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人生を変えた出会い -あなたに出会えてよかった-

誰の人生にも
「あの時のあの人との出会いが無かったら!」
と思う出会いは1つくらいはあるもの。

自分の場合はこれが結構いっぱいある。
とにかく自分は人に助けてもらう事や、
不思議な偶然に助けられる事がある。

自分はとても無能・・・とまでは言わないものの、
どうにも仕事に役立つ能力を持ち合わせていない。

そんなポンコツ性能でありながら、
人に助けてもらう機会が多い。
そんな中でこの人との出会いは大きかった!
と思う一人の事を書いてみよう。


Seth Burn

その人の名前はSeth Burn
カタカナ表記でセス・バーン
敬意を込めてバーン様と呼ぶと、
どこかの大魔王様のようなお名前。

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こんな感じの人。
店主は氷と火で出来た魔人くらいの小者。

あの作品の中の氷と火で出来た魔人さん、
あの魔人さん、登場人物の中でもかなり好きだ。

よく読んでみるとなかなかに名言の多いキャラなのだ。
でも一番好きキャラはマトリフ。
そして一番かっこいいと思っている台詞は
「よお…元気そうじゃねえか…三流魔王」
だ。

このバーン様との出会いは魔界・・・ではないけど、
ある意味で魔界。
Magic the Gathering世界選手権

世界最強クラスの魔法使いが集まる場所なので、
魔界みたいなもの。
この世界選手権に初めて出場した時の対戦相手の一人が彼だった。
たしか会場はサンフランシスコ。

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傲慢と言われそうだけれども、
世界選手権に出場した時、正直に思った事は、
「強いと思う人がいない。」
だった。

そうは言うものの、
自分が優勝出来ているわけではないのだから、
こう思った事は傲慢なのだろう。
(一応勝ち越しはしているが。)
けれども思ってしまった事は思ってしまった事。
心に嘘はつけない。
そんな事を思いながらSeth Burnと対戦。

「この人は強い!
 今まで出会った誰よりも強い!」


対戦してすぐにこれを思った。
Sethはまずプレイミスをしない。
こんなにミスが無い人は珍しいなと思った。

そして、
あんなに痺れるような戦いは無かった。

今でも忘れない、あの戦い。
お互いに親和のデッキだった。

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1勝1敗でむかえた3戦目。
お互いに決め手が足りないにらみ合い。

ブラフを掛け合い、それをお互いが読もうとする展開。
読んでいる事を読むという頭脳戦、ひりつくような戦いは初めてだった。

Sethの手が《霊気の薬瓶/AEther Vial》にかかるたびに、
「《ヴィリジアンのシャーマン/Viridian Shaman》を引かれたか?」
と思う自分。

これ1枚で戦局がひっくり返る。

下手にフルアタックをして、
これが《霊気の薬瓶》から飛び出てきたら負ける。
殴るに殴れない。

その後、結局フルアタックをしたのだが、
その時のSethもまたかっこよかった。
《霊気の薬瓶》を起動、
こちらは「やられたか?」
と思った途端、
《霊気の薬瓶》を起動した彼の右手は、
店主の手をとって
「You Win!!」(お前の勝ちだ!)
と言った。

なんてかっこいいんだろう。
勝ったのに負けたような、
不思議な気持ちと嬉しさがあった戦いだった。
この経験だけでも世界選手権に出て良かった。
そう思える出来事だった。

そして対戦が終わった後、
英語も出来ないけれども、
Sethに名刺を渡した。

世界選手権の最中、
名刺を渡したプレイヤーはSethだけだった。
そのSethは名刺を渡した数分後、
サイドイベントを観戦している店主に声をかけてきた。

「ゴメン、名刺無くした。もう1回ちょうだい。」

かわいい。
もう1度名刺を渡して、
世界選手権から帰国後にメールが来た。


頭の良いからこその気遣い

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ここからがスタート。
Sethは日本語を全然わからないけれども、
日本の文化は大好きだった。
アニメ、ゲームといった娯楽から、
日本の寺社仏閣のような歴史的なものまで、
日本の色々な事が好きな人だった。

メールのやりとりでは、
「英宝、新セットはどうだ?
 俺から見たらダメだと思う。
 だから俺はニンテンドーの時間だ。」
と、
SethはMTGの新セットがあまりお気に召さず、
電源系ゲームのお時間になる報告が来た事もある。

こういうやりとりが出来るのも楽しかった。

もちろん英語がさっぱりぷーな店主は、
翻訳サイトを使って言いたい事をなるべく簡潔に書くしか出来なかった。

ただ、それでもMTGというアイテムは、
そんな言語の壁をすっ飛ばしてくれる素晴らしいアイテムだ。

MTGの話だけは英語力なんて最低でもどうにかなる。
英語がからっきしな店主が言うのだから間違いない。
MTG英語だけわかっていればだいたいOKだ。

極論、
日常的に英語版カードだけ使っていれば、
一定のMTG英語は身につく。
でも読もうとしないと一切身につかないのでご注意を。

そんなへっぽこ英語でメールを何度かやりとりをして気付いた。

Sethはとても面白いだけでなく、
とても頭の良い人だった。
こちらの英語力が乏しい事を察して、
わかりやすい単語で話をしてくれる。
この心遣いが出来る人は中々いない。
そこまで知恵が回らない人の方が多い。

おまけで書いておくと、
アメリカ人の多くは英語が世界共通語だと思っているので、
誰相手であろうと自分の思うままに英語を話す人が多い。
さらにどんな言語にも方言や俗語というものがある。
英語だとスラングという。
英語が母国語でスラングを当たり前だと思って話す人は多い。
Sethのように相手にわかるように英語を話す気遣いが出来る人は少ない。
こういう所も含めてSethはとてもかっこいい男だ。


再会

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そんな頭が良くて、日本の文化が好きなSethは、
最初に会ってから2年くらいした時、
日本の横浜で世界選手権が開催された時に再会。
その時、まだ彼の凄さを知らなかった。

ただ、この時から「Sethのおかげで」と言える事が始まっていた。

Sethはこの横浜の世界選手権の時、
「英宝、俺のホテルに泊まるか?
 一緒に来る予定だった友達がキャンセルしてしまったんだ。
 だからベッドは空いているし、宿泊費もいらないよ。」
と。
Sethのホテルは世界選手権会場の隣。
パシフィコ横浜の隣だ。

宿泊費を調べた事もないホテルだけれども、
たぶん高い。
もちろん喜んでホテルへ。
部屋は23階だったかな。

とても夜景の綺麗な良いお部屋だった。
Sethはさっさと寝てしまったが、
自分は少々夜景を眺めた後はホテルの散策。

雰囲気の良いBARを見つけたので、
即入った。
このBARはnoteの記事にも書いている高級カシス、
フィリップ・ド・ブルゴーニュを使っていた。
そして3M(スリーエム)も置いてあった。
3Mというのは、
・森伊蔵(Moriizou)
・村尾(Murao)
・魔王(Maou)
という3つのプレミア芋焼酎の事。

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ローマ字表記で全て「ま行」の焼酎なので、
3Mと呼ばれる事がある。
そういえばこの3種を3Mと呼ぶのを聞いたのも、
ここのバーテンダーさんからだった。
このBARのような高級な雰囲気は当然初めてだったので、
これも良い経験の1つになった。

余談になるけれども、
この時の横浜の時にSethも混じえてドラフトをやった。

他の人が言っていた。
「あの人、ドラフト強すぎるぞ。
 全く勝てる気がしなかった。」
と。

そりゃあそうだ。
少なくともこれを言った人は、
Sethが世界選手権に出場するレベルだと知らなかったんだと思う。

とはいえ、たった1戦でこれを他人に言わせるとは。
さすがはバーン様。
1戦で魔王の凄さを知らしめた。


日本で・・・

それから数年後、
Sethが日本に来てくれた。
店主に会う事と日本観光のために。
つたない英語で何日も過ごした事は大きな経験になったし、
この時のSeth滞在中、
最も衝撃的だった事はSethが行きたいと言った料理店だった。
今まで行ったどの料理店よりもサービスが良く、
味も一品一品に驚きを感じさせてくれる素晴らしいところだった。

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価格だけで見たら決して安い料理店ではないが、
この価格であの料理が出てくると見たら、
最高のコストパフォーマンスだと思った。

そして、2020年の今、
未だその料理店を超えるコストパフォーマンスのお店には出会っていない。
2020年になってから行く事があった際に、
予約の電話を入れる時に名前を言ったら、
「いつもありがとうございます。」
と言われた。

ついに名前を覚えてもらえた。
名前が珍しいからだとは思うけれども、
料理店で名前を覚えてもらえるのは嬉しい。
ましてそれが一流料理店ともなれば尚更だ。

しかも、自分は静岡、料理店は東京、
これで名前や顔を覚えてもらえるのは珍しいケースだ。

Sethに出会わなかったらまず知る事の無かった場所だ。
この場所、あまりにも気に入ってしまい、
その後、この料理店を経営する会社の株まで購入した。
株主優待で和牛をもらえるので、
毎年喜んで食べている。

そしてその和牛もまた面白い話が1つ。

ある時、株主優待でもらえる和牛の賞味期限が切れていた。
「ああ、もったいない事をしてしまった。」
と思って、
「肉、賞味期限」
でググる。
案外と冷凍庫に入れっぱなしだと大丈夫らしい。
よし、食べよう。
(※仮に同じ事をしてお腹を壊しても責任は持ちません。)

ただ、熱を通したほうが良いと考えた。
そこでこの和牛をカレーに入れる事にした。

で、その頃も今もあまり変わっていないが、
「生きている間にとにかく美味いものを食べたい。」
と考えている自分は、
この賞味期限が切れるよりももっと前に、
「原価が高くて桁違いに美味しいカレーを作れないか?」
という事を模索した事があった。

が、カレーのスパイスを自らの手で作るわけでもないし、
料理の腕が良いわけでもない。
この時のカレーは結局3種のカレーを10人くらいで作って終わった。

この3種のカレーは決して不味いものではなかった。
桁違いに美味しいカレーだとか、
人生でナンバーワンのカレーという結果でもなかった。

この3種のカレーの時でも、
和牛をカレーに入れるという事はしなかった。
そして全国津々浦々のカレーを出す料理店で、
和牛を使っている事なんて普通は無い。

少なくとも自分はそんなカレー屋を知らない。

そんな事をしても採算がとりにくいはずだ。
その普通はやらない事だが、
なにせ賞味期限切れだ。
やってみるしかあるまい。

賞味期限切れとはいえ、
高級なる和牛だ。
柔らかで綺麗なサシの入った和牛をお鍋にドボーン。

しっかりと煮込んだ和牛カレー。
一口。
「おおおお。」
食べた途端に本当に口に出して言った。

美味い。

間違いなく人生で食べてきたカレーのナンバーワンだ。
なんだこのカレーは。
素材が良いだけでこんな味になるの?!
という程に美味しかった。

そしてよくある事だが、
肉に火を通し過ぎてかたくなる事があるが、
そういう事も全く無くとても美味しかった。
賞味期限切れでお腹を壊す事も無かった。

この時も思った。
Sethに会えて良かった!
Sethに会っていなかったら、
この味を知る事も無かった!
と。

次は賞味期限切れじゃない肉で作りたいと思った。

そういえば考えなかったけれども、
あのカレーは原価で一杯いくらだったんだろう・・・。


センス

そんなSeth、2019年にも日本に来てくれた。
「久しぶりにまとめて休みをとったから日本行くぜ。」
という感じだった。

「一緒にディズニーランド行こうぜ!」
と言われて一緒に行った。
何年ぶりだろう、ディズニーランド。
ランドだけじゃなく、ディズニーシーも行った。

ディズニーに行った2日後くらいに、
一緒にご飯を食べようと言われて、
待ち合わせした場所は銀座のお寿司屋さん。

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久兵衛という名前の店名だ。


「知らないけど行ってみよう。」
くらいの軽い気持ちで行ってみた。

財布から福沢諭吉先生が飛んで行った。
が、美味しかった。

店主の人生で美味しかったお寿司屋ランキングトップ3に入る味だった。
後で知ったが、芸能人や政治家が使うような料理店らしい。
(そして偶然にも数カ月後、もう一度この久兵衛に行く事になる。)

さすがはSeth。
お店選びが素晴らしい。
Sethはアメリカ人なのに、
どうやって日本のこんな良いお店を見つけられるのだろう。
不思議な人だ。


あなたに出会えてよかった

この何年もの間、
「Sethに会えたおかげで」
はこれだけでもまだ言い足りないくらい。

MTGに会えたおかげでもあり、
Sethに会えたおかげでもある。


世界選手権でこの人と対戦できた事は、
自分にとって人生を変えた幸運の1つだったと思う。

ありがとうSeth。
そしてこれからもよろしく!


次に日本に来る時は、
Sethの大好きなチョコレートをいっぱい用意しておくぞ。

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ではまた。




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