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生きてゆく理由。

哀しみや辛い気持ちの中で、その人のためにと思ってした行動やその言葉も、知らないうちに、いつしか僕はその人のことを、どうしようもなく傷つけてしまうことがある。

そうして僕はやっと気付く。その人のためではなくて、本当はこの自分のためだったのだと。その気持ちは「ありがとう」ではなくて、「ありがとうと言ってるんだよ?」というただの見返りを期待するもの。

やがてそれをその人から、僕ははじめて思い知ることになる。僕と同じ行動やその言葉で、優しいようでいて実は、心は疲れ苦しんでゆく。その度に、僕は何かを見失ってしまうような気がする。

その人も、いつかこんな僕のように、同じ行動とその言葉で、また、誰かを傷つけ、そして傷つけられるのだろうか?

人を恨むような1歩手前の心で、僕はつい、そう思ってしまう。

心のままに生きてゆきたいと思う僕がいる。求めるのではなくて受け入れること。そして時には捨て去ること。それさえ出来れば人生は、たぶん、そんなに難しくはない。

何か哀しいことがあると、たぶん僕はその前に、誰かに哀しい思いをさせていて。何かうれしいことがあると、たぶん僕はその前に、誰かにうれしい思いをさせていて・・・

そんなふうにこの心は、水面にできた波紋のように、小さくても、やがて確実に、大きく大きく誰かの心へと広がってゆくのだろう。そう思うと、ひとりひとりの小さな想いは、決してちっぽけなものじゃなくて、果てしないものだと僕は気づく。

僕が、こうして生きてゆく理由は
きっと、そこにあるのかもしれない。

最後まで読んで下さってありがとうございます。大切なあなたの時間を使って共有できたこのひとときを、心から感謝いたします。 青木詠一