涙の意味と大切なもの。

涙って、いかに自分が悲しいのか、そして、いかに苦しいのかを体が自己主張をするひとつの手段だと思っていた。

小さな子供の涙はとてもわかりやすい。自己主張そのものだ。けれども、大人のそれはわかりにくい。悲しくても、苦しくても、うれしい時でさえも涙がこぼれる。

それでも涙はその人の、心を表す手段にすぎないと思っていた。

でも・・・とあるとき私は思った。とても当たり前のことだけど、涙がこぼれるときってたぶん、一人のときが多い。涙は誰かに見られたくない。人は涙でその感情を、必ずしも誰かに主張なんてしない。

では、涙の意味はなんだろう?

涙って、泣こうと思ってもなかなか流れるものじゃない。知らないうちに心が動かされて自然とこぼれてゆくもの。何かを失うときや、失ったとき。得られそうなときや得られたとき。

そんなとき涙は静かに教えてくれるのだ。

その人にとって気づかなかった「本当に大切なもの」を。それがたぶん、その人にとっての「涙の意味」なのだと思う。

涙は誰かにその人の気持ちを教えてくれるものであり、そして同時に、自分にも教えてくれるもの。私にも何気ない風景やとてもありふれた誰かの言葉に「あれ、なんで涙が」なんてことがある。たぶんそれが「私の大切なもの」なのだろう。

涙で気づかされるって、なんて素敵なことだろう。そんな涙が、これからももっと増えてゆけばいい。それで人生は潤ってゆく。

明日さえもわからない、
何もわからない人生の中で

涙はいつだって、教えてくれるのだから。

2018/08/26
*下書きのままになってたこのエッセイ。なぜか公開しないままになっていた。書き上げたつもりが、どこか中途半端な気がして。たぶん私にとって涙の意味は、まだどこか難しくて、つかめなくて、心の隅っこに引っかかったまま、風に揺れているような気がします。

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最後まで読んで下さってありがとうございます。大切なあなたの時間を使って共有できたこのひとときを、心から感謝いたします。 青木詠一