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成長する企業の脱皮は3-5年周期なのではないか、という考察

ここ最近、知人の転職報告が続いており、中でも社長やカンマネといった役職の人が「次のステージ」に移行するとの報告がありました。

個人的な感覚でいうと、業務は3−5年で一周する感じがあり、それ以上は「これまでの業務の繰り返し」になる気がしています。もちろん世の中は変わりますし新しいことも増えるので「全く同じ」ではないものの、80%ぐらいは同じ知識で仕事ができてしまうようになる、というぐらいの感覚です。

特に会社や組織の立ち上げというのは繰り返しのない右肩上がり、成長曲線で言えば一直線の時期なので3−5年の間に「繰り返し」はないのですが、一度落ち着きを見せるとそこから先は「安定したビジネス」を求めるようになり、必然的に「繰り返しの業務」が続くことになります。

勤続年数3−5年を長いと見るか短いと見るかはその人の状況にもよると思いますが、

・ビジネスのステージを一つ押し上げる

にはちょうどいいくらいの期間なのではないでしょうか。

その時期に必要な人材というのは、

・変化を起こしていく
・変化を楽しむ
・自分自身が変化していくことを好む

人材ではないかと思います。ある意味では、そういった要素を持っている

・スペシャリスト

とも言えるわけで、逆に長く在籍してもらっても使い道がなかったりします。

一方で、安定期に入ったビジネスにおいては

・変化を好まない
・繰り返しが好き
・ルーチンワークが好き
・安定が好き

な人たちが適していると言えます。多くの大企業はこちらにあたる人材戦略を取っているのではないかと思います。

安定期ビジネスでは

・目を瞑ってでも出来る能力
・繰り返しを厭わないマインド
・コツコツと眼の前のことを片付ける力

と言ったものが大事なわけで、ここでよく言われる

・社員の定着

という謎の言葉が出てきます。

なぜ「謎の言葉」かというと、先述の通り、これらの人材は「安定期に必要な人材」なのであり、逆に言えば

・変わる必要のない、変わる気のない企業

であるという前提が見て取れます。時代は変わり、世の中は移ろい、ビジネスは変革が求められる時代(成長フェーズ)において

・社員の定着

を掲げているということは、つまりそれ以上

・進化する気がない

とも言えるわけです。 

どこからか、突然現れるゲームチェンジャーによって、ゲーム(ビジネス)のルールが変わってしまってから、慌てて

・なんとかしなきゃいかん

となるタイプの会社です。

元々ハイブリッド車を持っていたトヨタ自動車は、EV開発に乗り遅れました。これは、全てではないでしょうが

・ハイブリッド車はまだまだ続く、EVは遠い将来の話

という心づもりがあったのではないかと思います(もちろん子会社協力会社の容易に崩せない何千社が関わるエコシステムの再編が難しいという理由も在るでしょうが)。そこにテスラというゲームチェンジャーが現れ、慌ててEVラインナップを揃えましたが、あまり上手く言っているとは言えません。最も、ハイブリッド車も世界的に売れましたし一事はハリウッド俳優のステータスシンボルとして活躍したことを考えれば一時代を作ったと言えると思いますが、ガソリン車に続くスタンダードにはならなかったわけです。

人材に関しては、目立つところしか見えないというバイアスは在るにしても、

・優秀な人ほど3−5年で出ていく

ように見えます。この道10年20年の人からしたら「短期間」と映るとは思いますが、最も活躍できる最も充実感のある期間として3−5年なのだろうとも思います。逆に勤続年数が長い人というのは

・会社に最適化

していくしかないので、徐々に角が取れて「普通の人」になっていく気がします。仮に社内政治や自社プロダクトに精通していたとしても、それは外ではなんの役にも立たないですし。

長らく変わらないビジネスであれば、長期間勤続というのは「会社に最適化」するという意味で大きな意味を持つのかも知れませんが、動き続ける、変わり続けるビジネスにおいては、人材も「そのフェーズに適合する人材の登用」が必要な気がしています。

衣食住及び社会インフラは余程の問題を起こさない限り安定したビジネスだと思いますが、それ以外のビジネスにおいては

・ビジネスを変革し続けること
・人材はその時その場所に適応する、適材適所を常に入れ替えていくこと

が必要なのではないか、と思う次第です。

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