お客様も導入検討のために訪れている可能性が高く商談につながりやすいので、展示会専用に名刺を作ることでお客様の意識に残すことが出来ます。このときに作る名刺のポイントは、自社の売りとなる商品を名刺に入れること。なぜなら名刺とカタログは、別々に管理されるからです。

 見込客が名刺を見て「商品名は何だっけ?」とならないように名刺には、商品名、写真、商品紹介のURL、SNSのアカウントなどを入れておきましょう。また、QRコードを入れることで自社のウェブサイトやSNSアカウントなど、追加の情報を提供することができます。また、フリートライアル、特別な情報やプレゼンテーション資料などを、QRコードを通じて提供することも可能です。

ネットワーキング(異業種交流会)で使う名刺

 異業種交流会では、普段接点のない業界の人々と出会うことができます。参加者の多くは、情報収集が目的なので参加者に売り込むと考えるのではなく『役立つ情報を提供する』ことを念頭において名刺を作成します。名刺交換を行うことで、新たな人脈を構築し、ビジネスチャンスを広げることができます。

紹介を貰う名刺

 紹介を貰う名刺とは、自社の商品やサービスを紹介してもらう名刺です。技術者派遣業など近い業界の関係者が集まる交流会では、相手も同じように情報交換の出来る人とつながりたいと考えています。社内の関係者が見る情報交換用のメールアドレスを記載して、「こちらに連絡をください」と伝えましょう。

 すぐに案件化することは少ないですが、継続的に連絡を取り合うことで商談につながっていくようになります。

自分を売る名刺

 自分を売る名刺では、自分、もしくは自社で開催している勉強会や交流会への参加を勧誘する情報を記載します。名刺の裏などに勉強会の案内と詳細が判るQRコードを入れて作ります。この名刺を使う場合は、事前に交流会の主催者に「自主開催の勉強会の案内をしても良いですか」と許可を取っておいた方が無難でしょう。

名刺データの活用方法

 スマホのアプリなどでデジタル化した名刺のデータは、他のビジネスツールと連携させることで定期的にフォローアップや提案を行い、関係性や信頼度を高めることができます。あなたの会社が、こうしたCRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)を使用しているのであれば、顧客情報の一元管理や営業活動の記録については、会社のルールにしたがって行う必要があります。 

 営業支援ツールの使用やクラウドサービスの利用が禁止されている企業や、自分自身で会社のシステムとは別に顧客の情報を管理したい場合の手順を説明しましょう。

オフィスに戻ったら名刺を整理

 名刺を交換した後は、フォローアップをすることが重要です。例えば、交換した相手にメールや電話をかけ、商談の御礼と今後のビジネスの話をすることで、関係性を深めることができます。また、自分から先に連絡をすることで、相手に自分自身や自社のことを印象づけることもできます。

 名刺管理のところでも説明しましたが、その日に交換した名刺を商談ごとに部署や役職順に並べてコピーを取ります。取った名刺の余白に「訪問日時」「担当者」「決裁者」「同行者」など商談情報や商談の印象を書きスキャンしてパソコンの顧客フォルダごとに保存します。

名刺を可視化する

 こうして名刺フォルダに保存した名刺の情報を次に可視化していきます。名刺の可視化とは、顧客の社内の組織がどのようになっているかを名刺の情報から作成していくことです。例えば、担当者の他に違う部署の人が商談に参加しているのであれば、担当者と他の部署の参加者の役割が何であるかが判るように組織図を書いていきます。ここで、名刺を交換した際に得た情報や印象を追記していきます。

 特に重要なのは、商談における影響力を誰が持っているかということと担当者との関係性です。こうした情報は、営業管理ツールでは管理仕切れない部分もあるので手書き、またはツールで組織図を書いて可視化していきます。

押し出し式ファイリング方式で名刺をフォローアップする

 営業管理ツールや表計算ソフトなどで案件管理をすることは出来ますが、名刺は交換したものの案件化しなかったものも多いでしょう。案件化しなかったお客様の名刺を効率よくフォローする方法は、箱型の名刺保存ボックスで管理する方法です。

押し出し式ファイリングとは

 押し出し式ファイリングとは、書類をひとまとまりごとに日付と内容を書いて封筒に入れ、右から左に順に並べる方法です。一度取り出した封筒は一番左に置くことで、よく使う順にファイルが並ぶようになっていきます。

 この押し出し式ファイリング法は、名刺の活用方法にも応用することが出来るのです。

  • 名刺を会社名をアイウエオ順に並べて名刺ボックスに収納します。この時は、あまり厳密に順番を気にする必要はありません。

  • お客様に連絡をする際に名刺を取り出し確認してからメールや電話をします。

  • 連絡終了後、名刺を各行の一番手前に戻します。例えば、「オ」で始まる会社名でも連絡が終わったら「オ」の一番手前に戻します。

この時に取り出す名刺は、商談単位で関係者をひとつのグループとして移動します。

 こうすることで、よく連絡をとるお客様の名刺は、名刺ボックスの各行の手前に集まり、逆に頻度の少ないお客様の名刺は、各行の後方に集まってきます。

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