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垣根のないあたたかい世界

2019年のRuntripは「Journal(ジャーナル)」というランニングのログを日記のように記録する機能をリリースした。

ランニングのログを残すと、そこに誰かが「Nice Run!」と小さな声援を贈ってくれるという機能だ。これによってRuntripは「ランニングコースの検索」といったランニング前の利用シーンから、「ランニングのログを残す」というランニング後の利用シーンまでカバーすることになった。
ちなみに、ランニング中に使う「トラッキング機能」は、今のところない。

このJournalは、いわばランナー用のSNSとも言える。ランニングのログを残すというサービスなのだが、「走らなかった日の投稿」もなぜかたくさん集まる。雨の日はもはやグルメアプリかのように食事やビールの投稿が並んでいる(笑)そしてそこに「サボってごめんなさい」などのテキストが添えられ、「そんな日もある!」など勇気ある撤退判断を肯定するコメントが寄せられている。

実際に使ってもらえばわかると思うが、このJournalの中はとてもあたたかい。びっくりするくらいみんな優しい。全然知らない誰かのランに「Nice Run!」と声援を送り、全然知らない誰かのランに「おめでとう」とコメントし、国境を越えてユーザーさん同士が出会い、一緒に走っている姿も見かける。

2019年の振り返りとして、公開されている全投稿を眺めてみたら、暖かい世界の全容がわかってきた。

ログに添えられるポジティブな想い

5月からリリースされたこのJournal機能に投稿されたログは約3万件ほど。そこに約180万件もの「Nice Run」が集まった。そして投稿の内容がとてもエモーショナルで、ポジティブで、肯定的な言葉ばかりだった。全投稿の中で、下記のようなポジティブな文字を含む投稿は3割を超える。

・楽しい / 楽しかったなどの楽しさに関する文字
・頑張る / がんばったなどチャレンジに関する文字
・友達 / 仲間 / みんななどコミュニティに関する文字
・気持ちいい / 気持ち良かったなどリフレッシュに関する文字
・感謝 / ありがとうなど第三者へのポジティブな感情に関する文字
・好き / 嬉しいといった自身のポジティブな感情に関する文字

Journalはあくまでランニングのログを投稿するサービスだから「今日は皇居で10kmラン」とか「xxxマラソンでサブフォー達成!」とか、起こった事象を投稿するというのが主な使い方だ。

普通、ランニングのログを残すサービスは何kmを何分で走ったかという数字が並ぶが、RuntripのJournalには実に3本に1本の投稿に「ポジティブな想い」が添えられている。(ちなみに、きつい / つらい / 苦しい / 嫌 などのネガティブな言葉は全体の1.4%程度だった)だから、見ているだけでとっても元気になれるし、走るモチベーションをもらえる。

Runtripはコミュニティを創らない

僕は「楽しくランニングを続けるには何が必要か」ということをこの4年半ずっと考えてきた。その結果、ほぼ自分の中では結論が出ている。

ランニングを楽しくする要素は「ロケーション / コミュニティ / ギア」だ。

ギアは各メーカーさんが素晴らしいプロダクトを提供している。だからRuntripはテクノロジーを通じてロケーションとコミュニティを提供したい。その中でも重要なものは、コミュニティであると考えている。

しかし、Runtripはコミュニティではない。

Runtripが公式にコミュニティを創るということはおそらくこの先もないと思う(イベントはするけど)。Runtripが提供すべきコミュニティは、Runtripを使ってくれる人たちが作り出すコミュニティであるべきだと思うからだ。

僕たちが「理想のコミュニティ」を提供するなんてことはおこがましい。Runtripは、人が繋がりやすい「場」を提供することで、コミュニティを提供したいと思っている。そのためのサポートをしていきたい。

だからRuntripは垣根を作らない。「常に出入り自由な場所」を提供して、その中で繋がりが生まれたらいいなと思う。いろんなコミュニティの人たちが混ざり合い、繋がりあい、拡大していく世界を目指したいと思う。

でも1つだけ、願いがある。

この「場所」に訪れてくれた人たちには、1つの価値観で繋がってほしいと思う。

それは「もっと自由に、楽しく走れる世界へ。」という価値観だ。

ガチロードランの人も、トレランの人も、ウルトラの人も、ウォーキングからスタートの人も、ファンラン好きな人も、ジムで走る人も、1人で走りたい人も、当然、性別も年齢も習熟度も人種も関係なく。

誰もが自由に、楽しく走れるように。いろんな価値観に出会えるように。

それはつまり、幸せに生きられる人が増えるということだと思っている。走らなくたって幸せになれるかもしれないけど、走って不幸になる人はいないと僕たちは信じているから、ランニングという素晴らしい趣味に出会えた人たちがいつまでも楽しく走り続けられるように、2020年も全力で駆け抜けたい。

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